放置しておくと卵管などが破裂し生命に危険が及ぶ子宮外妊娠。早期発見で適切な処置を受ければ身体への負担も少なく、次回の妊娠も可能です。子宮外妊娠と診断されたときに、速やかに行動できるように、治療法や症状など正しい知識を押さえておきましょう。
子宮外妊娠とは、聞きなれない言葉かもしれません。また、妊娠を希望している方や現在妊娠初期の方の中には、不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。正しい情報を知っておくと冷静に対応することができます。子宮外妊娠は妊娠された方なら誰にでも可能性のあること。いざというときのために、症状や治療法、費用など知識を頭の片隅に入れておくと安心です。
自己判断は難しく、詳しく知らないと不安になってしまう子宮外妊娠ですが、早期発見で正しく治療を行えば、今後の妊娠や出産の可能性も高まります。身体への負担も軽減されるので、どのような症状があるのか確認しておきましょう。
子宮外妊娠という言葉で知られていますが、2009年に学術用語として「異所性妊娠」で統一されることが決まりました。医療機関での説明では「異所性妊娠」といわれるかもしれませんが、ここでは分かりやすく通称名である「子宮外妊娠」を用いて知識を深めていきましょう。
通常の妊娠では、卵巣から排卵された卵子が精子と出会い、受精します。受精卵は卵管を通って子宮へと移動し、着床することで妊娠が成立となります。このように本来なら卵管内で受精して子宮内膜に着床するはずの卵子が、別の場所に着床してしまった状態を子宮外妊娠といいます。
子宮外妊娠で一番多いのは卵管に着床してしまうケースで、全体の約95%を占めています。この他にも着床した場所にって、卵巣妊娠 、腹腔妊娠、頸管妊娠などに分類されますが、ごく稀なケースとなっています。妊娠は成立した状態になりますので、月経はストップします。しかし、症状として不正出血が起こることも多く、この出血を月経と勘違いされる方も多いです。
原因については、はっきりと解明されていませんが、骨盤内感染で、卵管付近に炎症がある、もしくは炎症が過去にあったことにより、受精卵が正常に子宮へ着床しないのではないかといわれています。いずれにしても現在の医療では、早期の発見により早期の治療が可能です。
子宮外妊娠というと、何となく不安になってしまう方もいるかもしれません。子宮外妊娠が起こる確率は決して高いものではなく、初産、2回目以降の出産と全ての妊娠に対し1%?2%といわれています。誰にでも可能性はあるものですが、実際の確立は低いので、むやみに不安になる必要はないでしょう。
全ての妊娠に対しての子宮外妊娠が起こる確率は低く、さらに初産の方に起こる可能性はもっと低いものといえるでしょう。子宮外妊娠が起こったケースのうち約80%は経産婦であるといわれています。つまり、初産では20%以下となります。
特に経産婦に多い理由は明らかになっていませんが、統計結果を見れば明らかです。経産婦の場合、出産の期間が長く空くと、子宮外妊娠の可能性もわずかながら上がる傾向にあります。初産の場合、妊娠の経過を心配してしまうことも多いですが、過剰な心配は控えましょう。
初産、経産婦どちらにしても子宮外妊娠を起こす確率は高いものではありません。では、どのようなケースで子宮外妊娠が起こりやすくなるのか理解しておきましょう。
卵管が閉塞や癒着を起こしている場合、受精卵が正常に子宮内膜へ移動できなくなるケースがあります。過去に開腹手術を受けたことがある、卵巣や卵管の手術を受けたことがある場合は、受精卵が卵管を上手く通ることができず、子宮内で着床しにくく子宮外妊娠となる可能性が高まります。
クラミジアなどの性感染症に罹患し、卵巣や卵管が炎症している場合や、子宮内膜症にかかっている場合も子宮外妊娠の確率は上がります。特に性感染症は近年、日本でも感染者数が増え約100万人以上といわれており、その約70%は10代や20代といわれています。女性の場合は子宮外妊娠などのリスクも高まりますので、気になることや心当たりがある場合は、速やかに医療機関にて検査してもらいましょう。
人工中絶とは子宮内で着床している状態をはがしてしまうので、子宮内の環境を傷つけてしまいます。術後、炎症などが起こらないように適切な処置をするのですが、このときのケアが上手くいかないと子宮内や卵管に炎症が起こり、次回の妊娠時に子宮外妊娠を引き起こす可能性が高くなります。
中絶自体は次回の妊娠が可能ですので、術後の処置も適切にしてもらえる信頼できる医療機関や医師のもとで受けましょう。
経産婦の子宮外妊娠の確率は高いという統計は出ていますが、原因ははっきりしていません。特に前回の妊娠、出産より5年以上空いている場合はさらに確率が上がる傾向にありますので、身体の変化に注意しておきましょう。
前回の出産が帝王切開だった場合は、一種の開腹手術ですので、次回の妊娠が子宮外妊娠となる可能性がわずかながら高まります。術後、卵管が癒着する可能性があるためです。
体外受精で受精卵を、再び子宮内に注入する胚移植を行った場合、子宮外妊娠になる確率は約2%~4%といわれています。
子宮外妊娠の治療時に、次回以降の妊娠の可能性を残すために、卵管を切除しないなどの方法がとられることもあります。この場合に次回以降の妊娠でも子宮外妊娠となってしまう可能性が高くなります。1度子宮外妊娠を経験した方が再び経験する確率は約10%~15%という統計が出ています。
子宮外妊娠とは、放置しておくと卵管など着床したところが破裂、大量出血にて生命に危険が及ぶ場合もあります。次回の妊娠を望む場合は特に早く処置したいものですが、正常な妊娠との違いを見分ける自覚症状などを知っておくと安心です。
実際、不正出血などの症状があることもありますが、正常妊娠でも着床出血や、妊娠初期での出血などはよくあることなので、不正出血だけでは判断できません。子宮外妊娠をした卵管や卵巣の左右どちらかがチクチクと痛むような下腹部痛もあるとされていますが、こちらも自己判断の材料にはできません。正常妊娠の場合でも、子宮が大きくなるときに下腹部痛が起こることもあるからです。
このように、いずれの症状にしても自己判断はできません。妊娠した可能性がある場合は、速やかに産婦人科へ受診し、子宮外妊娠も含めて異常がないかどうか検査してもらうことが一番です。
子宮外妊娠とはいえ、受精卵が着床している状態なので妊娠は成立しているといえるのでしょうか。妊娠検査薬の反応は正常な妊娠と同じように判定が出るのでしょうか。
妊娠検査薬が妊娠しているかどうか判断する決め手は、尿中のhCGホルモンの濃度です。尿中のhCGホルモンの濃度とは、排卵後10日前後より上昇しはじめ、受精卵の着床により分泌量が増えていきます。妊娠検査薬ではhCGホルモン値が50mIU/mlの基準に達すると陽性反応が出る仕組みになっています。
基準値に達するペースには個人差がありますのが、妊娠している場合は、生理開始予定日の1週間後あたりから確実に判定できるとされています。
たとえ子宮外妊娠のような異所性妊娠であっても、受精し着床した場合は妊娠が成立となりますので、hCGホルモンの分泌は盛んになります。つまり、生理開始予定日の1週間後には市販の妊娠検査薬でも陽性の判定が出ます。
妊娠している場合の判定線は1分以内にはっきりと表れます。まれに10分ほど時間を置いてうっすらと陽性サインが出ることもありますが、これは尿の蒸発による蒸発線と思われますので再度検査してみましょう。
妊娠検査薬で陰性が出た場合は、高確率で妊娠していません。ただ稀に排卵日が予測よりも遅れたなどの理由により、hCGホルモン値が生理開始予定日1週間の時点では、妊娠していても基準に達していないこともあります。
多胎児を妊娠している場合や、尿が薄い場合なども妊娠しているにもかかわらず陰性と判定が出ることがあります。このような場合は、1回目の妊娠検査薬使用より、さらに1週間~2週間あけて再検査してみましょう。
子宮外妊娠でもつわりは起こるのでしょうか。正常妊娠と同じつわりなのでしょうか。つわりの有無や、違いで子宮外妊娠の見分けがつくのか知っておくことも大切です。
子宮外妊娠でも受精卵が着床し、妊娠が成立しているので、身体は出産に向けて変化していきます。その過程で、いろいろなホルモンの分泌バランスが崩れることがあるので、吐き気などのつわりが起こります。つまり、つわりは正常妊娠と同じ仕組みで同じように起こります。
この他にも胸のハリや基礎体温の高温が維持される、風邪のような症状など妊娠初期症状が出ることもありますので、自覚症状だけでは正常妊娠と見分けられません。
子宮外妊娠の状態でつわりがない、あるいは軽い方もいるかもしれません。正常妊娠の場合でも、つわりの有無や症状には個人差が大きく、全くない方や軽い方もいます。つわりの有無や軽さだけでは、正常妊娠か子宮外妊娠かの判断はできないでしょう。
一般的にはつわりのピークは妊娠8週~11週といわれています。妊娠6週辺りになると、子宮外妊娠かどうか診察できるので、つわりが始まる前に診断がつくことが多いです。このことからもつわりは、子宮外妊娠かどうかの判断材料にはなりません。
また経産婦で、一人目と二人目で全くつわりの重さや軽さ、タイプが違ったという方もいますので、一人目とつわりが違うからといって正常妊娠ではないということはありません。気になることがあるときは、産婦人科を受診し、早めに相談しましょう。
自己判断の難しい子宮外妊娠ですが、いくつかの注目すべきポイントがあります。早めに対処できるように、ポイントを押さえておきましょう。妊娠したときは、子宮外妊娠などいろいろな心配をしてしまいますが、一人で悩んでいても判断はできません。気になることがあれば、病院で超音波検査などをしてもらい、正確に診断してもらい、必要に応じて治療してもらいましょう。
正常妊娠でも、着床出血や初期の時期は、出血が見られることもあります。子宮外妊娠では、生理開始予定日の前後で早めに出血が見られることがあります。ピンク系のおりものや少量の出血が長く続く場合は要注意。おりものや出血だけでは判断できませんが、出血量が増えていく、減らないでダラダラ続く場合は子宮外妊娠の疑いも出てきますので、早急に産婦人科で受診するようにしましょう。
正常妊娠でも初期などに下腹部痛を感じる方もいますが、子宮外妊娠をした場合では、約9割のケースで下腹部痛が見られるという統計が出ています。下腹部全体や、左右どちらかの脇腹付近に、生理痛のような締め付けられる痛みを感じる場合は、子宮外妊娠の可能性も疑われます。この場合、痛みが治まることなく継続し、日に日に痛みが増していくのも子宮外妊娠をした場合の特徴です。
子宮外妊娠を放置してしまうと、卵管など着床した部分が受精卵の成長によって破裂してしまうこともあります。そのときの痛みは、立っていられないほどの激痛で出血も多くなり、身体への危険度も増します。そうなる前に、気になる下腹部痛を感じたら、すぐに受診しましょう。
正常妊娠では、妊娠6週辺りのエコー検査により胎児を包む胎嚢が確認されることが多いです。尿検査などで妊娠が陽性になっているにも関わらず、この時期あたりで子宮内に胎嚢が確認できないと子宮外妊娠と診断されます。
子宮外妊娠は自覚症状に乏しく、出血などの症状も正常妊娠の初期症状と似ているため、見逃してしまう可能性もあります。不正出血を月経と勘違いしてしまうケースも。もし、そのまま長期間放置してしまうと身体への影響などどうなるのでしょうか。
卵管とは、本来受精卵などの通り道なので、子宮内膜と違い伸縮性がありません。そのため、せっかく着床し受精卵が成長しても妊娠2カ月~3カ月で流産してしまったり、卵管など着床した部分が破裂してしまったりします。出血、つわり、下腹部痛とどの症状も正常妊娠との区別が難しいものばかりですが、気になる症状が出てきたら、産婦人科ですぐに診てもらうようにしましょう。
残念ながら子宮外妊娠とは、現在の医学では予防できません。妊娠初期には妊娠8週までに卵管流産してしまうことも多く、妊娠7週~8週まで進むと卵管など子宮以外の着床した場所が破裂してしまう恐れが出てきます。一般的には妊娠6週頃より出血や下腹部痛が現れ始め、進むにつれて出血量が増えたり痛みが増したりしてきます。
破裂してしまうと、腹部で多量出血が起こり急激で強い痛みが襲います。特に卵管が破裂すると急性貧血を引き起こし、出血性ショック状態に陥ると生命維持にまで危険が及びます。妊娠検査薬の陽性反応だけで安心するのではなく、産婦人科のエコー検査などで、子宮内に胎嚢が確認できるまでは、諸症状に気をつけておきましょう。
子宮外妊娠は、早期に発見し適切な処置を受ければ、次回の妊娠も十分可能になります。身体への負担を減らすためにも少量の出血や、チクチクする下腹部痛など小さな症状も見過ごさず、速やかに産婦人科にてエコーなどの検査を受けましょう。
子宮外妊娠の診断は医師でも非常に難しいものとされています。超音波検査や血液検査など、さまざまな検査の結果から判断することが多いです。
子宮外妊娠か否かの判断は、素人だけではなく専門医にも難しい判断になります。特に妊娠初期の症状は基礎体温やつわりなど、正常妊娠も子宮外妊娠も全く同じなので、慎重に診察しなくてはなりません。
子宮外妊娠の可能性だけでなく、これからの妊娠や出産が安全にできるよう、相談する場所を作っておくこともおすすめです。診察には最近の症状や、経過を見ることもあるので、妊娠検査薬で陽性が出たなど妊娠の可能性が高いときは、速やかに産婦人科を受診しましょう。
一般的には、妊娠6週頃より超音波検査にて赤ちゃんを包む胎嚢が確認できるようになってきます。この辺りで子宮内に胎嚢が確認されないときは、子宮外妊娠の疑いが高くなります。ただし、排卵日が予測よりも遅かったなどの場合もありますので、必ずしも妊娠6週で胎嚢が確認できないから子宮外妊娠だというわけではありません。
尿中のhCGホルモンも調べます。この値が高濃度であり、妊娠の可能性が高いにも関わらず、子宮内に胎嚢が確認されないことも判断材料の一つになってきます。超音波だけでは断定できないので、血液検査・問診・内診なども含め、総合的に診断されていきます。問診では、出血の有無や量、色などの他、痛む場所、強さなどが聞かれますので、気になる症状があれば、記録しておきましょう。
子宮外妊娠と診断された後はどのような治療が行われるのでしょうか。まずは、母体の健康状態や着床している場所を見極めます。治療方法によっては、身体の負担を少なくし、今後の妊娠、出産も可能ですので、希望は早めに医師へ伝えておきましょう。
今後の希望や、着床場所などを見ながら、医師は治療法などの方向性を決めていきます。着床場所や母体の状態によって身体への負担も変わってきます。治療方針や方法など疑問や気になることは、事前に確認するようにしましょう。
治療は身体への負担が少ない方が安心。特に今後、妊娠を希望される方にとっては可能性を残したいものです。子宮外妊娠の治療法の中で一番母体への負担が少ないのが、経過観察をしながら自然流産を待つ方法です。
正常妊娠でも、約10%は染色体異常などにより自然と流産してしまうことがあります。子宮外妊娠でも同じく、受精卵の成長にふさわしい場所に着床していないので、自然に流産してしまうことも珍しくありません。
赤ちゃんを流産してしまうということは、大変悲しいことですがこの方法ですと次回の妊娠にも影響が出にくくなります。開腹手術によって卵巣や卵管を手術によって傷つけることもなく、薬を服用する必要もないので母体には一番負担が無く自然な治療法といえるでしょう。
この治療法を行うには、いくつかの条件があります。妊娠部分が小さく、HCGの血中濃度が低いなど、早期発見ができた場合です。負担の少ない治療をして欲しいなど希望があれば、早めに医師へ伝えましょう。
早期発見ができた場合でも、着床からの時間が進み、受精卵がある程度成長しており、着床部分との癒着が大きいなど症状の経過によっては、緊急に手術することもあります。医師と相談しながら、母体の状態によって決めましょう。
次回の妊娠を希望する場合は、卵管や卵巣を残す必要があります。片方でも機能していれば、妊娠出産は可能です。子宮外妊娠の治療では、mtxという抗がん剤を使って子宮外に着床した胎嚢を消失させる方法があげられます。欧米ではよく使われている治療法で、まだ普及率が低い日本でも今後、さらに広まっていくといわれていますが、現在は保険適用外となります。
開腹手術により摘出した場合の方が、再発度は低くなります。卵管を残し妊娠組織のみ残す手術法もありますが、術後の経過によっては患部の癒着や盛り上がりがみられることもあり、卵管が使える状態のまま温存できるとは限りません。この薬物療法では、卵管や卵巣を傷つけないので、今後の妊娠の可能性を高めるためにも卵管や卵巣を温存しておきたいという方にすすめられている治療法です。
現状では、この方法を実施している医療機関は限られています。HCG値など母体の状態によっては適用できない場合があり、薬物療法が適している値はどの程度なのか医師の間でも判断が分かれているためです。また必ず胎嚢が消滅するわけではなく、薬の効果が出る前に卵管や卵巣が破裂してしまうといったことも起きています。
mtxは抗がん剤なので、人によっては吐き気やめまいなど副作用が出ることもありますが、使用期間が限られていることや、副作用を全く感じなかった方も多いことから、この点については過度に心配しなくても大丈夫でしょう。気になる方は、医師と治療前に確認しておきましょう。
子宮外妊娠の治療でよく行われている方法です。開腹手術というと、恐怖や不安を感じる方も多くいらっしゃるかも知れませんが、近年の医療や道具の進化によりずいぶん改良されてきました。最近では、一般的に腹腔鏡下手術が行われるようになり、身体への負担が軽くなりました。いくつかの方法がありますので、それぞれのメリット、デメリットを確認しておきましょう。
卵管を温存する治療法の一つです。比較的早い時期に診断された場合に行います。腹部に5mm~12mm程度の穴をあけ、医療用の専用カメラで患部を見ながら卵管より胎嚢を取り出します。この方法では、卵管の表面自体を傷つけることなく、内部の絨毛組織を切除するので、成功すれば術後の卵管疎通率は非常に高くなります。手術跡も、他の治療法にくらべて小さいです。
卵管の胎嚢を取り出す際に、絞り出すようにして取り出すので出血することがよくあります。腹腔鏡手術は医師の技術が必要になるため、病院によっては、この方法で治療が受けられないこともあります。また、胎児の心拍が確認できる場合や尿中のhCG値が高い場合などは、この方法は適用できません。
腹腔鏡手術か開腹手術により、着床している部分の卵管を切開し胎嚢を取り出します。その後、卵管の切開部分を閉じるという方法です。この治療法では、妊娠希望の方でhCG値が低く、妊娠部分が5mm以下の心拍が確認されていないこと、また初めての子宮外妊娠で卵管が破裂していないことなど条件があります。この治療法も腹腔鏡手術で行うことができれば、手術跡はそれほど大きく残ることはありません。
この治療法により、卵管そのものは温存することができるので次回以降の妊娠出産は可能ですが、子宮外妊娠を繰り返す可能性が15%程度あるとされていますので留意しておきましょう。また、術後にhCG値が下がりきらない外妊存続症を引き起こした場合は、抗がん剤の投与などで治療を進めていきます。
子宮外妊娠している側の卵管の根元、子宮より分かれているところを医療の糸で結び、切除する方法です。破裂が確認されていないなど、緊急性が無い場合は腹腔鏡手術でも可能です。他の術法に比べて短時間で終わることができます。卵管破裂している部分が確認しやすいので、一時的に出血が治まっていれば、腹腔内で出血を吸引しながら手術することも可能です。
この治療法も医師の技術が必要となりますので、病院によっては受けられないこともあります。開腹手術ですので、出血も見られます。また、今後の妊娠では子宮外妊娠を繰り返す可能性は10%?15%あるといわれています。術後の痛みを感じる方も多いようですが、そのほかの副作用などで心配することはありません。
薬物療法でも、外科的療法でも母体の診察や経過観察のため、入院する必要があります。母体の状態や、手術の方法、経過によって個人差がありますが、おおよその入院期間も知っておきましょう。
薬によって妊娠部分を散らしていく薬物療法では、最低5日は入院します。傷跡も小さく、比較的すぐ終わるという腹腔鏡手術でも約5日程度は入院が必要になります。開腹手術になると、傷の治り具合や、術後の経過の見極めなどがありますので、約10日程度の入院になると思っておいた方がよいでしょう。
入院といえば、費用も気になるところ。事前におおよその費用を押さえておくのがおすすめです。治療法によっては健康保険が適用される、またはされないことがありますので、治療前に確認しておくと安心です。入院の部屋代などもかかりますので、気になる方は病院に諸経費についても質問しておきましょう。
正常妊娠と違い、子宮外妊娠の手術療法を受ける場合は、健康保険が適用されます。3割負担になるので、費用もグッと払いやすくなります。一般的には3割負担で約13万円?20万円というところが相場のようです。
腹腔鏡手術よりは開腹手術の方が安いといわれていますが、その分入院期間が延びる可能性が高いので、諸経費が掛かり、結果的には大きな差は無くなることが多いです。個人部屋利用などの差額ベット費以外は健康保険が適用されますので、3割負担となります。費用も気になりますが、医師と相談して一番ぴったりの治療法を選びましょう。
高額療養費制度というのは、同一人物が同一の医療機関や薬局で健康保険を利用して支払った1カ月分の金額が一定の基準以上になると超えた金額が加入している健康保険より返ってくるという制度です。基準は、対象者の年齢や所得などにより変わりますので、詳しくは加入している健康保険組合へ問い合わせてみましょう。
入院期間や治療法にもおりますが、高額になることが多いので忘れずに請求申請しましょう。もちろん子宮外妊娠での治療、入院にも適用されます。この他にも、民間の医療保険などに加入している場合は、請求対象になっていることもありますので、加入している保険会社にも忘れず問い合わせておきましょう。
腹腔鏡手術や開腹手術と違い、薬物で治療する場合には健康保険は適用されません。母体の状態にもよりますが、一回の注射治療につき約5日程度の入院が必要になります。これを1クールとして、全額負担で1クール約5万円程度かかると思っておくとよいでしょう。
治療の経過によっては、1クールで終わらないこともあります。薬物療法を続けていくと、高額な医療費になる可能性もあります。その場合は、薬物療法を続けるか腹腔鏡手術など治療法を変えるか、医師と相談してみましょう。
母体への負担が少ない薬物療法ですが、健康保険適用外ですので治療の経過によっては高額な治療費になることも考えられます。
最近では、女性向けに女性疾病特約に特化した民間の保険を販売している保険会社も多くなってきました。いざというときのために加入している方で、子宮外妊娠と診断された場合は、女性疾病特約の対象の中に子宮外妊娠が含まれていることもありますので、確認しておきましょう。未加入の方でも気になる方は民間の保険もチェックしてみてください。
薬物療法、腹腔鏡手術などいづれも決して安くない治療費ですが、身体のためには大切な治療です。いざというときに焦らないでも済むように、費用の準備はどうするのか民間の保険会社も含め、検討しておくことも重要です。
せっかくの妊娠で喜んだものの、子宮外妊娠という現実にあい、悲しみを感じる方も多くいます。一方で、子宮外妊娠を経験しながら、その後に正常妊娠、出産を経て待望の赤ちゃんを抱くことができた方も多いです。
子宮外妊娠後に、再び妊娠を希望された方のうち約90%は正常妊娠をされているという統計もあります。術後は、しばらく身体の回復期間が必要になりますが、適切な治療をしていれば、妊娠にも問題ありません。どのような場合に、今後の妊娠が望めるのかも押さえておきましょう。
子宮外妊娠の治療により、卵管を片方摘出してしまうと妊娠できないのではないか、妊娠できる確率が半分になるのではないかと不安に感じられる方もいるでしょう。結論からいいますと、片方の卵管でも自然妊娠は十分可能ですし、妊娠の確率も半分に下がるといったこともありません。片方の卵巣や卵管が正常に機能してくれていれば、自然妊娠も十分にできます。
受精卵の通り道が確保されていれば、妊娠は可能です。子宮外妊娠によって片方の卵管を摘出し不安な方は、残っている方の卵管の通りを調べる検査を受けることも可能です。今後の妊娠計画の進め方についても医師や家族と相談していきましょう。
片方の卵管が残っていれば自然妊娠も十分可能ですが、両方の卵管を摘出した場合は妊娠できないのでしょうか。両方の卵管を摘出した方でも多くの方が妊娠出産していらっしゃいます。両方の卵管を摘出した場合は人工授精での妊娠、出産となります。体外受精での出産で二人以上の子どもを出産された子宮外妊娠経験者もいます。
卵管が破裂してから手術するよりも、余裕のある時期に行った方が、身体への負担も少なく、術後に患部が癒着するなどのリスクも低くなります。妊娠出産も可能ですので必要以上に手術を恐れず、メリットも考慮しながら治療を受けてみましょう。
体外受精では、胚盤胞を移植するという方法で行われることが多く、着床する確率が高いので妊娠された方もたくさんいいます。卵管が無いと妊娠できないのではないか、体外受精で本当に妊娠できるのかと不安に思われる方もいるでしょう。
妊娠を希望される方は、子宮外妊娠経験の有無にかかわらず、考えすぎてストレスを感じてしまうと、ホルモンバランスにも影響し妊娠への影響も出てしまいます。子宮外妊娠での卵管摘出後に妊娠出産された方は、たくさんいますので、あまり悩みすぎず、まずは医師とゆっくり相談してみることをおすすめします。
子宮外妊娠とは重症化すると、生命にも危険を及ぼす可能性があります。そのような事態を回避するためにも、早期に診断がつけば受けられる治療の幅が広がります。身体への負担や今後の妊娠のリスクを軽減することができます。
妊娠検査薬で陽性判定が出たなど、妊娠の可能性が高まった時点で受診しておけば、早くに発見できやすくなります。妊娠とは、母体の安全が最優先ですので心配なことや、気になる症状があれば、早めに医療機関で相談しておきましょう。
薬物療法の他にも、外科手術にも種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。かかる費用も違い、個人病院か総合病院かでも多少の費用に違いが出てくるようです。また、希望する治療法が受診した病院で可能かどうかも確かめておく必要があります。
特に手術では医師の技術が重要になってきますので、口コミなども含めて、信頼できる病院を探しましょう。産婦人科で、今後の希望などを伝え、納得できる治療法を選ぶことが大切です。
子宮外妊娠が発覚したときは、悲しみでいっぱいになるかもしれません。しかし、その後多くの方が赤ちゃんを抱くことができています。恐れず、将来につなげるためにも、まずはしっかりと治療していきましょう。早期発見に向けて少しでも思い当たる点があったら早めに病院にかかることが大切。不安や恐怖もありますが、考えすぎず、パートナーや家族と共に前向きに進めていきましょう。