毎月排卵日になると気分や体調が悪く、いつもは気にならないちょっとしたことでもイライラして腹が立ったり、なんとなくダルくて憂鬱になることはありませんか。イライラの原因を知って正しく対策をすればいつもより楽に過ごせるかもしれません。
排卵日前後を境としてイライラと神経が高ぶったり、体調が悪くなるのにはきちんと原因があることをご存知でしょうか。単なる「気分」ではなく、女性ホルモンの働きが原因の場合が多いのです。理解して対処することで、症状が軽くなるかもしれません。
女性のホルモンは1カ月サイクルで繰り返されます。人によって日数の差はありますが、月経が始まった日から数えて14日前後まではエストロゲン(卵胞ホルモン)が多く分泌され、「排卵日」を挟んで次の生理が始まるまでは、交代するようにプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。
排卵日は、このエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に増減する時期のため、身体がその変化に対応できないことで、さまざまな症状が出ると考えられています。
女性は男性より気分に左右されやすいという説もありますが、その気分はもしかすると性格ではなくホルモンが原因かもしれません。排卵日前後から月経前にかけてホルモンによる体調や気分の不調を感じている人は女性の9割にのぼります。
排卵日前後から次の月経までの気分や体調が悪くなる具体的な症状は、イライラ以外にもたくさんあります。症状は主に精神的な症状と身体的な症状があり、精神的な症状と身体的な症状が同時に、しかも複数の症状が一度に出ることが多いです。
これらの症状が起こることは不快ですがホルモンの働きとしては正常なもので、PMS(月経前症候群)と呼ばれて広く知られています。それだけたくさんの女性が同じ症状を感じているということです。
PMSは、排卵日から次の月経が始まる日までに出る症状のことで、よほど耐えられない程の症状であれば別の病気が潜んでいる可能性がありますが、軽度の場合はきちんとホルモンが出ているということでもあります。
排卵日前後のPMSの症状はホルモンが原因ですが、症状は人によって全く違ったり、同じ人でも毎月全く同じ症状とは限らないほど、たくさんの症状が現れます。その中でも代表的なものがイライラすることですが、その他に多くみられる症状をあげていきます。
排卵日を過ぎると女性の身体はプロゲステロンが大量に分泌されて、妊娠の準備に入ります。もちろん受精していない場合はその準備は無駄になり、受精卵のために用意された厚くなった子宮内膜は生理を通して剥がれ落ちていきますが、実際に受精卵が出来るかどうかに関係なく、身体は受精卵が来た時のために準備を始めます。そのため、プロゲステロンが大量に分泌されます。
プロゲステロンにはさまざまな作用がありますが、催眠効果や身体をダルくさせる作用もあります。これは、体を休ませて妊娠しやすい状態にしようとするものです。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は体内に水分と栄養分を溜め込むことでも妊娠の準備を行います。そのため、体はむくみやすくなり食欲も増進します。月経前に無性に食欲が止まらないことはないでしょうか。それも、プロゲステロンの作用です。そのまま食べ続けると体重も増加しやすいので注意が必要です。さらにこの時期は血糖値が下がり代謝も落ちるので、さらに太りやすくなります。
腰や身体のだるさもプロゲステロン(黄体ホルモン)が体に水分や血液を溜め込むことによって起こる血行不良によるものです。身体は、妊娠している場合に向けて子宮の周りに水分や血液をためて子宮を温めようとします。正常な働きをしてくれてるとはいえ、毎月のことなので女性には辛い時期になりますね。
プロゲステロン(黄体ホルモン)によって子宮内膜が厚くなります。子宮と腸はすぐ横にあるので、子宮が大きくなることで腸が圧迫されて便秘になる可能性があります。さらにプロゲステロンは腸からも子宮周りに水分を取り込もうとするので、腸の中にある水分が奪われることで便秘になりやすくなります。
精神的な症状としては、急激に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で自律神経が乱れてしまい、情緒不安定になりやすいと考えられています。性格やうつ病などとの違いは「月経が始まると症状がなくなる」というところです。
この時期に攻撃的になって相手を傷つけたりしてしまうと、後になって後悔することになります。PMSという症状があることを理解していれば、そのようになる前に自分で抑制できるかもしれませんね。
いろいろな症状がありますが、自分は今PMSが原因でイライラするのだと理解するだけでも、自分の中のいら立ちを抑えることができるかもしれません。そして、PMSの症状自体を緩和軽減できるかもしれません。病院などに通う必要もなく、PMSの症状を緩和するために自宅で手軽にできることをお教えします。
できるだけバランスのよい食事を心がけましょう。忙しい毎日にインスタント食品やコンビニ弁当は活躍してくれますが、PMSを軽減するためには、ビタミンB6、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、鉄分、大豆イソフラボンなどを積極的に摂取するようにしましょう。
具体的な食品では、カツオ、レバー、ナッツ類、海藻類、大豆製品などを食事に取り入れることで代謝がよくなり、血流がよくなることで自律神経やホルモンバランスを整える効果があります。難しい場合は、サプリメントを併用するだけでも有効です。
血行不良と冷えは症状を悪化させるので、有酸素運動をすることで症状の改善が期待できます。とはいえ、激しい運動をする必要はありません。逆に、普段運動をしていない人が急に激しい運動をすると身体を痛める可能性があります。
自宅でテレビをみながらストレッチをしたり、スクワットなどの軽めの筋トレ、30分程度のウォーキングなどを定期的に行うことで、冷え性が改善されて血流がよくなり、PMSの症状が緩和されます。
普段シャワーで済ませている人も、この時期は湯船に浸かることで血液の流れがよくなるので試してみましょう。湯船に浸かることでリラックス効果が期待でき、ストレスや緊張をほぐして体の不調を改善できる効果があります。
ただし、湯船に浸かるのは熱いお湯ではなく37~40度くらいのお湯で、20~30分程度の時間が最適とされています。湯船に浸かることは想像以上に体力を消耗します。あまり長く浸かると逆に身体が疲れてしまうので注意してください。
ツボ押しは押す場所によって身体のあらゆる部分に効果があるとされています。イライラした気分の時には足くびから指幅4本上に位置する「三陰交」のツボを押したり、マッサージしてみてください。また、この時期のむくみに悩んでいる場合は、足裏にある「湧泉」や、内くるぶしとアキレス腱の間にある「太渓」、他にも便秘や下痢には足の甲の内側にある「公孫」をマッサージするとよいとされています。
ツボ押しやマッサージは昔から効果があるとされていますが、強く押しすぎたり長時間マッサージをすると下痢など体調を崩す可能性もあるので、自分で行う場合は適度なマッサージを心がけてください。
ハーブや漢方には薬効性があり、ホルモンのバランスを整えてくれる働きがあります。ハーブにはエストロゲンに似た作用があり、ホルモンのバランスを整えて子宮の働きを正常に導いてくれます。
血行を促進する効果もあるので、生活に取り入れるとよいでしょう。また、漢方やハーブティーは薬より副作用が少ないので、症状がつらいけれど薬を飲みたくない場合などにもまずは試してみることをおすすめします。
自分でいろいろ試しても症状が改善しない場合、また症状が日常生活に支障をきたすようであれば、我慢せずに病院で診察を受けましょう。産婦人科や婦人科では月経が重い時やPMSがひどい場合でもカウンセリングして対処してくれるところが多いです。
婦人科というと気後れする人も多いと思いますが、女性ホルモンは女性として生まれたからには一生付き合っていくものです。重症化してからよりも、早めに自分のホルモンとの付き合い方を知っておくほうが楽になります。診察してもらうことで自分のホルモンの状態を知り、症状に合わせた解決策を提案してもらうことはとても大切です。
それでも効果がない場合は、薬物療法を行うなど先生と相談してみてください。一人で苦しむよりずっと楽になります。
PMSの症状を改善するにはさまざまな方法がありますが、あまり神経質になるとかえってストレスになります。自分の生活や環境で取り入れられるものを選んで、気楽な気持ちで始めてみてください。
高額なものを購入する必要もありませんので、合わなければ他の方法に切り替えるのもひとつです。健康な身体づくりにも繋がると思って楽しみながら実践してみてください。