不妊治療は保険の適用外なので、体外受精や顕微授精を行うと、かなりの費用負担を強いられます。
不妊治療の費用負担を軽減するため、2004年から「特定不妊治療費助成制度」がスタート、助成金が支給されてきました。
不妊治療を受ける決断をする前に、どのような助成制度なのか、いくら助成金がもらえるのかなど、事前に確認しておきましょう。
不妊治療の中でも「体外受精」と「顕微受精」には、高額な治療費用がかかります。
厚生労働省では負担をできるだけサポートするため、「特定不妊治療助成制度」によって助成金が支給していますが、都道府県、市区町村によっても独自に助成金を追加している自治体がありますので、それらを上手に活用しましょう。
助成金は1回15万円(地域によっては30万円)となっており、1年間で受けられる助成金の最高額は、治療開始年齢によっても1年間で受けられる回数が違うため(平成28年から助成回数や期間が段階的に変更)、事前に確認しておきましょう。
助成を受けるためには、体外受精や顕微授精を自治体によって指定された医療機関(厚生労働省のWEBサイトに指定医療機関一覧があります)で受ける必要があります。
不妊治療の助成金には、国と都道府県・市区町村でそれぞれ制度がありますが、申請場所は国も自治体も同じで、各自治体にある保健センターになります。
特定不妊治療助成を受けられるのは、以下の条件を満たしている必要があります。
・特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがない医師に診断された、法律上の婚姻をしている夫婦
・夫婦合算の年収が730万円以内(所得制限を設けていない自治体もある)
・治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満
・指定医療機関での治療
助成金の申請は、自治体の窓口で手続きしますが、締め切り期限があるので、事前に確認してください。
申請期限は、国と自治体で異なっており、「治療日を含めて60日間」の場合もあれば、「年度内」の場合もありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
「特定不妊治療助成制度」を申請するには、以下の書類が必要となります。
1. 特定不妊治療費助成申請書
2. 特定不妊治療費助成事業受診等証明書(医療機関が発行)
3. 住民票(申請日から3ヶ月以内に発行されたもの)
4. 戸籍謄本(申請日から3ヶ月以内に発行されたもの)
5. 夫婦それぞれの前年の所得を証明する書類
6. 指定医療機関発行の領収書(保険適用外診療分)
自治体によって、領収書はコピーでも良いところ、原本が必要なところなど違いがありますので、原本を提出する際には、他の申請に使用する可能性を考え、返却される形で申請するようにしてください。
東京都の助成金は、平成28年4月1日より、不妊治療のステージによって違ってきます。
※()内の数字は初回の助成金
・治療ステージA(新鮮胚移植の実施):20万円(30万円)
・治療ステージB(凍結胚移植の実施):25万円(30万円)
・治療ステージC(以前の凍結胚を解凍して移植)・F(良好な卵子が得られない):7.5万円
・治療ステージD(体調不良で移植中止)・E(受精できず):15万円(30万円)
東京都は、2回目以降の助成金を15万円から20万円に増額しています。
また港区では、夫婦合算の所得制限(730万円)がありません。
港区では1年度あたり30万円を限度に、東京都で申請した助成金以上にかかった不妊治療への治療費が助成金として支払われます。
男性不妊治療でも、精子の採取方法によって15万円までが補助されるなど、東京都の市区町村によっても様々な制度があるため、役所やホームページなどで確認をしてください。
独自の助成制度を実施している都道府県で有名なのが、京都府や三重県内の市町です。
京都府では、体外受精・顕微授精だけではなく、人工授精についても助成を行っています。
保険が適用される不妊治療や人工授精に対しても、1年度10万円を上限として、自己負担額の1/2を助成しています。
原則助成金は特定不妊治療1回に対して15万円(平成28年から初回30万円)ですが、自治体によっては助成対象になる治療内容の範囲拡大、助成金の上乗せ、回数延長などを行っているので、住んでいる市町村や都道府県の制度を確認しましょう。
不妊治療に取り組むにあたって、一番の心配ごとは「いつ妊娠・出産できるのか」ということはもちろん、「一体、費用がいくらかかるのか」ということではないでしょうか。
「赤ちゃんを授かるまでに1,000万円ほどかかった」という体験談などを耳にすると、赤ちゃんを諦めてしまう人もいるかもしれません。
でも、国や自治体の助成制度を上手に活用すれば、費用負担を軽減することが可能です。
また、医療費が高額になれば、確定申告をすることによって、医療費控除の対象となります。
こうした助成制度、節税対策によって少しでも負担を減らし、治療そのものに集中して取り組んで、元気な赤ちゃんを抱きかかえてくださいね。