妊娠したいけどなかなか授からない。
そんな悩みを抱え、不妊治療を行う30代から40代の女性はたくさんいます。
そこで不妊治療の方法や、高齢での不妊治療のリスクや費用、いつまで治療を続けるかなど、高齢での不妊治療の悩みを解消していきましょう。
年齢が上がるにつれ、高齢になってきてしまうと、さらに妊娠しにくくなるうえに、妊娠したとしても高齢出産のリスクが格段に上がります。
高齢での妊娠の確率とリスクを理解し、不妊治療を何歳まで続けるか決めておくことが大切です。
何歳から高齢出産となるのか、また高齢で不妊治療を受ける際のリスクについてご紹介します。
日本産科婦人科学会によると、35歳以上の初産婦を「高齢出産」と定義しています。
1990年代の初期の頃は、高齢出産は30歳からといわれていましたが、晩婚化や女性の社会進出が進むにつれて、30歳以上の初産婦が増えたことにより、35歳へと引き上げられました。
妊娠と出産に適した年代は、10代後半から30代前半であり、30代後半を過ぎると子宮の能力や、卵子の数と質が低下し始めます。
40代になるとさらに著しく低下し、50歳以上となると妊娠の可能性はほぼゼロに近い状態に。
女性の卵巣内にある卵子の元となる卵母細胞は、生まれる前の胎児の頃に約700万個作られますが、その後増えることはなく減り続け、出生時には約200万個まで減少。
思春期の排卵が始まる頃には約30万個まで減少してしまいます。
排卵のたびに、卵母細胞はさらに400個から500個ずつ減りつづけ、残りが1000個以下になると閉経に至ります。
また、加齢により「ミトコンドリア」という細胞内のエネルギーを調節する器官が機能低下することにより、卵子の質も低下をするという研究結果も出ているのです。
質の良くない卵子は、受精しにくく、受精したとしても育たずに流産をしてしまう確率も高まります。
高齢出産では、母体にもリスクがありますが、同時に胎児にもリスクがあるのです。
35歳以下の流産率は約15%ですが、35歳以上になると約20%まであがります。
40歳以上になると約40%、42歳では約50%にまで流産率は高くなります。
また、高齢での妊娠は「妊娠高血圧症候群」のリスクも高くなっています。
妊娠高血圧症候群とは、妊娠によって母体の内臓や血管に負担がかかり、妊娠20週以降に高血圧になってしまうこと。
妊婦全体の約20人に1人はかかるといわれており、35歳以上の妊婦は特にかかりやすくなります。
妊娠高血圧症候群になると、胎児の発育不全や低体重のリスクも高くなるのです。
加齢にともない、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の病気も起こりやすくなります。
どちらも不妊の原因となる病気のため、不妊治療を行う前に先に治療が必要です。
婦人科系の病気の中でももっとも多い疾患。
特に、35歳以上の女性で15%~30%は子宮筋腫ができてしまっている方がいるようです。
発症には、エストロゲンという女性ホルモンが関わっており、性成熟期といわれる30代、高齢出産といわれる年代から多く発生する病気でといわれています。
20代~30代へと進むにつれて、発生率が高くなっていき、40代が最も多いといわれている子宮内膜症。
子宮内膜症は、妊娠・出産により、一時的に生理が止まり、自然に治ることが多い病気ですが、高齢で妊娠・出産の経験がないと自然治癒の機会もなくなるため、高齢での子宮内膜症で悩む女性が増えています。
不妊治療の成功率は35歳からの高齢出産といわれる年齢から減少していきます。
30代前半では不妊治療での妊娠の成功率は約30%ですが、40歳では約13%まで下がり、45歳には約3%と大変低くなります。
不妊治療の中でも妊娠の確率が高い体外受精だけの確率を見ても、30代前半では35%から40%ある確率が、45歳では約6%まで下がります。
年齢があがるにつれ、やはり生殖器の老化が進んでしまい、どんどん妊娠しにくい身体へとなってしまいます。
なるべく確率の高いうちに早めに不妊治療を開始して、成功率を高くするようにしましょう。
栄養のバランスの偏った食事や、不規則な食生活をしていると、自律神経やホルモンバランスが乱れ妊娠しにくい身体になってしまいます。
また、ダイエットによる痩せすぎや、逆に太りすぎでもホルモンバランスが乱れますので、バランスの良い食事をとり適正体重を保ちましょう。
妊娠しやすい身体へとなるために必要な栄養はタンパク質です。
タンパク質は、ホルモンバランスを整えるだけでなく、卵子の老化を防ぐ活性酵素もタンパク質でできています。
タンパク質の多く含まれる肉や魚、大豆製品など積極的に食事に取り入れましょう。
不妊治療中は外食などを避け、なるべく自炊をしてバランスのよい食生活をしましょう。
妊娠しやすい身体になるためには、適度な運動が必要になります。
体力不足だと体の血流の流れが悪くなってしまいますが、適度な運動で卵巣への血の巡りを良くすることで妊娠しやすくなります。
卵巣内の血液が不足すると、卵子が老化がさらに進行してしまいますので、体力をつけて体の血の巡りを良くしましょう。
また、適度な運動を行うことでストレス発散となり、ホルモンバランスの乱れを改善することができます。
卵子を育てるホルモンが刺激され、生殖器を健康な状態にすることで生理周期の乱れの改善にも効果的であり、妊娠しやすい身体になります。
過度な運動は必要ありませんので、ウォーキングや軽い運動をしてストレス発散し、ホルモンバランスを整え、体力をつけて卵子の老化を防ぎましょう。
不妊治療中の煙草とお酒は不妊治療に悪い影響を与えます。
煙草に含まれるニコチンには血管が収縮してしまう作用があり身体が血行不良となり、卵巣への血の巡りが悪くなるため卵巣の機能を低下させてしまいます。
さらに煙草の煙に含まれている過酸化水素が、身体の老化を促進させるため、生殖器の老化も進んでしまい、妊娠しにくくなってしまいます。
不妊治療中には必ず禁煙をしましょう。
アメリカの生殖医学界によると、1日2杯のアルコールの摂取で不妊の割合が60%増えると発表されており、週に4回以上アルコールを摂取しているカップルの体外受精の成功率は48%減少し、受精に成功し妊娠しても流産の確率が2倍となるというデータがあります。
過度の飲酒により、月経不順となる可能性が高まり、また老化を促進させる活性酵素が発生してしまうので、卵子の質が落ちてしまいます。
飲むとしても必ず適度な量を守りましょう。
妊娠しやすい身体づくりには、十分な睡眠が必要です。寝ている間に分泌される睡眠ホルモンといわれるメラトニンには、老化の原因となる活性酵素から卵子を守ってくれる働きがあります。
このメラトニンは、シンデレラタイムである22時から2時の間に活発に分泌されるため、シンデレラタイムには寝るように心がけましょう。
また、健康な眠りは浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を交互に繰り返しています。
眠りの中の一番最初の深い眠りのノンレム睡眠のときに、成長ホルモンが活発に分泌されます。
この成長ホルモンは妊娠しやすい身体になるために欠かせない女性ホルモンの分泌を調整してくれる働きをします。
不妊治療中は十分な睡眠を心がけましょう。
不妊治療を続けていくと、ストレスや疲れ、体への負担がかかります。
周りからのプレッシャー、先の見えない不安、結果の出ないショックを受け止められない、そんなストレスが治療が長引くほど強くかかってきます。
また、薬の副作用や治療方法によって痛みを伴うものもあり、身体の負担も多くかかります。
ストレスや疲れは、ホルモンバランスを乱してしまうので不妊治療の大敵ですが、その不妊治療によってかかるストレスのため、悪循環に陥ります。
そして限界を感じ、不妊治療を続けることが難しくなってきます。
限界を感じた時は、不妊治療を続けていくべきなのかあきらめるのか、よく考える必要があります。
不妊治療にはとても費用がかかります。
国や自治体からの助成金が出ることもありますが、自費での出費はかなりの金額です。
より妊娠の確率を上げよう治療方法を高度なものにするほど、さらに高額な費用となり、経済的負担が大きくなり、治療を続けていくことが困難になってきます。
経済的に不妊治療を続けていくことができなくなり、治療をあきらめるかたもたくさんいます。
費用についても十分に考え、不妊治療を続けていくかしっかり考えましょう。
不妊治療を成功させるには、生活の改善や、早めの開始が大変重要です。
30代から40代へなると不妊治療の成功率もぐっと下がり、心や体、経済的に大きな負担となります。
高齢での不妊治療は、パートナーや家族ときちんと相談しあって納得のいく計画をたて、妊娠のために協力しあいましょう。