不妊に悩む多くの人が最初に取り組むのがタイミング法です。
自己流ではなく病院でのタイミング法を行うことにより、妊娠の確率をより上げることができます。
その内容がどういったもので、注意点はあるのでしょうか。
こちらの記事ではその辺りについてまとめていますので、うまく活用して妊娠の成功率を上げていきましょう。
子どもが欲しいけれど、なかなか妊娠できない…
日本では現在6組に1組のカップルが不妊に悩んでいるといわれています。
病院での不妊治療を検討している方もいらっしゃるでしょう。
一般的に病院における不妊治療でまず初めに行われるのが「タイミング法」です。
タイミング法は、排卵日を医師が予測した上で妊娠しやすい日に性交を行う方法で、5周期で約90%の人が妊娠できたというデータもあります。
不妊治療の中では肉体的にも精神的にも、また金銭的にも最も負担の少ない方法であり、これから不妊治療に取り組もうという方は、まず病院でのタイミング法からチャレンジしてみましょう。
不妊治療の最初のステップである病院でのタイミング法ですが、どういった方に特におすすめできるのでしょうか。
以下のいずれかに当てはまる方は、ぜひ選択肢の一つとして検討してみてください。
タイミング法は、自分たちだけでも取り組める方法のため、すでに自己流で行っているという方も多いでしょう。
しかし、それでも妊娠に繋がらなかったという方は、病院でのタイミング法に進んでみてはいかがでしょうか。
自己流では大体の排卵時期の予測しかできませんが、病院で検査を行えばより正確な排卵日の予測が可能になり、自己流よりも妊娠の確率を高めることができます。
目安としては3回自己流で行ってみたものの妊娠に至らなかった場合、病院で指導を受けることを検討してみましょう。
女性が自然に妊娠できる確率は年齢により異なりますが、35歳以降は大きく低下するといわれています。
35歳を過ぎてなかなか授からず、不安や焦りを感じている方もいらっしゃるでしょう。
そういった方は自然妊娠の可能性がこれからさらに年齢とともに低くなることを考慮に入れ、妊娠の成功率を上げるために病院でのタイミング法を早めに試してみることをおすすめします。
これまでに、子宮内膜症など自然妊娠を妨げる病気にかかったことがある方は、果たして妊娠できるのかどうかと不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
そういった方もまずは病院でのタイミング法を試してみるとよいでしょう。
それでもやはり妊娠が難しいと判断される場合もあるかと思いますが、そのときは人工授精へのステップアップも可能です。
人工授精などの不妊治療は敷居が高いという方も、最初のステップとしてタイミング法からであれば取り組みやすいでしょう。
それでは、病院でのタイミング法はどういった手順で行われるのでしょうか。
各ステップを順番に1つずつ見ていきたいと思います。
タイミング法において重要なのは、排卵日をできるだけ正確に予測することです。
そのためにまず必要となるのが、基礎体温表です。
基礎体温を見れば、大体の排卵時期を予測することが可能となります。
基礎体温によって毎月の自分の体のリズムも知ることができますので、妊活中の方は毎日きちんと測り、基礎体温表に記録しましょう。
ただし、基礎体温だけでは正確な排卵日の予測は難しく、排卵時期が近づいてきたら次のステップとして病院での検査を行う必要があります。
次に行うのは、病院での卵巣・卵胞のチェックです。
卵胞は、卵巣の中にある、卵子を含んだ袋状の組織のことで、排卵日に近づくほど大きく成長します。
排卵時期が近づいてきたら病院で超音波検査を行い、卵巣に異常がないか、卵胞がどの程度成長しているかを確認します。
卵胞が20ミリ程度の大きさになると排卵が起こるとされていますので、卵胞の大きさにより排卵日の正確な予測を行うことができます。
排卵日付近で超音波検査にて卵胞の大きさをチェックし、正確な排卵日を予測します。
より正確な判断を行うため、採血・採尿を行ってホルモンの値を調べることもあります。
正確な排卵日の予測がなされると、医師が最も妊娠しやすい日を選び、性交のタイミングを指導してくれます。
排卵日の2日前から当日が妊娠しやすいとされており、この期間に指定されることになるでしょう。
医師の指示に基づき、指定された日に性交します。
決められた日に行わなければならないため、特に男性側が精神的なプレッシャーを抱えることも考えられます。
互いに追い詰められたような気持ちになったり、これがもとで夫婦関係の悪化を招くことがないよう、あらかじめ話し合いをし、互いに理解・協力し合うよう心がけましょう。
また、充分な睡眠と栄養を摂り、規則正しい生活をして備えておくことも大切です。
医師から指定された日に性交を行ったら、数日後に改めて病院での診察を受けます。
ここで再び超音波検査にて卵巣の様子を確認し、排卵が行われたかどうかを見ます。
このとき、排卵前には見えていた卵胞がなくなっていれば、排卵が行われたと判断されます。
また、排卵後は黄体ホルモンが卵巣から分泌されますが、これは妊娠・出産には欠かせないホルモンです。
この黄体ホルモンの分泌量が充分であるかどうか、高温期中期(高温期7日目頃)に血液検査を行って調べます。
その結果、少ないようであれば注射によって補充を行います。
不妊治療というと、高額の費用がかかるというイメージを持っている方も多いと思います。
病院でのタイミング法を受ける場合に必要となる費用は、通院の回数や薬の使用の有無などにより差が出てきます。
タイミング法は保険適用がされますので、一回の受診に必要な金額は2千円から3千円程度に収まることが多いでしょう。
ただし、一部は保険適用外となるため、注意が必要です。
特に、卵胞の大きさを確認するために必要な超音波検査は月1回までが保険適用内となり、2回以上行った場合は自費での支払い(3千円から4千円程度)が必要となります。
排卵を促すための排卵誘発剤を用いる場合にはその費用も追加されます。
1週期あたり1万円~2万円程度は見ておく必要があるでしょう。
タイミング法は不妊治療の第一歩であり、比較的気楽に取り掛かることのできる方法です。
しかし、決められた日に性交しなければならないというのは、男性にとって女性が想像する以上に精神的な負担となります。
妊娠は夫婦の協力があってこそ成り立つものですから、夫婦間での気遣いを忘れないようにしましょう。
また、夫婦生活が義務的なものにならないよう、夫婦間でのコミュニケーションを大切にし、互いへの愛情を忘れないよう心掛けることが大切です。
病院での不妊治療というと、どうしても抵抗があるという方もいらっしゃると思いますが、今は不妊に悩んでいる人も多く、決して珍しいことではありません。
もし悩んでいるのであれば、まずはタイミング法から試してみてはいかがでしょうか。