2018.08.08

「受精卵の大きさ」着床前から成長していく卵のさまざまな変化

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妊娠時、女性の体で何が起こっているのでしょうか。受精卵は本人が妊娠に気がつくより前から体の中で成長を続けています。どのタイミングでどんな状態になっているのかを知って、順調に成長していけるように体の管理などに気をつけておきたいものです。

受精卵の大きさや着床してから胎児になるまで

妊娠が分かってから胎児になるまで、体の中でどんな変化が起こっているのかご存知でしょうか。妊娠初期はまだお腹も大きくならないので、体の中で順調に育っているのか不安な時期です。目には見えなくても受精卵の成長は平均的にどのような過程をたどっていくのかを理解しておきましょう。

受精卵とは何か

「受精卵」とは何なのかというところから学んでいきましょう。どんな状態のことを指すのか、受精卵が出できばそれが妊娠というわけではありません。人間の体は沢山の重要なポイントを経て作られていきます。

精子と卵子が融合してできた細胞

「受精卵」とは、性交渉などで精子と卵子が出会い、融合してはじめて「受精卵」になります。精子が生殖機能を持っている時間は子宮内で3日間。卵子はもっと短く、ひと月に1度の排卵日の翌日の1日限りです。

そして卵子は1つの精子と出会った瞬間に、他の精子などを受け付けないように卵の外殻をバリヤーとなる膜に変化させます。それを考えると受精卵になるだけでもとても神秘的です。

細胞分裂の繰り返しで胎児になっていく

「受精卵」はまだ卵の状態ですが、内部で休むことなく細胞分裂を繰り返して大きくなっていきます。エコーで見たときに人の形に見えるような大きさになるのは、人にもよりますが早くて妊娠7週目(最後の生理の1日目から7週目という意味)頃です。

もし妊娠していれば、次の生理予定日に生理が来ないと思った段階ですでに子宮内膜に着床済みで、もう受精卵は成長して母体から栄養をもらい始める準備をしています。

着床しないと妊娠にはならない

「妊娠した」といえるのは、受精したときではなく「着床したときが妊娠したとき」です。もっと医学的には「胎嚢、胎芽、心拍が確認されたとき」初めて妊娠と認められます。これは宗教的な話などから進めると、どの段階から妊娠になるのか難しいところなのですが、ここでは一般的に日本の病院で「妊娠していますね」と言われる状態のことを示しています。

子宮内膜に着床した状態になって初めて妊娠検査薬で検知できるhCGホルモン(絨毛性性腺刺激ホルモン)を分泌します。自分で検査できる妊娠検査薬では、これで妊娠したかどうかの目安になります。

受精卵の大きさ

現代の医学では受精したときの受精卵の大きさや、一般的な成長速度や、その日数によってどの部分が作られているのかが解明されています。ただしもちろん目安というだけで、人によって違いがあるのは当たり前なので、必ずしも全く同じである必要はありません。

0.1mmと極めて小さい

排卵日に卵管に移動してきた卵子と、そこで待っていた精子が出会って「受精卵」になった当時の大きさは「0.1mm」と、とっても小さなところから始まります。これは平均的なシャーペンの芯の先(0.4mm~0.5mm)よりもまだまだ小さい大きさになります。

細胞分裂を繰り返し大きくなっていく

受精卵は「0.1mm」の大きさから、胎児となるために細胞分裂を繰り返して大きくなっていきます。成長するために必要な栄養は受精卵の中にあり、子宮内膜に着床するまではこの卵の中の栄養だけでまかないます。まだとても小さな細胞ですので、着床するまでの7日間程は十分成長できる栄養が含まれているのです。

やがて10億倍もの重さの胎児になっていく

受精卵の重さは「3/100万g」です。これが、出産できる状態になると「3000g」ほどになるのですから、受精卵から40週後(約10カ月)にはおよそ10億倍もの重さになるということになります。妊娠後期には腰も痛くなることにも納得の重さですが、この小さな細胞から成長して新しい命が生まれるというのは本当にすごいことです。

着床してからの変化

細胞分裂のタイミングなどは、人によって数日前後することはありますが、全ての人間が同じ過程を経て成長していきます。

胚盤胞となるべく細胞分裂を繰り返す

卵管で精子と卵子が出会い「受精卵」となり、この時点で卵の中は1つの細胞です。受精卵は7日ほどかけてゆっくり子宮内膜に向かいながら細胞分裂を繰り返します。まず翌日には2つに分割され、「初期胚」と呼ばれます。さらに受精卵になって約3日後にはさらに分割が進み「桑実胚」(そうじつはい)と呼ばれる状態になり、約5日後には「胚盤胞」(はいばんほう)という状態になります。

胚盤胞が子宮内膜に辿り着いて着床になる

「胚盤胞」と呼ばれる状態は外殻と内殻に分かれ、内殻には「内細胞塊」という人間になる部分が形成された「胚盤胞」と呼ばれる状態になるのです。この状態になる頃に子宮内膜に到着しますが、「胚盤胞」は一番着床しやすい時期を待って(1日~2日)着床を完了させます。

着床を待つ理由は母体側にあるといわれており、子宮内膜が薄い場合や、母体の調子が悪かったり飢餓状態にある場合などは「胚盤胞」はその危機から回復した最適な状態のときに着床しようと様子をうかがっています。これは卵が自分と母体を守るためとされており、数日で最適な状態にならなければ着床せずに終わるという選択をすることもあるそうです。

胎盤が作られ始める

無事に子宮内膜に着床した「胚盤胞」は、子宮内膜に根を張りながら卵の形を崩して子宮内膜に溶け込んでいきます。このとき、胚盤胞は母体に栄養となるホルモンを分泌させるための信号を送ります。これによって母体から分泌されるホルモンが妊娠検査薬で検知できる hCGホルモン(絨毛性性腺刺激ホルモン)が分泌されます。

このhCGホルモンによって母体から栄養が供給され、4週目~5週目(受精から約10日~15日)「胎嚢」(たいのう)と呼ばれる赤ちゃんを包む袋が作られます。その後、子宮内の細胞と胚が合わさって妊娠16週頃(最後の生理の初日から約4カ月後)までに「胎盤」が完成して安定期に入ります。

胚から胎児へとなっていく

5週目~6週目には胎嚢の中に「胎芽」(たいが)と呼ばれる胚が確認され、心臓、肝臓、手足が作られ始めます。そして6週目~14週目くらいでどんどん成長を続けて人間のような形となり、「胎児」になっていくのです。

受精卵は細胞であるため非常に小さい

精子と卵子が融合した受精卵と呼ばれる状態は「0.1mm」と非常に小さなところから始まります。こんな小さな命から、やがて心臓や肝臓などのあらゆる機能が作られて人間になっていきます。その過程で母体も大きな影響を受け、また影響を与えることになりますので妊娠を希望する段階から葉酸を摂取したり、ストレスを発散して、無理をせず最適な環境をつくって迎えてあげましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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