2018.07.05

不妊による離婚率はどれくらい?現状を把握して夫婦関係を見直そう

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「結婚後、希望すれば当然子供はできるもの」と思っていた夫婦が、不妊治療に取り組まざるを得なくなり、結果的に夫婦間がギクシャクしてしまうという例も、少なくないようです。不妊治療によって、夫婦関係が壊れてしまう理由と対策について取り上げます。

今の日本は不妊大国

現在の日本では、多くのカップルが不妊に悩んでいます。8組に1組のカップルが不妊に悩んでいるともいわれます。「結婚後、希望すれば当然子供はできるもの」と思っていたのに、不妊治療に取り組まざるを得なくなり、結果的に夫婦間がギクシャクしている…こんなことはありませんか?

そこで、現状では不妊による離婚率はどの程度なのか、そして不妊治療の実態などについて取り上げていきます。この機会に、心の負担を軽くして、夫婦で向き合うきっかけにしていただければと思います。

不妊による離婚の現状について

今や、結婚した夫婦の3組に1組は離婚してしまうという統計がありますが、年代別に見ると、女性は30代がもっとも離婚の件数が多くなっています。30代といえば、妊娠出産の問題に直面する年代です。

約3倍も増える離婚率

日本ではなく、デンマークの研究となりますが、不妊治療を受けたのに子どもを授からなかった夫婦は、授かった夫婦に比べて、約3倍も離婚しやすいという結果が出ているそうです。

日本での研究では、まだ具体的な数値は出ていません。しかし、不妊治療とその結果が、結婚生活に暗い影を落としている可能性は否定できません。

不妊によって起きる離婚を回避する努力が必要

不妊治療の何が、二人の関係に悪影響を与えるのでしょうか?男性、女性それぞれのストレスとなる原因を考えてみましょう。精神的なストレスについては、夫婦で治療に取り組むことで軽減できることもあります。自分ばかりが大変、つらい…と思いつめずに、夫婦の問題として話し合いましょう。

治療費による経済的な負担(男女とも)

治療のステップや期間にもよりますが、保険適応外の治療となると、毎月の金銭的な負担は大きくなります。

治療による、特に女性の肉体的なストレス

治療のために服薬や注射、卵子の採取などで、女性側には肉体的な負担がかかります。

女性の精神的なストレス

子供を授からないことで、自分自身を責めたり、治療が長引くことでの年齢的な焦りや、周囲からの「赤ちゃんはまだ?」などの発言で、傷つく人は少なくありません。

男性の精神的なストレス

決まった日に子作り、検査のためなどで精子の採取など、男性にとって気の重いことを、治療中は強いられます。また、不妊といえば女性の原因だと思われがちですが、男性に原因がある場合もすくなくありません。

一説では、48%が男性側に問題がある不妊だともいわれています。しかし、男性は自分に原因があると知るとひどく傷付き、落ち込むことが多いようです。

不妊治療の実態

男女ともに、かなりのストレスとなる不妊治療の実態は、どのようなものなのでしょうか。

時間もお金もかかる不妊治療

不妊治療には段階があり、治療方法もそれにより変わっていきます。体外受精などの高度な不妊治療は、金銭的な負担も大きくなります。

一般的には、次のようなステップで、不妊治療が行われます。「タイミング法→排卵誘発法→人工授精→体外受精」。基本的に、タイミング法を6回試してみて妊娠しなければ、それ以外の治療に進行します。明らかな原因が見つかった場合は、いきなり体外受精に進むこともありえます。

タイミング法であれば、費用は1回あたりの受診料は2,000~3,000円程度、薬は1,000円程度のことが多いようです。人工授精では20,000~30,000円程度、体外受精は1回あたりの費用は10~30万円程度、さらに顕微授精(体外受精で、一つの精子を選んで卵子に入れる)では、30~50万円ともなります。

年々妊娠しにくくなる現実

不妊治療を受ける人のうち、40歳以上女性が全体に占める割合は、2008年の32.1%から、2010年には35.7%に増加しているといわれています。しかし、不妊治療が長引くと、さらに年齢の問題も考えなければなりません。

高齢になれば、不妊治療のリスクも上がりますし、治療の甲斐があって妊娠・出産まで行き着いたとしても、生まれてきた子供に影響がある可能性も高まります。

男性の不妊治療に対する考え方によるもの

一般的に男性は、不妊治療を女性の問題ととらえて、他人事という態度を取りがちです。しかし、男性側の原因も多くの割合を占めています。

社会的なイメージや思い込みによって、男性は不妊治療に消極的な態度をとってしまいますが、それが治療中の女性を一層傷つけ、関係を悪くする原因となります。

不妊治療のために仕事を辞める女性

また、女性が働いている場合、病院の遠さや、治療の内容やステップによっては、頻繁に仕事を休まざるをえなくなります。不妊治療の年齢の壁もあり、仕事を退職して治療に専念することを選ぶ女性も多くいます。

不妊治療や、これから期待している子供のために、働き続けたいと希望していても、治療のために辞めざるをえないと、退職する女性がいることが現状です。

女性の健康と不妊の関係

不妊に苦しむ人のうち、原因がはっきりわからないものが10%以上あります。「不妊にならないために」心がけるべきことはあるのでしょうか。

ダイエットのやりすぎによる栄養不足が不妊を招く可能性

仕事が忙しい、体重が気になる…。そのように、働く女性の多くは食事に気を付けていますが、それが栄養不足に陥っている人も少なくありません。都内で働く女性の3人に1人が、痩せすぎ(BMI19以下)だという調査結果もあります。BMIが標準から大きく外れると、無月経などのリスクが高まり、不妊につながると考えられます。

真面目な働く女性ほど、仕事を頑張り、短い睡眠時間と恒常的なダイエットでスタイルアップしがちです。しかし、いざ結婚して子供が欲しいときに授からなくて、苦しまなければならなくなる可能性が高いのです。

不妊になりにくい体をつくる食生活が大事

食事をきちんと摂っていれば大丈夫?かというと、そうとはいえません。食事を摂っていても、偏った食べ物だけでは、栄養が摂れているとは限らないのです。

ダイエットを気にして、肉魚のたんぱく質を減らす。極端な糖質制限をするなどの食生活では、妊娠しやすい身体を作ることは難しいでしょう。「1日三食をバランスよく」という、いたって普通の食生活にすることが大切なのです。

夫婦で共に不妊と向き合っていくことが大切

不妊治療は、男性も女性も負担になる先の見えない戦いです。その中で、ともに手を取り合わなければならない、パートナーとの関係が冷えてしまうことは、耐えがたいつらさでしょう。治療も、食生活の改善も、二人の生活と密着に関わっています。

二人で不妊と向き合い、頑張ろうという姿勢がなければ、不妊治療も、その後の生活も不確かなものになってしまいます。今一度、パートナーと話し合って、理解を深める機会を持ちましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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