不妊治療薬として使用されるゴナールエフは、排卵の障害がある場合に、排卵を誘発させたり男性の精子の形成を助たりする効果があります。大きな効果があるゴナールエフの使用には、大きな副作用が発症する場合も。よって、副作用を理解することが肝心です。
不妊治療薬としても使用されるゴナールエフは、排卵がうまく行えない女性の場合に、卵胞の働きを助け排卵を誘発させるための治療薬となり、精子をうまく形成できない男性の場合にも精子形成に働きかけ質の良い精子を形成する治療薬としても使用されています。
不妊治療を受けている医療機関から、ゴナールエフでの治療をすすめられることもあるでしょう。しかし、副作用などが気になり、思い切って踏み切れないという人もいるのでは?
そこで、ゴナールエフを服用する場合、起こり得る副作用にはどんな症状があるのかを、まずは正確に理解しておきましょう。
ゴナールエフは、不妊治療薬として卵胞の育成を助けるために使用されますが、卵胞を育成する際に発症する可能性がある副作用を、症状別に詳しく調べてみましょう。
ゴナールエフを使用した場合、普段では親指ほどの卵巣が、肥大化して腫れてしまう「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」と呼ばれる副作用を、発症することがあります。初期段階では、水分がお腹にたまりやすくなるので脱水症状を感じる場合があり、喉の渇きや、尿の量の減り、頭痛などが感じられることがあります。
また、初期段階でお腹にたまった「腹水」の影響により、内臓が圧迫されると、吐き気を覚えることも。腹水で内臓を圧迫され続けることで、日常的に吐き気を感じたり、実際に嘔吐したりすることもあります。
ゴナールエフを服用すると、卵巣過剰刺激により、卵巣の中にある卵胞が大きく育ち始めます。卵胞が大きくなると、卵胞が入っている卵巣も同時に大きく膨らみます。そして、膨らんだ卵巣の表面の血管から水分が排出され、卵巣の周りに「腹水」がたまりやすくなります。
卵巣周りにたまった腹水により、下腹部が張りを感じるようになったり、お腹が急に膨らんできたと感じるようになったりした場合は、ゴナールエフの副作用である「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」の疑いがあります。
ゴナールエフに含まれる成分に反応して、アナフィラキシー反応が現れる場合があります。アナフィラキシーとは、成分に対して身体的にアレルギーショック反応が現れることをいいます。平均的なアナフィラキシー反応は、服用後30分程度といわれていますが、中には5分程度で反応する場合もあります。
アナフィラキシー反応は、男性や女性関係なく発症します。症状としては、動悸やじんましん、意識の低下や息苦しさ、声のかすれ、目や口の周りの張れなどが多く、ひどくなると意識がなくなって倒れることもあるので、早急な受診が必要です。
卵巣過剰刺激症候群の副作用が発症した場合、下腹部に腹水がたまることから、体重に変化があります。特に、ゴナールエフ使用後に、1日で1kg体重が増加した場合は、副作用による可能性が高いです。
ゴナールエフ使用後に、食生活に変化があったり、思い当たる原因がないのに体重が増えていたりした場合は、他の症状が現れなくても副作用によって、腹水がたまっている影響が考えられます。その場合は、早めに受診することをおすすめします。
通常の排卵は、卵巣内に卵胞が毎月一つできて、卵巣から排出され排卵を起こします。しかし、卵巣内で作られている卵胞が、何らかの原因で卵巣から排出されずに、卵巣内にたまってしまう状態を「多嚢胞性卵巣症候群」と呼んでいます。
排卵が起こりにくいので、無月経や月経不順が多かったり、卵胞の中で男性ホルモンが作られたりするので、ニキビや多毛などの男性化兆候が現れたり、ホルモンの分泌異常によって、生理の出血異常などの症状があります。
多嚢胞性卵巣症候群の場合は、排卵刺激ホルモンであるゴナールエフと、hcc製剤を投与することで、排卵を誘発する作用があるといわれています。
男性に使用する際のゴナールエフの作用は、性腺機能低下症に用いられることが多く、精子の形成を助けるために使用されます。精子を形成するために、必要なホルモンを投与することで、精巣の発達に作用し精子の形成を促すといわれています。
男性にゴナールエフを使用した場合も、女性と同じように副作用が現れる場合があります。副作用の主な症状を上げてみましょう。
ゴナールエフを投与したことにより、副作用として顔や胸などにニキビのような、ざ瘡が出る場合があります。ゴナールエフを使用したことによる男性ホルモンの乱れから、皮脂の相互作用によって炎症を起こすことが原因といわれています。
男性に使用したゴナールエフの影響で、「リビドー減退」と呼ばれる、性欲や性衝動の減退が起こる場合があります。また、エストロゲンホルモンが増加したことで、精巣機能の低下による抜け毛の増加や、疲労や消化不良、睡眠障害などを引き起こすことも。
生殖器へ影響が出ることもあり、体調の不調がひどくなる場合は、早期に医療機関で受診することをおすすめします。
その他のゴナールエフの副作用としては、女性の場合は乳房の不快感や、血液中の白血球の増加、注射部位の痛みや浮腫や注意力障害など、ゴナールエフの使用後に体調の変化がみられる場合があります。体調の変化があったときは、どうしたらよいのか対処法をみてみましょう。
ゴナールエフ使用後に、体調の変化や違和感を感じたら、無理をしたり我慢することなく、使用を中止しましょう。自己判断で、そのまま使用し続けることは、危険な場合も考えられます。
自己を判断せずに、早めの受診で医師の指示を仰ぎましょう。
ゴナールエフは、性腺刺激ホルモン剤です。高い効果が得られる反面、重大な副作用を引き起こす可能性もあります。
自己判断で放っておくことで、あとで後悔するような病気になってしまうこともあるので、何か症状が現れたら、早期に受診や医師に相談をしましょう。
ゴナールエフは、卵胞を排卵させる役割や、精子の質を上げる形成の手助けをしたりと、不妊治療薬としては大いに期待できる不妊薬です。
ただし、大きな働きがある半面、それに伴う副作用も多いことが事実。したがって、ゴナールエフを使用する際の副作用のリスクなどの知識を高めて、自分なりに理解して納得してから、判断することをおすすめします。