受精卵が着床するときの症状としてあらわれるといわれる「着床出血」。
妊娠を期待している方にとって、生理出血とどのように違うのか気になりますよね。
違いや見分けが付きにくいため、心配になったり残念な気持ちになることも。
こちらの記事では、そんな着床出血について詳しく解説します。
女性が初潮を迎えてから閉経するまで、毎月1回は訪れる生理。
妊活をしている方にとって、生理が来てしまうと残念な結果になることがありますが、ちょっと違ったケースもあります。
それが「着床出血」です。
着床出血は、受精卵が着床することで生じるといわれているもので、妊娠の可能性を含む出血であり生理とは違います。
そこで、着床出血の特徴や違いなど、見分け方を知り、妊娠の有無を確認しましょう。
着床出血とはどのようなものなのでしょうか。
生理とは全く違うものなので、特徴から違いを見ていきましょう。
着床出血の色は、生理の時のような鮮血ではない場合が多く、おりものが薄いピンク色をしていると感じたり、うっすらと茶色の血が下着やティッシュに付く程度というのがほとんどのようです。
しかし、人によっては生理の時と変わらないような鮮血があったという例もあるので、必ずしもピンク色や茶色をしていれば着床出血であるとはいい切れません。
個人差があるので、はっきりと「この色であればが着床出血だ」とはいい切れないのが現実。
普段から生理の出血量を観察し、いつもと少し様子が違うということがあれば、着床出血の可能性を含みます。
生理の周期が安定している人であれば、生理予定日の1週間前~数日前に出血が合った場合、着床出血の可能性が考えられます。
これは、受精卵が着床するまでに7日ほどかかるためで、受精した場合、着床するのは排卵日から数えてちょうど1週間後ぐらいです。
その時期に下着やトイレットペーパーに血がついたりすることで、出血に気がつくことがあります。
時期が近いことと、出血するという点で症状も似ていることから、生理が少し早めに来たと勘違いしてしまう場合も多いようです。
着床出血だった場合は、通常の生理とは異なる特徴がいろいろあります。
生理周期が整っていて、出血するにはまだ早いというときは着床出血かもしれません。
しかし、生理周期が整っていない方は見分け方が難しいため、いずれにしても生理がいつ来たかを年間通して確認しておくとよいでしょう。
着床出血が続く期間は、下着やトイレットペーパーに少し血が付く程度の出血が1日だけだったという人もいれば、生理のときのように1週間続いたという人もいるため、人それぞれで個人差があります。
しかし、ほとんどの場合は、
おりものに少し血が混ざっているかな?
という程度の症状が2~3日程度のようです。
「着床出血かな?」という出血があったらカレンダーに書き込むなどして、それが何日間続くのか自分でチェックしてみるとよいでしょう。
着床出血が起こるとき、足の付根の部分や下腹部あたりに、ちくちくとした痛みを感じる人もいます。
これは受精卵が子宮内膜の奥へと入り込むときに、周りの血管を傷つけることで起こる痛みだと考えられていて、「着床痛」などと呼ばれています。
しかし、その痛みが起こる仕組みについて、今のところは医学的な根拠はないようです。
中には、排卵のときに排卵痛を感じる人もいるので、敏感な体質の方は着床のときに起こるわずかな痛みを感じるのでしょう。
受精卵が着床し、胎芽を育てていく過程で、子宮は弱い収縮を繰り返しています。
その子宮収縮がちくちくとした痛みを感じさせている場合もあります。
生理痛の痛みも、子宮が収縮することで起こるという点で共通していて、似たような痛みであるため、違いを見分けるのは難しいといえます。
中には、出血しても、痛みはまったく感じないという人もいるため、痛みが無かったから着床出血ではないだろうと簡単に判断することはできないでしょう。
生理のときの出血は、古くなった子宮内膜がはがれ落ちることで起こります。
そのとき、子宮内部の粘液や粘膜、膣内の分泌物や酵素が含まれているので、少し生臭いような独特の匂いを感じることも。
それと比べて着床出血は、受精卵が子宮内膜の奥に潜り込むときに小さな血管を傷つけることで起こる出血なので、生理の時とは成分が違っているため無臭に近いことが多いでしょう。
したがって、生理の時の経血や、おりものの量や匂い、色は普段からよく観察しておくとよいです。
着床出血との違いを見極めるだけでなく、体調の変化や病気などの発見にもつながります。
着床出血が生じるメカニズムには、以下のような点が考えられます。
生理の時の出血は、受精卵を迎えるために厚くなった子宮内膜が使われることなく、はがれ落ちることで起こる出血です。
妊娠すると、分泌されるホルモンhCG(ヒトじゅう毛性ゴナドトロピン)の刺激により、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され続け、生理がこなくなります。
しかし、このhCGというホルモンの最初の分泌量が少なかった場合、エストロゲンとプロゲステロンへの働きかけが上手くいかず、一時的に生理に近いような出血、つまり着床出血が起こると考えられています。
受精卵の表面には、「じゅう毛」と呼ばれる植物の根っこのような形の組織があります。
そのじゅう毛は、子宮内膜の奥の方へ根を張るようにして深く潜り込んでいきます。
このじゅう毛が子宮内膜に根を張っていくことで、胎盤となる部分を作っていくのです。
じゅう毛が根を張った衝撃で、子宮内膜の周囲にある毛細血管や、組織を傷つけて出血します。
出血した血液はほとんど体内に吸収されますが、吸収されなかった分の血液がおりものに混ざったりして出ていくのが着床出血だといわれています。
着床出血が生じた場合、生理の時とは違い、体にも少し変化が現れます。
症状を見て、着床出血かどうかを見極めましょう。
着床出血が起きたという場合、受精卵が着床するとhCG(ヒトじゅう毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌されます。
それによって体内のホルモンバランスが急激に変化するので、早い人は「つわり」の症状を感じ始めるでしょう。
つわりのようなものとは、吐き気やおう吐、胸やけといった症状が出ることです。
また、今まで普通に食べられたものが食べられなくなったり、なにか特定の物を食べたくなったりと、食事の好き嫌いが激しくなるなど、味覚の変化が起こります。
着床出血時や妊娠時には、匂いが敏感になるというのも症状の1つです。
これまで使っていた衣類用洗剤や、シャンプー・石けんなどの匂いも好き嫌いが出てくるという症状が出る方もいます。
無理して気分が悪くなるのを我慢せず、使うものを替えたりして対応しましょう。
着床出血が起こる時期の女性の体は、ホルモンバランスが急激に変化していきます。
そのため、ちょっとしたことでイライラしたりしてしまったり、突然悲しくなる、落ち込みやすなるなどと感情的になりやすくなります。
また、急に涙が止まらなくなるという症状もあります。
これらの症状は、生理前の症状(PMS)とよく似ている上に、その時期もほとんど同じなので、違いを判断するのが難しいかもしれません。
ですが、PMSの時よりも症状がさらに重く感じたり、長く続くというような特徴があるので、それによって見分けることができます。
情緒不安定な状態になってしまいがちですが、パートナーとも話し合いやコミュニケーションを取って、よく理解してもらうようにするとよいでしょう。ホルモンの影響なので、この時期は感情のコントロールが上手くいかなくても仕方がありません。
女性の体温は、生理が始まるときに低くなり、排卵後に高くなります。着床し、妊娠が成立すると体温が高いままの状態が続くので、微熱や体が重いようなだるさを感じます。
体が火照るような感覚と、眠気を伴うだるさを感じるという症状がみられます。
ですから、生理予定日よりも前に出血があり、体温が高く体のだるさを感じる場合は、着床出血の可能性が高いといえるでしょう。
着床出血と生理を見分けるのは、基礎体温を見てみると最も分かりやすいといわれています。
妊娠を意識するようになったら、普段から基礎体温を測るようにすると自分でも判断しやすくなりますね。
着床出血時に起こる症状として、下腹部痛や下痢・便秘などがあります。
これは、妊娠すると分泌される女性ホルモン、hCG(ヒトじゅう毛性ゴナドトロピン)や、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)といったホルモンによるものです。
これらのホルモンには、腸の働きを鈍くする作用があります。その影響によって、腸の機能が低下してしまい、下腹部痛が起こったり、下痢や便秘を引き起こしてしまうのです。
また、受精卵は、着床すると根を張るようにして潜り込み、すごい早さで成長をしていきます。
それに伴って子宮にもさまざまな変化が起こり、下腹部に痛みを感じたりする場合があります。
お腹の調子がよくないときは、冷たいものを飲みすぎたりしないようにし、食べ物は消化のよいものを選ぶようにしましょう。
着床出血が起こるのと同じ時期に、異常なほどの強い眠気を感じるということがよくあるようです。
生理前にも眠くなるという症状はよくあることですが、その時の眠気とは違って、突然の強い眠気や、立っていられないほどの眠気に襲われてしまうという症状があらわれます。
これは、受精卵が着床することで、プロゲステロンというホルモンが分泌される影響によるものです。
着床の時期は、流産の可能性も高い時期。受精卵の成長を優先するために、体を休めようという働きから眠くなるとも考えられています。
眠気を感じたら、睡眠をとることが大切です。
仕事や家事も、可能であればちょっと休憩をして、たっぷり睡眠を取り、体を休めることです。
休みすぎて、昼夜逆転にならないように注意しましょう。
着床出血するということは、妊娠している可能性があるということ。
妊活しているのであれば、以下の点に注意しながら過ごしましょう。
妊娠中のタバコや飲酒は胎児によくないというのを聞いたこともあるでしょう。
特に、着床出血の症状がみられる時期は「妊娠超初期」といわれ、子宮の中で受精卵がこれから育っていくための準備をするために、急激に変化をしていくとてもデリケートな時期。
タバコや飲酒は、早期流産や低体重児などのリスクを招く原因にもなるといわれています。
普段からお酒やタバコを口にしている人も、着床出血があった時は、できるだけ早めに辞める努力をしましょう。
また、パートナーや家族に喫煙する人がいる場合は、家の中や車内など、副流煙を吸ってしまう距離で吸わないように協力してもうことも大切です。
ホルモンバランスの影響で、イライラしやすくなったり急に泣きたくなるなど精神的に不安定な時期でもあります。
さらにこの時期は、ホルモンが与える影響で、体にも微熱やだるさ、下痢や便秘などとさまざまな症状があらわれることで、さらにストレスが貯まりやすくなります。
ストレスは、血管を収縮させてしまう作用があります。あまりストレスを貯めると、血管が収縮し、血圧が上がって妊娠高血圧症候群になってしまったり、血流が低下して胎児へ栄養を送りにくくなることを招いてしまう恐れがあるため、体によくない影響を与えてしまいます。
あまりにもストレスがひどくなると、うつになる可能性も出てきます。
産後うつというのは聞いたことがあるかもしれませんが、妊娠している最中にうつになる場合もあるのです。
この時期は、ストレスを貯めないように意識し、できるだけリラックスして過ごす工夫をしましょう。
好きな音楽を聞く、緑の多い公園へお散歩へ行く、お気にいりの入浴剤でお風呂に浸かるなど、自分が好きなことをして、ストレス発散できるように心がけてみましょう。
デリケートで眠気も感じやすい時期ではありますが、寝てばかりでは体によくありません。
適度な運動を心がけましょう。
運動と言っても短距離走や長距離のマラソン、球技などの激しい運動ではなく、ゆっくりしたぺーすでのウォーキングや、ストレッチなど息が上がらない程度の有酸素運動がおすすめです。
また、ヨガも有効な有酸素運動のひとつです。
妊娠初期から行えるマタニティヨガ教室などもあり、人気があるようです。
ヨガは体幹を鍛え体を柔軟にしてくれるので、出産の時に必要な筋肉や股関節の柔軟性を養えるという点でも効果的なな運動と言えるでしょう。
腹式呼吸をすることでリラックス効果もあります。
ただしヨガをする場合は、きついと感じるポーズは避けて無理のない範囲でおこなってください。
大事な時期なので、体を冷やさないことが大事です。
体を冷やすと子宮が収縮してしまったり、むくみやすくなったり胎児の発育が悪くなったりするといわれています。
特にお腹や腰を冷やさないように腹巻きなどをして暖かくして過ごしてください。
また、妊娠を希望している方は普段から体を冷やさずに温めるように心がけることで妊娠しやすい体づくりをしていくことが出来るといわれています。
お風呂に浸かって体を温めるのも良いですが、熱すぎるお湯や長湯をしては、のぼせてしまったりすることがあります。
ちょっとぬるいかなと思うぐらい(38~40度ぐらい)のお湯に15分間浸かる程度にしましょう。
お風呂上がりは湯冷めにも注意してください。
着床出血がおこり体に変化を感じ始める時期は、受精卵がこれから育っていくという大事な時期です。
早く寝て早く起きる規則正しい生活を心がけましょう。
朝日を浴びて体を習慣をつけると、自然と夜には眠くなるというサイクルが出来上がります。
また、偏った食事は体調を崩す原因となってしまいます。
ダイエットをしているという人も、この時期は極端な食事制限などはやめて必要な栄養をしっかり摂ることが大事です。
添加物の多いレトルトやインスタント食品は出来るだけ避けるようにして、自然のものを食べるように心がけてみましょう。
三大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂質に加えてビタミンとミネラルもバランスをよく摂るようにします。
適度に体を動かしてリラックスし、夜はぐっすり眠れる体を作りましょう。
着床出血が起こったときに下腹部や脇腹、足の付根の部分などに痛みが出る場合があります。それが激痛だった場合は我慢せず、にすぐに病院へ行きましょう。出血と同時に強い痛みを伴う場合は、子宮外妊娠などの可能性があります。
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮にたどり着く前に子宮以外の場所、卵管などで着床してしまうことです。子宮外妊娠の時は、約9割の人が下腹部に痛みを感じるといわれています。
出血量が多い時や激しい痛みを感じたら迷わず病院で受診してください。例えば卵管で着床した場合、発見が遅れてそのまま受精卵が成長していくと卵管が破裂してしまうということもあるので、十分に気をつけましょう。
着床出血と思われる出血があって、妊娠しているのかどうか早く知りたいという場合は、ドラッグストアなどで売られている市販の妊娠検査薬を使って試してみることができます。
市販されている妊娠検査薬は、妊娠した時に分泌されるhCG(ヒトじゅう毛性ゴナドトロピン)に反応することで妊娠しているかどうかを判断します。
これは尿中に含まれるhCGの濃度を測る事によって陽性か陰性かを判断するものです。
検査する時期が早すぎた場合、hCGの濃度が薄いために陰性になる場合もあり、これをフライングテストといいます。
市販されている検査薬は、生理予定日の1週間後から検査できるというものがほとんどです。
正確に検査したい場合はその時期を待って検査するようにしましょう。
また、海外で販売されているものや、薬剤師のいる薬局などではもう少し早い段階から検査できるものもあるようです。
基礎体温を記録して、その変化をしっかりチェックすることは、妊娠しているかどうか判断するのに最も役立つといわれています。
普段から基礎体温を記録している方は自分でもチェックがしやすいので、着床出血のような出血や症状があった日の基礎体温と照らし合わせてみましょう。
通常、排卵が起こって妊娠が成立しなければ基礎体温は下がっていき、生理がきます。
ですので、排卵日からずっと高温期が継続している状態で、生理予定日よりも早く出血があったら、それは着床出血の可能性が高いといえるでしょう。
着床出血が起こる時期は、まだ妊娠がきちんと成立しているかどうか微妙な時期です。そのため、薬の服用には慎重になるべきです。
妊娠している場合の薬の服用は、胎児の病気や障害を引き起こしてしまうというリスクが有るため、注意が必要です。
特に妊娠初期は、胎児の器官形成が行われる大切な時期です。頭痛薬などの痛み止めの薬には注意が必要です。
まだ妊娠かどうかわからないけど、着床出血の症状があったという場合、頭痛や歯痛などどうしても痛み止めを飲みたい場合は産婦人科を受診し、医師に相談するようにしましょう。
着床出血かな?と思うような出血があった場合は、慌てずに妊娠している可能性も考えてできるだけ安静に過ごすことが大事です。
普段から何かスポーツをしているという人も、その時期は一旦お休みしてゆっくり過ごすことを心がけてみましょう。
妊娠しているのかどうか一刻も早く知りたい!と焦る気持ちはあると思います。
ですが、激しい痛みを伴ったり、大量の出血でない場合は生理の時と同じようにナプキンを当てて安静にして過ごし、検査薬が使える時期になってから検査してみるとよいでしょう。
着床出血と生理では、特徴が異なります。生理周期をしっかり記録として残すことで、着床出血を見分けるキーポイントとなるでしょう。
出血があった場合は、出血量や色を確認し、生理なのか着床出血なのかを見分ける必要があります。
また、生理や着床出血においても、体調不良が起きてしまうことが。パートナーとよく相談しあいながら、乗り切りましょう。