妊娠初期に、少量の出血や軽い腹痛に見舞われることがあります。
正常な妊娠であっても、こうした症状がみられることもありますが、流産や切迫流産の場合もあります。
切迫流産とは、流産の一歩手前の状態で、妊娠22週未満で出血や痛みといった症状を伴い流産しかかっている状態を指します。
一般の流産は、基本的に妊娠継続は不可能ですが、切迫流産は妊娠継続の可能性があり、赤ちゃんを無事に出産することもできます。
切迫流産とはどういうものか、そして対処方法などについてみていきましょう。
妊娠22週より前に妊娠が終わることを流産といい、切迫流産とは、妊娠22週未満で、胎児がまだ子宮内に残っているものの、流産をしかけている状態、または流産のリスクがある状態のことを指します。
妊娠初期は、母体も胎児も不安定な状態であるため、出血や腹痛の症状などが出ることもありますが、それは子宮に何らかの異常が起こっているサインであることが多いようです。
とくに出血に関しては、切迫早産の可能性もあるので、自己判断をせずに、主治医の診察を受けましょう。
切迫流産の疑いのある症状は、生理の始まりのような出血と生理痛のような腹痛です。
妊娠しているにもかかわらず、生理痛のような下腹部痛や、お腹が張っているような感じがあれば、切迫流産かもしれません。
不正出血も切迫流産でよく起こる症状ですが、出血の量は微量から多量と人によって違います。
生理でもないのに出血があるとどうしても不安になりますが、妊娠初期には、受精卵が着床する際に起こる着床出血もあるので、出血=切迫流産と決めつけるのは早計です。
ただし、出血や腹痛が何日も続くようであれば、注意が必要です。
切迫流産では、子宮が収縮することで痙攣のような激しい痛みに襲われ、場合によっては立つこともできないこともあります。
少しでもおかしいと感じた時点で、主治医に相談しましょう。
病院では子宮収縮抑制剤などを用い、症状に対して適切な治療を施してくれます。
また、超音波診断によって子宮内の胎児の状態を確認し、よほどのことがない限り自宅で安静にするように指導されます。
なぜ安静が必要なのかといえば、安静にすることで流産を回避できた事例が多くあるからです。
家事などはできるだけ家族にお願いし、ゆっくりと休める環境を整えましょう。
仕事を持っている女性の場合は、職場に診断書を提出して事情を説明し、休職することがベストな選択です。
基本的には、経過観察で様子を見ながら、母体に負担をかけないよう静かに過ごします。
それは、妊娠を継続させるためですので、ぜひご家族にも協力してもらいましょう。
大量出血がある場合や、早産になりそうな場合などは、入院措置がとられます。
とくに早産になりそうな兆候があれば、すぐに対応することが必要ですから、何事においても早期発見、早期治療が重要となります。
切迫流産で入院する場合、入院期間は人によって異なり、1週間程度で退院できることもあれば、数か月以上になることもあります。
入院中は、必要に応じて出血や子宮収縮を抑えるための薬が投与され、安静に過ごすことになります。
症状によっては、絶対安静となることもあり、その場合、入院生活はかなり制限されます。
そして気になるのが、入院の費用です。
必要なのは治療費と食費、さらに1人部屋を希望すれば、差額ベッド代がプラスされます。
切迫流産のような妊娠に関わるトラブルで、治療の必要性を医師が判断した場合には、治療費は健康保険が適用されますが、食費は一部負担、差額ベッド代は全額自己負担になります。
早期流産の原因で最も多いのが、赤ちゃん自体の染色体などの異常です。
つまり、受精した瞬間に流産するという運命が、決まってしまっているのです。
切迫流産については、今のところ原因を特定できる検査法は確立されていません。
胎児の染色体異常や多胎妊娠の他、疲れやストレスといった母体そのものにかかる負担が主な原因とされています。
また、胎盤後血腫や子宮の炎症や頸管無力症、子宮筋腫といった母体の病気が隠れている場合もあります。
ですから、原因についてあれこれ悩むより、大切なのはお腹の中の赤ちゃんの命を守るために、医師の指示に従って冷静に対処することです。
流産や切迫流産で、少量の出血などが始まったからといって、慌てて医療機関に駆け込んでも、対処法はありません。
ですから、夜間や休日に少量の出血や軽度の腹痛があっても、軽度なら救急外来を受診するほどではありません。
ただし、腹痛がひどい場合は異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性がありますので、その場合は、時間外であっても受診しましょう。
切迫流産と診断されても、その後、元気な赤ちゃんを出産した方はたくさんいます。
お腹の赤ちゃんに順調に成長してもらうために、ご主人やご両親や家族のサポートを受けながら、医師の指示通り、安静に過ごすようにしましょう。
もし切迫流産になってしまったとしても、冷静に対処できるような対策をしっかりと把握しておくことで、リスクを軽減することはできます。
流産になるかもしれないと聞くと、どうしても不安ばかりが大きくなってしまいますが、一人で頑張りすぎないこと、周りの人たちの助けをどんどん活用していきましょう。