2018.06.02

人工授精と体外受精の違いとは?成功率に違いはある?

ARTICLE

最近では、晩婚化が進んでいることで不妊に悩んでいる女性が増えています。

不妊に悩む多くの人が不妊治療を行いますが、不安やストレスがつきものです。

ですが、治療を始める前に基礎知識を知っておくことで、不妊治療に対する不安を減らすことができます。

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技術が必要になる人工授精と体外受精

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最近では女性の社会進出が進んでいることで晩婚化が進み、女性の結婚する年齢が上がってきているとともに出産する年齢も上がってきています。

そのため、不妊に悩んでいる人も多くなってきており、不妊治療を受ける人が増えてきています。

不妊治療は、人工授精と呼ばれる方法や体外受精と呼ばれる方法などさまざまな方法があります。

また、不妊治療は医療機関に行き、医師の力を借りなければ行うことができません。

そのため、人工授精と体外受精は専門的な技術が必要不可欠な方法です。

人工授精と体外受精の違い

治療の流れ

人工授精の場合は、まず人工授精を行う日に男性の精子を採取します。

採取は、自宅や医療機関などで行い、採取後は医療機関で質のよい精子を集めます。

女性側は、超音波検査や血液検査などを事前に行い、排卵日を正確に予測します。

排卵日に合わせて人工授精を行うことで、受精や着床する確率を上げることが出来ます。

その後、採取した洗浄や濃縮した精子を細い管を使用して、直接女性の子宮の中へ届けます。

体外受精の場合は、女性の卵子を十分に成熟した状態で採取することができるように、あらかじめ内服薬や注射などを使用して卵巣を刺激していきます。

また、超音波検査や血液検査などを利用して排卵日の予測を行います。

排卵日には、卵子を採取し、同時に、男性の精液を自宅や医療機関で採取します。

その後、人の手で卵子と精子を受精させ、胚盤胞と呼ばれるまでに受精卵が成長したら子宮の中に受精卵を戻し、子宮内膜に着床するのを待ちます。

卵子と精子の授精方法

人工授精を行った場合は、精子を直接子宮に届け、子宮内で卵子と精子が出会い受精が行われます。

そのため、自然妊娠と同じように受精し、子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。

通常の体外受精の場合は、採取した精子と卵子を人工的に受精させます。

その後、受精した受精卵を専用の培養液で培養し、子宮のなかに戻すことができる胚盤胞と呼ばれるまでに成長するのを待ちます。

しかし、通常の体外受精で妊娠するのが困難の場合や精液の状態が悪い場合は、顕微授精という方法が行われます。

顕微授精は、顕微鏡をのぞきながら細い管を使用して精子を卵子に注入させることで受精させる方法です。

顕微授精を行うことで、1つの卵子に対して1つの精子で受精することができるため、妊娠の成功率を高めることができます。

女性の体への負担のかかり方

人工授精や体外受精は、女性の子宮内にある卵子を直接採卵するため、痛みを伴うのかと不安になってしまいます。

採卵をする際には、多少の痛みを感じる人もいれば、まったく感じない人もいるため、感じ方は人それぞれです。

ですが、痛みに不安がある人は静脈麻酔や局所麻酔を行うことも可能なため、痛みによるストレスを減らすことができます。

人工授精の場合は、採取した精子を女性の子宮内に直接届けます。

通常1分から2分で終わることが多く、ほとんど痛みを感じることはありません。

体外受精の場合は、一度卵子を採卵する際に痛みを感じることがあります。

痛みの原因として採卵をする際に使用する採卵針の太さが影響していると考えられます。

使用する針が太ければ太いほど痛みを強く感じてしまいます。

副作用のリスク

人工授精を行った場合、通常子宮頚管がバリアとなって、ばい菌が体内に侵入してくるのを防いでいますが、精液が子宮内に侵入することで、直接ばい菌が入り込んでしまう可能性が高くなります。

また、膣に存在していたばい菌が子宮内に入り込んでしまう可能性もあります。

その際、ばい菌がお腹の中まで入り込んでしまうことがあり、腹膜炎を起こすリスクがあります。

子宮内膜症や感染症を持っている人は、腹膜炎になりやすい傾向があります。

体外受精を行った場合、体外受精を行うときに使用する卵巣刺激剤や排卵誘発剤によって卵巣過剰刺激症候群を引き起こす可能性があります。

使用する薬の効果は人それぞれですが、強く反応してしまった場合、過剰に分泌されてしまうことが原因と考えられています。

また、卵巣肥大や腹水、胸水、血栓症、呼吸困難などのリスクも伴います。

治療にかかる総費用

人工授精の場合は、保険適応外となるため、全額を自己負担する必要があります。

治療の内容や病院によっても前後しますが、一般的には1回行うごとに、約2万円から3万円かかることが多いです。

体外受精の場合も、保険適応外となるため、全額を負担する必要があります。

また、顕微授精においても保険適応外です。卵巣刺激法や採卵、培養、胚移植など治療の内容によって費用も前後していき、病院によっても差があります。

ですが、体外受精や顕微授精などの不妊治療を受けた人を対象とした助成金制度があります。

特定不妊治療費助成制度といわれていて、費用の一部を助成してもらうことができます。

人工授精と体外受精の成功確率の比較

人工授精は平均10%前後

人工授精を行った場合、妊娠の成功率は一般的に約10%といわれています。

また、治療を始めた状態や女性の年齢、病院によってばらつきがあるため、自分に合った病院を見つけることが重要です。

また、人工授精の場合は、1回で妊娠する人もいれば、何回行っても妊娠しない人もいます。

人工授精を行っている人で、約90%の人が4回から5回までの人工授精で妊娠しています。

そのため、4回から6回行っても妊娠することができない場合は、体外受精などの次のステップに進む必要があります。

体外受精は平均40%

体外受精の妊娠成功率は、女性の年齢によって変わってきます。

年齢が高いほど下がる傾向にあり、35歳以下の場合の妊娠成功率は「約40%前後」といわれています。

しかし、40歳になると約25%、44歳では10%以下と年齢が高ければ高いほど、妊娠する確率は下がります。

女性の年齢が高くなるほど、卵子の数が減ってしまいます。

また、卵子の質も下がってしまうことで、妊娠する確率も下がってしまいます。

そのため、体外受精を行う場合は、なるべく早めに始めるようにしましょう。

人工授精から体外受精にステップアップする目安

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検査で自然妊娠が難しいと判断された時

何回も排卵日などにタイミングを合わせて性行為を行っているにも関わらず妊娠をすることができない場合は、不妊治療の相談のために医療機関を受診するとよいでしょう。

治療前に不妊の原因になっているものを知るために検査が行われますが、この際に無精子症や卵管の詰まりによって自然妊娠が難しいと判断されることがあります。

無精子症は、精液の中に精子がない状態のことをいい、自然妊娠をするのは難しい状態です。

ですが、精巣上体や精巣内に精子がいれば、体外受精をすることで、妊娠の可能性があります。

また、何らかの原因があり卵管が詰まっている状態のことを卵管閉塞と呼びます。

卵管閉塞は、卵子が通る卵管を塞いでしまうので、精子と出会い、受精することができません。

この場合、自然妊娠をすることは難しいですが、体外受精をすることで妊娠できる可能性が高くなります。

不妊の原因が男女ともに不明の時

自然妊娠で妊娠することができず、医療機関で細かい検査を受けても異常が見当たらないことがあります。

ですが、検査で不妊の原因がわからない場合でも不妊治療を行うにつれて原因が判明することもあります。

体外受精を行うことで、治療と同時進行で、卵子の状態や受精障害の有無を見極めることができます。

また、検査を進めるうちに卵管が癒着していることが原因で不妊になっていることが分かった場合でも、体外受精では卵管を使わないため、受精する確率が高くなります。

人工授精にチャレンジしても授からなかった時

多くの人がまず最初にタイミング法と呼ばれる不妊治療から始めるでしょう。

しかし、タイミング法で妊娠することができない場合の次のステップとして、人工授精が行われます。

人工授精の場合は、直接子宮に精子を届けることができるため、子宮にたどり着くまでに精子が死んでしまうリスクを下げることができます。

そのため、タイミング法に比べて妊娠の成功率が高く、4回から5回行った場合に約90%の女性が妊娠に成功しています。

5~6回人工授精を行ったにもかかわらず妊娠することができない場合は、体外受精にステップアップする目安となります。

医師とよく話し合って治療方針を決めよう

最近では、不妊に悩む女性も増えてきており、不妊治療を行う夫婦も増えてきています。

不妊治療は、最初はタイミング法から始まりますが、妊娠することができない場合は、人工授精、体外受精、顕微授精とステップアップしていく必要があります。

不妊治療は、不安やストレスなどを感じやすくなったり、体に負担がかかるなど、つらいことも多いでしょう。

しかし、治療を始める前に治療の内容を把握しておくことで、安心して不妊治療を進めることができます。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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