子供が欲しい夫婦で、自然妊娠が難しい場合、別の方法で子供を授かることを希望するケースもあるのではないでしょうか。
その一つに体外受精がありますが、夫婦が体外受精を試みると、一体どのようなメリットとデメリットがあるのでしょう?
子供が欲しいと願う夫婦が、自然妊娠でなかなか子供を授からない場合に、不妊治療での自然妊娠、または人工授精などを、医師からすすめられることも多いでしょう。
人工受精を試みても、状況が思わしくないときに、次のステップとして取り組む方法が体外受精です。
体外受精とは、通常なら人間の体内で行われる受精を、体の外で行う妊娠方法です。
別名「顕微授精」とも呼ばれていましたが、現在は「体外受精」との呼び方がより一般的です。
体外受精は、精子や卵子が正常であれば、高い確率での妊娠が可能な方法ですが、その際に起こり得ることなどについて見ていきましょう。
体外受精は、現在では世界的に行われている不妊治療の一つですが、体外受精を試みるときに、どのようなデメリットが考えられるでしょうか。
こちらで、基本的なデメリットをみていきたいと思います。
体外受精の大きな特徴として挙げられることは、人工的にかなり高い確率で、受精できる方法であるということです。
体の機能的には特に問題はないけれど、自然に妊娠をしないという場合には、次の二つのパターンが考えられます。
まず一つは、体内で受精がされないというケースです。
そしてもう一つが、精子と卵子そのものの力が低下していたり、質が悪かったりするケースです。
後者の場合、体外受精を試みた場合も、受精が難しいという可能性があります。
体外受精においては、まずは女性の体内から、卵子を取り出す必要がありますが、その際に痛みや副作用が出ることがあります。
この治療に使われる薬が、排卵誘発剤です。
女性が自然に排卵できる状態であっても、採卵のときに、確実に排卵状態を作るために、誘発剤が使われるのです。
この排卵誘発剤も、副作用の原因になることがあります。
排卵誘発剤の使用は、採卵手術の約1週間前から継続して行われます。
そして、採卵手術のときには、卵巣の卵胞から卵子と卵子液を取り出すのですが、そのときに痛みが出たり、あとで副作用が出たりすることがあるのです。
この手術は、エコーで観察しながら行われますが、麻酔をかける場合と無麻酔の場合があります。
体外受精で妊娠を希望している夫婦の中には、男性のほうの精子の質が良くないために、以前に生殖補助治療を受けた人もいます。
このようなケースでは、平均成人男性の精子に比べ、精子の数が少なく、精子一つ一つの動きも鈍いとという特徴があるのです。
そのような男性の精子を使い、体外受精をしたときには、次のような可能性があります。
生まれてくる子供が男児だった場合、父親の生殖能力や精子の性質が、遺伝として受け継がれる可能性が高いということです。
体外受精を検討している夫婦が、最初に知りたいことの一つは、体外受精の費用がどの位かということではないでしょうか。
費用と一口にいっても、採卵、培養、胚移植などの方法によっても金額が違います。
また、受診する医療機関によっても大きく違ってくるのです。
体外受精・顕微授精は、保険の適用外の治療法となりますので、当然ながらかかる費用は、全て実費になります。
費用は安いところで十数万円からで、高額のところは100万円と差が大きいようです。
治療費は、各医療機関の料金表を確認するか、実際に相談をするなどして、かかる費用を事前に知っておきましょう。
また、こういった不妊治療には、費用面でかなりの負担になることから、国の助成金制度がありますので、紹介していきます。
国が不妊治療を受けた人に対して行っている制度は、「特定不妊治療費助成制度」と呼ばれています。
この制度では、一回にかかった治療費に対して、15万円までが助成される制度で、初回は30万円までの助成が受けられるシステムです。
結胚移植や採卵を行わない治療に関しても、最大75,000円まで助成が受けられるので、不妊治療を検討している人は各自治体にぜひ確認してみましょう。
ただしこの制度は、年齢や回数にも制限がありますので、こちらも事前に調べておくことが必要です。
体外受精はひと昔前に比べれば、敷居が低くなったように思われますが、そのことは日本の高齢出産率や、少子化も関連しているのではないでしょうか。ここでは、これから体外受精のメリットを挙げていきますので、体外受精を受ける際の判断材料として参考にしてみて下さい。
不妊症で悩むカップルの中には、男性側の不妊ということもあります。その一つに無精子症がありますが、これは検査のときに、精液中に精子が一つもない状態のことです。
無精子症と診断されて、妊娠が不可能と思いがちですが、ケースによっては体外受精による妊娠が、可能となることがあります。
無精子症にはニつのタイプがあり、一つは睾丸自体に問題がある場合と、もう一つは睾丸からの管に問題があり、うまく精子が排出されていない場合があります。
同じ無精子症でも、後者のようなケースで、睾丸の中にわずかにでも精子が残っているときには、精子を取り出して体外受精が可能となるのです。
不妊症のケースでも、女性側が不妊の傾向がある場合についても、体外受精による妊娠が可能なことがあります。
その一つとして挙げられる原因は、卵管に問題がある場合です。
具体例としては、卵巣が正常に働いていても、卵管が細かったりつまっていたりしていて、卵子が子宮まで到達しないケースがあります。
このような場合は、体外受精で妊娠が可能になることが多いのです。
体外受精の際は女性の採卵手術を行い、卵子を排卵前に取り出すために、確実に成熟卵が数個から10個ほど採取できます。
卵管に問題がある不妊の場合は、卵管の治療によって自然妊娠ができる場合もあります。
卵管治療後も妊娠ができない場合は、体外受精によって妊娠が可能となることが多々あります。
体外受精を行うことのもう一つのメリットは、体外受精は人工受精よりも、妊娠する確率が高いということです。
それでは、同じ不妊治療でもなぜ妊娠できる確率が違うのでしょうか。
その違いについてみていきます。
人工授精は、男性側の精液から、精子を人工的に摘出することは同じですが、そのあとの方法が、体外受精とは違います。
人工授精は、この採取した精液を、女性の生殖器に注入して妊娠を待つ方法です。
一方、体外受精は、人工的にシャーレ上で受精をさせたあとに、2~3日経過して細胞分裂を始めた胚を、女性の体内に注入するという方法ですので、受精が既に終ってからの手術で、より妊娠がしやすいということなのです。
体外受精を行う場合、メリットもありますが、一方で、体外受精で起こりうるリスクやデメリットはどのようなものがあるでしょうか。
もしあるとしたら、どのような注意が必要なのかをみていきます。
体外受精を行うときは、女性側に関しての手術として、体内から卵子を取り出す必要があります。
その際に、まずホルモン剤などでホルモン量の調整をして、手術の2日前に、排卵誘発剤を注射する流れになります。
その後、手術で膣壁から卵胞に針を刺して、卵子を吸引します。
このように、女性側から卵子を取り出すためには、薬の使用や生殖器に針を刺すことが伴うために、それが大変な負担とストレスになるといえるでしょう。
人によってはホルモン剤が合わずに、副作用が出るケースもありますので、身体的にも精神的にも大きなストレスになることが考えられます。
体外受精においてのショート法とは、女性の排卵周期に合わせて、点鼻薬や卵胞の発育を促す製剤注射を使用する治療です。
さまざまな薬と注射の影響から、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用が出ることがあります。
また、同時に卵巣の機能が低下しているケースでは、卵胞があまり発育しないことがあります。
それにより、卵子の数があまり採れないということが発生することがあるのです。
ショート法には、このようなリスクの可能性がありますが、一般的に治療期間が短く済み、薬の量も少なくて済みます。
ロング法は、排卵誘発法を用いる体外受精のもう一つの方法です。
ロング法はショート法と同じように、点鼻薬や注射を用いますが、違う点としては、長い期間で卵胞を成熟させていくことです。
また、自己注射や注射の量が多い、治療費が高くなるなどの違いもあります。
ロング法のリスクとしては、長い期間の治療の影響で、卵巣が腫れる恐れがあるということです。
ロング法は、よりたくさんの卵子を採取したいという人に向いていますので、年齢に関していえば、より若い人が受けている治療法です。
体外受精の治療は、メリットとリスクの両方を伴った治療法です。
体外受精は、人工授精で効果が出なかった人が行うことが多いですが、どのタイミングで体外受精に切り替えるかどうかを、医師とよく相談して見極めた上で、治療を開始しましょう。
同時に、体への影響やリスクをよく考えたうえで、決断して開始することが大変重要なことといえるでしょう。
まずは、体外受精に関しての情報を収集して、自分に合う方法や助成制度なども調べ、不安を取り除いたうえで、治療に入ることをおすすめします。