生理の日にちではないのに出血が起きると「もしかして病気?」と不安を感じてしまいがちです。しかし人によっては、妊娠による出血の可能性が含まれます。着床出血に関する基本的な知識や、生理の知識をおさらいして、慌てずに対応しましょう。
生理ではないのに出血することがあると、話には聞いていても、自分の身に起きると驚いてしまいますよね。確かに、生理ではない時期の性器からの出血は、病気など体の変化を示すサインです。しかし、妊娠に心当たりがある人の場合、それは「着床出血(月経様出血)」かもしれません。
「着床出血ってなに?」「危険なものではないの?」といった基本的な疑問から、正常な生理、着床出血と生理の出血の違いについて知って、慌てずに対応していきましょう。
そもそも着床出血とは、どんなことを指すのか、その原因や起きる頻度など基本的なところを説明します。
着床出血とは、受精卵が着床する際に起きる出血のことで、医学的には「月経様出血」と呼び、軽い出血にとどまることがほとんどです。その原因はニつ考えられており、一つは受精卵が子宮内膜にもぐりこみ、しっかりと安定するために絨毛(じゅうもう)という根を伸ばした結果、子宮壁が傷つけられて起こる説です。稀に、この傷ついた瞬間を感じ取り、下腹部痛をおぼえる人もいます。
もう一つ考えられているのが、胎盤を作るためのhCGというホルモンの分泌が少ないために、体が「生理を始めなければ」と勘違いして、出血が起きるというものです。どちらの原因が本当なのかは、いまだに定かではありません。
この着床出血が起きるのは、妊娠した女性の100人に1人か2人ほど、20人に1人など、さまざまな説があり一概にはどのくらいの割合かはいい切れません。確実なのは「妊娠したすべての女性に起こるわけではない」「着床出血自体は珍しいことではない」ということです。
したがって、「妊娠したのに起きなかった」と不安に感じる必要はありません。反対に、起きた場合に注意したいことは、「生理が来た」と思うような量が出た場合、妊娠やその他の理由に気づかずに過ごしてしまうことです。妊娠が不安定なため、こうした生理様の出血が起こり、5カ月目に入るまで妊娠に気づかなかったという人もいます。
着床出血は受精卵ができて、子宮内膜に着床することで起きます。そのため、生理開始日の数日前までに起こることが多いです。人によっては、生理がいつもより遅い段階で来たと思ったら、妊娠していたというケースもあります。ただし、生理開始後に起きるケースは稀なようです。
特に基礎体温を見ていると、生理の場合は始まると基礎体温が下がりますが、着床出血は妊娠に伴う出血なので、基礎体温が下がりません。これは一つの目安になりますが、もし出血量がものすごく多い、腹痛が起きるといったことがあれば、生理や着床出血以外の理由が絡んでいるケースもあるので、すぐに病院で受診しましょう。
ここで、正常な生理についておさらいしておきましょう。
生理は基本的に、1カ月の間に子宮に赤ちゃんのためのベッド(子宮内膜)が用意され、妊娠しなかった場合には、不要なベッドが血液とともに排出される体の仕組みのことをいいます。
子宮が成熟し、赤ちゃんを産めるようになったサインでもあるため、生きるのに必要な器官がしっかり成長したうえで、始まることがほとんどです。
このサイクルには、女性ホルモンが関係します。女性ホルモンの役目は、簡単にいえば「妊娠して無事に出産できるようにする」というものです。女性ホルモンにはニつの種類があり一つは肌や髪の潤い、骨や血管の強度に関係し、気持ちにも影響するエストロゲンです。
もう一つはプロゲステロン(黄体ホルモン)であり、こちらは妊娠を維持するために体の水分量を整えたり、食欲を増したり、疲労をとるために眠気を増したりすることもあります。人によっても異なりますが、イライラしたり不安になったりする場合もあります。このニつがバランスを保ちながら変動し、生理が起きるのです。
生理のスタートは個人差がありますが、15才前後から始まり、50才ごろに閉経するまで続きます。1カ月のうちでホルモンバランスが変動し続けるため、15才頃に始まってから生理周期が安定するのは、20代後半といわれていますが、ちょっとした環境の変化でも変わってしまいます。
そして、長い期間付き合うことになるため、生理は女性の健康状態のバロメーターでもあるのです。普段の生理と様子が違うということがあれば、病院で受診することも大切です。
では、着床出血と生理での出血はどう違うのでしょうか。
基本的に、着床出血はとても量が少なく、おりものと混ざってしまい、気づかないケースもあります。また生理と同じように出ることもあり、一概に量は決まっていません。そのため個人差が強く、人によっては妊娠してから「あれが着床出血だったんだ」と思い出す人もいます。
着床出血の色はいろいろで、ピンクや赤などがあります。よく聞かれるのが、薄い茶色や薄いピンク色で、おりものがいつもと違うかなと思う程度で、非常に少量の出血です。
ただし中には、通常の生理のように、赤みが強い着床出血を経験する人もいるようです。
人によって違うとはいえ、実際にどんな色か気になる人もいるでしょう。ただ、人の出血の画像を探すことは困難であり、そもそもあまり人に見せたいものではないため、ネットにアップしている人もほぼいません。個人差がある、と捉えておくことが一番確実です。
実は個人差がとても大きいため、色や量だけでは、着床出血と生理を見分けることはほぼ不可能です。自宅で判断する場合、最も頼りになるのは「基礎体温表」です。生理中であれば基礎体温が下がりますが、妊娠が継続している着床出血の場合は、基礎体温は下がらず高いままです。普段から基礎体温をチェックしておくと、生理も把握しやすくなるため、おすすめです。
もし妊娠の可能性があるなら、着床出血らしきものが起きた場合、どんな様子か覚えておきましょう。色や量、いつ頃出たのか、そして前回の生理日なども記憶しておきましょう。また、体調がいつもと違う、吐き気や熱っぽさがある場合は、検査をしてみましょう。
妊娠検査薬は近年、妊娠4週目、月経予定日付近に陽性になるため、着床出血が起きる時期を考えると、検査をすれば反応が見られる時期です。妊娠が分かったら、焦らずに医療機関で受診し、その後の対応を相談していくことが大切です。