女性にとって、誰しもなる可能性のある子宮内膜症。生理痛がひどい女性にとっては気になる病気の一つです。しかし、病院でどのような検査を受けるか分からないと、なかなか診察に踏み切れない人も多いのでは?どんな検査を受けるのか、事前に把握しましょう。
生理がある女性の10人に1人は発症するといわれる「子宮内膜症」は、生理がある女性なら誰でもかかる可能性のある病気です。激しい生理痛に悩んでいる人は、「もしかして自分もそうかも」と疑っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、どんな検査を受けるか分からないと、診察も受けにくいことは事実です。そこでまず、どのような診察を受けるのか、概要をくわしく解説していきます。しっかりと理解したうえで、早めに診てもらいましょう。
「子宮内膜症」とはどういう症状なのか?詳しく解説していきます。
子宮内膜症は、子宮内膜が子宮以外(卵巣や腹膜)で、増殖と剥離を繰り返す病気です。通常は、子宮の内側にある子宮内膜は、月経血として体外に出ていきますが、ときに子宮内を逆流し、子宮外に小さなかたまりとしてくっつくことがあります。この現象は、90%以上の女性に起こりますが、なぜ子宮内膜症になる人とならない人がいるのかは、はっきり分かっていません。
子宮外で増殖した子宮内膜は、体内にたまり炎症や癒着を起こして、痛みの原因になります。生理のたびに増殖するため、生理痛は次第に重くなります。また、症状が進行すると、生理の時以外にも腹痛や腰痛として現れます。
【参照リンク:https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_69.html】
生理痛がひどく鎮痛剤が必要な人、その効き目が次第に弱くなっている人は、子宮内膜症の可能性があります。また、そのほかの症状には、吐き気や嘔吐、下痢、性交痛、排便痛などがあり、これらは増殖した子宮内膜によって、臓器同士が癒着することで起きるとされます。
そのため、放置すると不妊や卵巣がんの原因になるので、早期に発見して、治療を行ったほうがよいとされています。産婦人科に行く前に、ネットで診断チェックができるので、興味がある人は1度検索してみましょう。
病院で受診すると、どのような検査が行われるのかを、順番に見ていきましょう。
初めてその婦人科で診察を受ける場合は、まずは問診で、症状や生理周期といった基本情報を聞かれることがほとんどです。この問診は、質問形式の用紙が渡され、そこに記入することが一般的です。
初潮の年齢や経血量のほか、性体験の有無、妊娠・出産経験、婦人科の病歴、家族の病歴なども聞かれます。また、子宮内膜症を疑う場合には、自覚症状について細かく記載することもあるので、あらかじめ痛みが始まった時期、どのように痛むのか、慢性的な痛みかなどまとめておくと答えやすいでしょう。
子宮内膜症の診断の場合、子宮の大きさ・硬さ、卵巣の腫れの有無、癒着があるかどうかなど、さまざまな情報を的確に診断するために、膣から筒状の「膣鏡」を挿入し、触診が行われることが一般的です。
しかし、膣に医療器具を挿入する必要があり、相手が女性だけであっても、他人に膣を見せることになるため、苦手とする女性の多い手術でもあります。膣鏡診に抵抗がある場合は、肛門から診察する「直腸診」もあるため、診察を受ける病院で相談してみましょう。
エコー検査は、膣の内部あるいはお腹の外側より、超音波の出る検査機器「プローブ」を使用して、そのままでは見えない内側の様子を観察する検査方法です。子宮内膜症は卵巣の表面や直腸など、さまざまな部位に発生するため、エコー検査は診断にとって有効な検査方法といえます。
子宮内膜症の中でも、チョコレート嚢胞(のうほう)は、卵巣の内部に発生する子宮内膜症として知られます。チョコレート嚢胞の特徴は強い痛みなので、比較的早期発見しやすいのですが、放置しておくと不妊のリスクが高まるため、できれば発見しておきたい病気です。
また、エコー検査でわかるそのほかの子宮と卵巣の病気も多いため、受けておくことで、健康面でも安心度が高いといえます。主に分かる病気は、以下の通りです。
判明する病気には重大な病気も多いため、健康のために定期的に受けるのもおすすめです。
子宮内膜症を診断する検査として最も手軽なのが、血液検査です。血液検査というと、貧血の診断などのイメージが強いかもしれませんが、子宮内膜症を疑う場合には、「CA125」という腫瘍マーカー(がん組織などが発生する様々な物質)について調べます。
子宮内膜症の場合、この数値が上昇する傾向にあるので、診断の一つの指標となります。しかし、この腫瘍マーカーは、月経中や妊娠初期には高値になることもあり、確実性の高さでは内診やエコー検査に劣ります。また、月経中には検査を避けるようにしましょう。
【参照リンク:http://www.kotoni-ladies.or.jp/uterus/endometriosis.html#n6】
健康診断などで、MRI検査やCT検査を受けたことがある人もいるかもしれません。この検査はどちらも、エコーや内診、血液検査をしても、はっきりとしたことが分からなかった場合に行われます。
まずMRI検査は、強い磁気を利用して、体の断面図をあらゆる向きから映像化することで、非常に詳細な情報まで丸ごと入手できます。内診やエコー検査では診断が難しい、子宮の後方にできる子宮内膜症なども診断でき、癒着の状態も把握できます。
しかし、強力な磁気を利用して検査するので、外科手術などで体内に金属が入っている場合は、検査ができませんし、ペースメーカーが埋め込まれている場合も同様です。さらに、20分ほど狭いトンネルに入るので、閉所恐怖症の人だと、検査自体が苦痛に感じられるケースもあります。
その場合、選択肢として上がるのがX線を使って行うCT検査です。しかし、X線を使用するので、放射線に被ばくするリスクがあること、MRIより画像が不鮮明で腫瘍をはっきりと見分けることが難しいことから、若い女性へ行うことを控える医師も少なくありません。
このように、さまざまな面から診断する子宮内膜症ですが、生理痛が重い女性の場合、誰しもこの病気である可能性が潜んでいます。しかし、自分で診断する方法はないため、早めに病院で診察を受けることが大切です。
鎮痛剤や漢方薬などを活用して、痛みをコントロールできれば、生理期間を今より快適に過ごせるようになります。自分の健康状態を把握するためにも、一度婦人科で診察を受けてみましょう。