体外受精を受けた後、生理が来なければ受ける必要のあるという妊娠判定。
体外受精後いつごろ結果がでるのか、1日でも早く知りたいところです。
妊娠の兆候や体外受精後どう過ごせばよいのかを知り判定日に備えましょう。
体外受精は卵巣から取り出した卵子(採卵)と精子(採精)を受精させ、受精卵を培養してから子宮に戻します。
妊娠判定までの日数は移植する受精卵の状態によって変わります。
細胞分裂を開始した受精卵は「胚」と呼ばれ、受精して2~3日目のおよそ8分割になった受精卵を移植する場合を分割胚移植といいます。
この場合、移植後うまくいけば3~5日で着床します。
着床が成功すると妊娠となりますが、着床後すぐにわかるわけではありません。
妊娠すると分泌されるのがhCGというホルモン。
血液検査でこのホルモンを測定して妊娠判定をします。
その値が十分な値になるまで少しかかりますので、8分割移植の場合は移植後13日目以降に妊娠判定を行います。
受精して2~3日目の初期胚をさらに培養し、着床直前まで成熟した受精卵を胚盤胞といいます。
この胚盤胞を5~7日目に移植する場合を胚盤胚移植といい、移植後うまくいけば1~2日で着床。
分割胚移植同様、妊娠判定にはhCGホルモン検査を行いますので、胚盤胚移植の場合は移植後11日目以降に妊娠判定を行います。
妊娠していてもhCGホルモンが十分でなければ、陽性反応が出ないことがあります。
また、不妊治療中はhCG注射を受けていることもあるため、検査の結果が正確に出ないことも。
そのため病院では正確な妊娠判定を行うために、胚移植後7~9日後、採卵日から数えると14~16日目以降に妊娠判定を行います。
無事に受精卵が着床し、妊娠が成立すると身体は赤ちゃんを育てるためのhCGホルモンを分泌します。
これにより身体に様々な変化を感じるようになるのが、次のような妊娠超初期症状です。
・吐き気、頭痛、腹痛
・胸の張り、痛み
・おりものの変化
・便秘、下痢
・味覚や嗅覚の変化
上記のように、妊娠超初期症状は生理前の症状と似ています。また、吐き気や頭痛、微熱などは風邪の初期症状にも似ているため、自己判断で薬を服用しないようにしましょう。
受精卵が子宮内膜にもぐりこむことを着床といい、着床する際に子宮内膜の粘膜を傷つけ、まれに出血が起こることも。
これを着床出血といい、この時に下腹部に起こる痛みを着床痛といいます。
引っ張られるように痛むやキューンと痛む、チクチク痛むなど感じかたには個人差があります。逆に何も感じないという人も多いそうです。
着床出血も必ず起こるというわけではなく、色や量も人それぞれです。
妊娠超初期症状も着床痛も個人差が大きいため、症状がないからといって妊娠していないわけではありません。
あまり不安に思わず神経質になりすぎないようにしてください。
妊娠判定は、妊娠ホルモンと呼ばれるhCGホルモンが分泌されているかどうかを検査します。
hCGとは、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン。
妊娠状態を保つために働いているホルモンです。エストロゲンとプロゲステロンの分泌を促し、受精卵のベッドを作ります。
他にも胎児の性分化に関与したり、子宮血管の拡張、子宮平滑筋の弛緩、リラキシンの分泌促進、ステロイド合成、母体の免疫抑制などの働きがあります。
hCGホルモンは着床後徐々に分泌量が増え、一般的にhCG数値が100mIU/mLを超えたら妊娠と判定されます。
着床後すぐでは濃度が薄く正確な判定ができません。
また、hCG注射を受けている場合妊娠していないのに陽性反応がでることもあります。
病院では確実な判定を行うため、移植後14~21日経過した後に行われます。
hCGホルモンで妊娠判定をうけるとその後は、超音波検査で経過観察を行います。
妊娠判定で陽性がでた時点では一般的に妊娠4週。
妊娠5週ごろになると胎嚢という赤ちゃんを包む袋が見え始めます。
妊娠6週では赤ちゃんの姿、胎芽が見え始め、妊娠7週で赤ちゃんの心拍も確認可能。
赤ちゃんの心拍が確認されて初めて正常な妊娠と診断されます。
ただ、胎嚢や胎芽の確認できる時期は個人差がありますので、週数を気にしすぎないようにしましょう。
1日でも早く妊娠が知りたい。そう思う人には市販の検査薬を使う方法があります。
妊娠判定の基準となるhCGホルモンは、尿中にも分泌されています。
市販の検査薬では一定量の尿をかけ、そのままラインがでるのを待つだけで妊娠を知ることができます。
しかし、妊娠判定日より前の早すぎる使用は、まだhCG濃度が上がっていないことから妊娠していても陰性になることも。
また尿検査で行うため、その時のhCG量ではなく少しタイムラグが生じます。
hCG注射を受けているといった場合はまだ抜けておらず実際よりも高い値となり、妊娠していないのに陽性反応がでることがあるため注意しましょう。
いずれにしろ、正常な妊娠かどうかを市販の検査薬では判定することはできないため、必ず医療機関に来院することが大切です。
体外受精後の過ごし方は基本的にいつも通りで大丈夫です。
胚移植後の過ごし方で妊娠率が変わることはありません。
ただ、採卵や胚移植の当日は感染症を避けるため、入浴はせず、シャワー浴に。
その後は身体に大きく負担になるような激しい運動は避け、軽めのウォーキングや散歩にしてください。
夫婦生活も移植後2~3日は避けたほうがよいとされています。
性行為は子宮の収縮を促し、精液にもそのような作用がある可能性があります。
なるべくなら避けたほうがよいでしょう。
胚移植から妊娠判定まで約2週間かかります。
その間、イライラしたり、不安になったり気持ちが落ち着かないかもしれません。
しかし、ストレスは万病の元。ストレスは身体に悪影響を与えます。
何か特別なことをする必要はありません。
むしろ行動をいちいち気にしてはストレスを感じてしまいます。
普段通りの生活を心がけ、神経質になりすぎないようリラックスする時間を持つことが大切です。
湯船に浸かったり、温かい飲み物を飲むといった身体を温めることは、血流を良くし子宮や卵巣に良いだけではなく、リラックス効果も同時にあります。
好きな音楽を聞いたり、カラオケにいったり、美味しいものを食べたり日頃からストレスをうまく発散できるようにしておきましょう。
身体のリズムを整えるには、規則正しい生活が重要。
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。
そして十分な睡眠、さらには質のよい睡眠をとることは健康状態を整えるうえで基本となります。
しっかり寝て、朝シャッキリ起きれば自律神経である副交感神経と交感神経の働きを正常にします。
女性ホルモンにも大きな影響を与える自律神経。
夜10時~午前2時は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、女性ホルモンや自律神経にかかわる様々なホルモンが分泌されます。
つまり、女性ホルモンの分泌には質のよい睡眠がとても大切。
質のよい睡眠をとれていれば、疲労回復や免疫力の向上にも繋がります。
健康な身体は当然妊娠力も上がります。
質のいい睡眠を得るために、食事や飲酒は寝る2~3時間前には済まし、寝る前には心と体を落ち着けてリラックスしましょう。
規則正しく、バランスのとれた食生活は体外受精後に限らず、妊娠しやすい身体づくりには不可欠。
特に女性の場合は、やせすぎでも太りすぎでもホルモンバランスが崩れてしまう要因になります。
過度なダイエットはせず1日3食しっかり摂るようにしましょう。
1日3食バランスの摂れた食事は自律神経も整えてくれます。
カロリー過多や糖分、塩分が多い食事は身体に負担がかかりますが、それでストレスを感じてしまっては元も子もないので、ストレスに感じない程度に控えましょう。
1日を通して、肉や魚、野菜などをバランスよく食べ偏らないような食生活を送りましょう。
また、アルコール、カフェインの過剰摂取にも注意しましょう。
体外受精後は少しの身体の変化も妊娠の兆候ではと気になってしまいます。
色々な情報に敏感になってしまいますが、あくまで妊娠の兆候は個人差が大きいということを忘れないで下さい。
一人一人違う身体ですので、起きることもすべて違います。
生活習慣を整え、体にストレスを与えないよう心穏やかに過ごしてください。
それが自分にとっても赤ちゃんにとっても一番大切なことです。