顕微受精の方法は、精子と卵子を体外で受精させた後に子宮へ戻すという点では体外受精とほとんど同じ流れで行われます。
体外受精との違いは、体外受精では卵子に精子を振りかけて自然に受精するのを待ちますが、顕微授精は顕微鏡で見ながら、マイクロマニピュレーターという装置を用いて、精子を1つだけ捕まえ、細いガラス管で卵子に直接注入するという方法です。
顕微授精は、精子の数が少ない・運動率が低いといったときや、女性側の卵子の受精力が弱く、自然受精が困難な場合に適した不妊治療です。
人工授精や体外受精で、なかなか妊娠できないカップルが、次のステップとして顕微授精へチャレンジするケースが多く、顕微授精による受精率は約50〜70%といわれています。
受精卵が子宮内膜に着床することで初めて妊娠が成立しますが、受精はしたものの妊娠には至らないというケースもあります。
顕微授精を受けた人のうち、新鮮胚を用いて妊娠が成功する確率は約5.6%です。
また妊娠が成立した女性のうち、出産まで至る確率は約70%と高くなります。
顕微授精においても、残念ながら年齢が高くなればなるほど、妊娠の確率は下がります。
体外受精と顕微授精を合わせた数字でみると、33歳くらいまでに出産した確率が約20%に対し、40歳では8.8%、45歳では0.8%と、年齢とともに低くなっていることが明らかです。
顕微授精は、大きく5つのステップに分かれます。
生理の数日後からスタートし、「排卵→採卵→精子採取→受精→胚移植」という流れで進みます。
また、体外受精には必要なのは、ちゃんと成長した卵子の排卵です。
そのため、女性の月経周期に合わせて治療のスケジュールが組まれます。
詳しいスケジュールなどは、担当医とよく相談して決めるようにしましょう。
不妊治療では健康保険が適用されないため、費用はすべて自己負担となります。
顕微授精の1回当たりの費用は、およそ30~50万円です。
体外受精より費用が高くなるのは、卵子に精子を注入する「顕微授精」という工程自体に、約6~8万円の費用が発生するからです。
医療機関によっても違いますが、何個もの受精卵を生み出す治療を行っても金額が変わらないところもあれば、100万円オーバーするところもあります。
しかし、高額とはいえ不妊治療の最後の手段ともいえるだけに、国や自治体では助成制度を設けています。
夫婦の年収や女性の年齢、在住年数などの条件、あるいは自治体によっても助成内容が異なるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
体外受精を検討されている方が、もっとも不安に感じているのは、リスクの問題でしょう。
不妊治療のひとつである体外受精は、人工的なサポートを行うため、リスクが全くないというわけではありません。
自然妊娠にもリスクは付き物ですが、顕微授精を含む体外受精のリスクは、自然妊娠と同程度とされています。
体外受精で、ダウン症やその他の障害、奇形といったリスクが高まるという風評もありますが、そういう医学的な報告はありませんので、過度に不安を抱く必要はありません。
不安な点や疑問点などは、担当医と、よく話し合って解決しましょう。
いろいろな方法を試し、人工授精や体外受精でもなかなか妊娠できないカップルが、次のステップとして辿り着くのが顕微授精です。
受精率50~70%という高確率は、赤ちゃんの誕生を心待ちにしているカップルにとっては、心強い数字といえるでしょう。
でも妊娠は、受精卵が子宮内膜に着床することで初めて成立します。
受精はしたものの、妊娠には至らなかったというケースも、決して珍しくはありません。
妊娠する確実な方法は、残念ながらありません。
でも、諦めないでください。
きっと、あなたに合った不妊治療がみつかるはずです。