2018.08.07

卵子を冷凍保存するには?メリットとデメリットについて理解しよう

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若い年齢の卵子を凍結保存する方法に、興味を抱く女性も多いはず。その理由は病気であったり、将来の妊娠出産に備えてなどさまざま。しかし、高額な費用が必要な点や高齢出産へのリスクなど、デメリットをしっかりと認識したうえで判断するようにしましょう。

卵子の凍結保存に興味があるけど不安も

メディアなどでも取り上げられ、注目されている卵子凍結保存。卵子の老化が広く知られるようになり、将来の妊娠出産に備えて、凍結保存を検討しているという人もいるかもしれませんね。しかし、あまり身近な話ではありませんし、技術面や費用面で不安を感じる人は少なくないでしょう。

この記事では、どのような場合に卵子の凍結保存を選ぶのか、費用はどれくらいかかるのか、凍結保存できないケースとはどのような場合かなどについて解説していきます。しっかり理解したうえで、一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょう。

卵子を凍結保存しておきたい

卵子凍結をする方の理由はさまざま。不妊治療の一つとして検討する方はもちろん、病気などの理由により、生殖機能の低下を懸念するケースや、将来の妊娠出産に備えて準備する方もいます。

不妊治療のために

卵子の老化という言葉が浸透してきたこともあり、若い年齢の卵子を採卵して、凍結する方もいます。卵子の老化が進行すると、流産率や出産率が低下するおそれがあります。

しかし、凍結したままなら劣化はほとんどないため、流産しにくい若い卵子を取り出し、冷凍保存しておくことで、自分なりのライフプランを設計することができます。

治療で事前に卵子を保存しておきたい

卵子凍結する方の中には、卵巣機能の低下のおそれがある病気が理由というケースもあります。ガンなどの抗がん剤使用や放射線治療によって、将来的に生殖機能が損なわれることを懸念して、救済措置として受精前の卵子を凍結しておくことが可能です。 

卵子の老化対策に保存しておきたい

卵子が老化すると、受精後に成長できないケースが増えます。凍結する年齢によって、妊娠率に違いが出てくるため、妊娠しやすい卵子を保存することを希望する女性が増えてきたのです。

若いうちに卵子を保存しておけば、万が一高齢出産になってしまっても、染色体異常の発生確率を低下させることが可能になります。

卵子凍結保存のための費用は

卵子凍結にかかる費用は、クリニックによって異なります。検査などの初期費用、採卵費用、凍結費用など、各作業において費用が発生するほかにも、保存費用も必要になってくるため、高額になることを覚えておくとよいでしょう。

卵子の個数回数などでも価格差がある

クリニックによっても異なりますが、初診から採卵、凍結保管まで1回でおよそ60~80万円かかるといわれています。保管費用は1年単位での支払いが必要となり、卵子5個で10万円程度が目安になります。

将来の妊娠に使用する目的なので、採卵する卵子は複数個必要になり、その分、費用もかさむと考えておくとよいでしょう。

病院によってもかわる

卵子凍結は、医療保険が適用されない自由診療になるため、クリニックによって価格が異なる特徴があります。興味のある方は、クリニックで相談し、おおよその金額を確認しておくことをおすすめします。また、凍結しておいた卵子を使用し、体外受精を行う場合は、さらに費用が必要となります。

卵子凍結に関しては、女性一人の判断で行うことができますが、体外受精となると、パートナーの理解も必要になってくることも覚えておくとよいでしょう。

保存期間の更新をできる病院も

凍結した卵子の保管は、1年単位で考える必要があります。保管期間が1年を超える場合、期限が切れる前に更新の手続きが必要なクリニックもあります。

その際は、さらに1年分の保管費用が必要になります。将来の結婚時期などから、凍結した卵子の保管期間にもある程度の想定を行い、自分に合うクリニックを見つけることも大切になってきます。

卵子凍結保存ができないパターン

卵子凍結に興味があっても、なかなか現実には難しいことが現状。年齢の上限設定や、高額な費用が理由として挙げられます。

経済的な負担

保険適用外の卵子凍結は、かかる費用が高額です。また、一度凍結したら、使用するまで1年ごとに保管費用が必要にもなります。さらに、凍結した卵子を融解して、体外受精で使用する場合には、別途費用がかかります。

このように高額な費用がかかるだけでなく、一度の挑戦で妊娠に至るわけではないことを考慮すると、さらに費用がかかることも予測がつき、経済的な負担が大きいことが分かります。

体力や年齢的などの制限

日本生殖医学会では、既婚未婚に関わらず、40歳以上での採卵と、凍結卵子を使用した45歳以上での妊娠を推奨していません。

凍結は若いうちでないと意味がないのですが、年齢が若いほど結婚、妊娠、出産に焦りがないことが多く、卵子凍結を検討する女性の多くが、妊娠適齢期を過ぎているケースもあります。

凍結保存をしておくリスク

若いうちに採取した卵子を、凍結して使用すれば妊娠率は高まりますが、子宮などの妊娠、出産に関わるほかの器官も老化していることを忘れてはなりません。

凍結した卵子を解凍する際に劣化する

日本産婦人科学会によると、凍結した卵子を使用した出産成功率は、およそ10%といわれ、凍結卵子の出産成功率はあまり高くないことが分かります。卵子凍結を行う成熟した卵子は、凍結時の浸透圧変化など、物理的影響を受けやすいとされています。

また、染色体異常も起こりやすいため、出産までに至ることは難しいとされています。いくら若いうちに採取した卵子であっても、万能ではないことをしっかりと認識しておく必要があります。

保存しておいた卵子に使用期限はあるのか

若い年齢で卵子を凍結保存しておいても、出産にはやはり年齢の制限があるもの。卵子は良質な状態でも、子宮などの妊娠、出産に関わる器官は身体とともに老化が進みます。そのため、高齢になってもいつでも妊娠、出産できるというわけではないことを理解しておきましょう。

高齢出産のリスクがあるため、いつまでも妊娠、出産を先延ばしにしないことが重要。凍結卵子は顕微授精をする必要があります。しかし、パートナーの同意が必要なうえに、期限内に妊娠・出産が行われなければならず、凍結保存した卵子を使用することがないままという女性も多いです。

卵子の凍結保存にはリスクもあることを調べておく

卵子凍結は、若いうちの卵子を長期間にわたって保存できるため、キャリアアップを望む女性や、パートナーがいない女性にとっては、魅力を感じるものかもしれません。しかし、高額な費用が必要になることや、年齢制限があることを、しっかりと理解しておく必要があります。

適齢期に自然と妊娠、出産になることが望ましいですが、難しい場合にはしっかりとクリニックと相談し、不安や不明な点は、納得したうえで進めることをおすすめします。凍結した卵子は万能と思わず、リスクをしっかりと認識することが重要です。

 

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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