2017.08.02

稽留流産とは?症状、兆候、原因、手術後の妊娠は可能?

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やっと宿った赤ちゃん…その喜びは、ひとしおでしょう。

ところが、せっかくの喜びもつかの間、突然の流産でがっかりしてしまうことも決して少なくはありません。
流産になる確率は約15%といいますから、多くの方が経験していることです。

流産にもいろいろな種類がありますが、発生率が高い初期流産の中の「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」について、原因や兆候、処置方法などについてまとめてみました。

◆ 稽留流産 (けいりゅうりゅうざん) とは?

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稽留流産とは、胎児が死亡してしまい、妊娠が継続できない状態になっていても、まだ出産・腹痛などの症状がなく、胎児が子宮内にとどまっている自然流産のひとつです。

自然と出血が始まり、胎児が外に出てくると進行流産となりますが、放置しておくと、強い腹痛と大量の出血を伴う危険な状態となる場合もあります。

稽留流産は、出血や腹痛などの自覚症状が現れることなく、定期的な検診で判明するまでほとんど気付くことがないケースが多い流産です。

赤ちゃんが超音波(エコー検査)で見え始めてくるのが、大体6週目くらいからになります。
それまでは卵黄嚢などで確認していたのが、実際に画像で見えるようになり、さらに心拍が確認されるようになります。

その時期になっても、胎児の確認や心拍が聞こえないという状態なら、稽留流産の疑いがあります。

◆ 稽留流産の兆候とは?

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つわりが軽くなった、あるいはなくなった、基礎体温が下がったなどの症状がある人もいるようですが、稽留流産では、はっきりした自覚症状がありません。

赤ちゃんは心臓が止まっていてもまだ子宮のなかにいるため、つわりが見られるケースもあり、基礎体温が下がらないことも多いようです。
定期的な検診では、エコー検査で胎児の成長や心拍を確認しますが、成長した胎児や心拍が確認できない場合に稽留流産と診断されます。

流産の兆候といえば、腹痛や大量の出血というイメージがありますが、そういう自覚症状のないことが、稽留流産の特徴です。

◆ 稽留流産と診断されたら?

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稽留流産と診断されると、「手術」をするか、「自然 (完全) 流産を待つ」か、どちらかの処置をしなければなりません。

赤ちゃんはすでに亡くなった状態ですから、そのまま妊娠を継続することはできず、子宮内の赤ちゃんや組織を取り出す「子宮内容除去術」という手術が必要となります。

自然に外に出てくるのを待つこともありますが、放置しておくと進行流産に移行し、強い腹痛や大量の出血を伴う危険な状態になることもあるため、稽留流産が見つかって1週間後くらいには、手術を行うかどうかの判断をします。
手術は、局部麻酔か全身麻酔で、所要時間は10分ほどです。

◆ 稽留流産の手術後、また妊娠できるの?

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稽留流産の手術後は、しばらく安静にしていなければなりません。
自力でトイレに行けるようになったら退院できますが、退院後も身体の回復のため1~2週間ほどは安静にしていましょう。

手術後に出血をすることもありますが、1週間ほどで治まってきます。
だらだらと出血が続く場合や、大量の出血があった場合は、すぐ手術を行った産婦人科を受診してください。

妊活中の方が気になるのは、一度でも稽留流産を経験すると「流産を繰り返すのではないか」という不安です。

でも安心してください。

流産したからといって、流産しやすくなるということはあまり関係ありません。

また、再び妊娠ができるかどうかということも、それほど心配することはありません。
一般的には、流産後2回の生理を待ってから妊娠に臨むというのが理想的といわれています。

流産したからといって、焦らずポジティブにとらえ、赤ちゃんが授かりやすいカラダづくりを心がけましょう。

◆ 稽留流産の原因は?

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稽留流産になる原因は、ほとんどが胎児の染色体異常によるものだと考えられています。
染色体異常の精子や卵子が受精して着床すると、細胞分裂の過程で成長が止まってしまうようです。

稽留流産が、母体側の働き方や運動が直接原因となることは、ほとんどありません。

母体の子宮組織の代謝異常が、赤ちゃんが育ちにくい子宮環境をつくりあげてしまったということもありますが、普段の生活スタイルが原因ということは、あまりありません。

ただし、喫煙が原因で流産や早産を引き起こすことはあります。
また、子宮筋腫、子宮奇形、子宮頸管無力症などの子宮の異常や、性感染症、高齢や外傷などが影響することは、多少なりともあるようです。

まとめ

稽留流産を経験したからといって、決して落ち込む必要はありません。
妊娠したという事実があるわけですから、カラダの調子を整えていけば、次は無事に妊娠・出産できる可能性が高くなると考えられるからです。

妊娠初期の流産は胎児側の問題であることが多く、原因も分からないことがほとんどなので、母体側にできることはごく限られています。

ネガティブになると、不安がストレスになり、自律神経も乱れてしまいます。
その方が、かえって赤ちゃんが授かりにくくなります。

自分を責めるのではなく、次の妊娠に向けて、まずは妊娠に適したカラダづくりに取り組み、あらゆる方法を試してみましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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