顕微授精は、人工授精や体外受精で難しい人に行われる不妊治療です。顕微授精をする前に不安になることが多いと思うので、顕微授精の流れや費用、妊娠確率やリスクを知っておきましょう。経験した人のブログも役に立つことが多いので参考にしましょう。
不妊治療を初めてもなかなか妊娠しない場合は、体外受精や顕微授精に移ります。顕微授精は体外受精よりも妊娠率が高い不妊治療法です。現在、体外受精で出生児が世界で400万人を超えました。その出生児が結婚して自然妊娠して2世が出生している人が多数います。
不妊に悩む女性によって顕微授精の流れや費用についてあらかじめ知ることでイメージがわきやすくなり、顕微授精に対する不安も軽減されます。顕微授精を実際にした人のブログは参考になる点が多いので、最後にのせています。
不妊治療は大きく分けて4段階あり、顕微授精は第3段階に当てはまります。タイミング法は、夫婦が基礎体温をからタイミングをはかって性行為をすることで妊娠率をあげる方法です。第2段階は人工受精で第3段階は体外受精や顕微授精です。
第4段階は、夫婦の受精卵を第三者の子宮内にいれる借り腹と精子を第三者の卵子がある子宮内にいれる代理母が在りますが、この方法は日本では認可されていません。
顕微授精と体外受精は方法は同じ対外で授精しますが、両方の違いは授精する段階です。また、体外受精とも違うので、その違いを把握しましょう。
顕微授精(ICSI)とは、顕微鏡の中で卵子に精子を直接注入して授精させるものです。人工的にガラス針で精子を卵子に注入するので、成功率が高い方法です。その受精卵を数日間培養し、ある程度発育した状態の時に子宮にいれます。人工授精や体外受精で難しいときに顕微授精を行います。
顕微授精は精子が卵子に入りにくい抗精子抗体がある卵子でも針でいれるために有効な方法で、妊娠確率が一番高いです。
体外受精は卵巣内から取り出した卵子を体外で受精させて子宮内へ戻す方法です。顕微授精と違う点は、体外に取り出した卵子に精子を振りかけて自然に受精した卵を取り出しますが、顕微授精は人工的に受精を行います。その後、数日培養してある程度胚が育ったものを子宮内に移植します。正式には「体外受精・胚移植(IVF-ET)」と呼ばれています。
タイミング法を6周期以上試みても妊娠が成立しない場合は第2段階の人工授精を行います。人工授精は、カテーテルを使って子宮内に直接精子を注入する方法です。注入された精子が卵子とあって授精して着床し妊娠します。
配偶者が精子無力症や精子減少症、性交障害などで精子を提供できない場合、第3者の精子を提供することがあります。配偶者が精子を提供する場合は、「配偶者間人工授精」と呼ばれ、「非配偶者間人工授精」と呼ばれます。
顕微授精は、卵子を成長させてから採卵と採精を行います。その後、授精、培養して子宮に移植します。その一連の流れを説明します。
顕微授精では、より良い卵子を育てるために、FSHやHCG注射などのホルモン剤を投与して卵子を発育させます。そして、顕微授精を成功させるために、質の良い卵子を確保します。なぜなら、細胞膜が弱い卵子などは顕微授精で精子をガラス針で注入すると卵子がダメージを受けます。すると、変性して受精卵が育たない可能性があります。
卵子が授精できるまで成長したら質の良い卵子の採卵を行います。顕微授精の場合は、多胎妊娠を避けるために1個だけ顕微授精として取り、いくつかの良質な卵が採れた場合は残りを凍結保存します。採卵することを見計らって、男性の精子を採る採精を行います。
良質な卵子と元気な精子を採卵、採精したら、次は授精を行います。卵子を固定し、ガラス針の中に精子を入れて直接注入します。顕微授精が終わると、体外で受精卵を培養して、胚が成長するまで待ちます。授精して2~3日すると初期胚になり、5~6日すると胚盤胞になります。
受精卵が初期胚や胚盤胞の状態で子宮に移植します。初期胚をいれるか胚盤胞を入れるかは胚や子宮の状態をみて判断します。その後、2~3週後に尿検査や血液検査を行い妊娠しているかを確認します。
顕微授精の授精確率は高い(50~70%)であるが、着床する(妊娠する)確率は10%ほどです。顕微授精だとガラス針を直接卵子に注入するので授精しやすいのですが、受精卵を子宮に移植して着床しなければ妊娠に至りません。授精だけでなく子宮も着床しやすい環境に整えてあげましょう。
子宮を着床しやすい環境に整えるにはリラックスできる環境と栄養のバランスが取れた食事、十分に睡眠をとるなど生活を規則正しくすることが大事です。あまり、妊娠を気にしすぎると、逆にストレスになることもあるので、ゆったりとした気持ちで過ごします。老化を防ぎ良質な卵子のために葉酸サプリが効果的です。
顕微授精は保険が効かず自由診療のため30万~60万円、もしくはそれ以上かかります。自由診療なので使用するホルモン剤の回数、胚移植の方法、受診する医療機関によって値段が違います。高い医療機関では、1,000万円もかかるところもあります。一般に大学病院は安いですが、不妊専門のクリニックは高めです。
厚生労働省が特定不妊治療について、収入が730万円未満の場合、不妊治療助成金を受けることができるようになりました。自治体によって不妊治療で受けられる助成金の額が違うので、直接自治体に尋ねてみるといいでしょう。高額になるため、不妊治療ローンを取り扱っている金融機関もあります。
また、不妊治療にかかる治療費や交通費(公共の交通機関を使用した場合)、検査代などが医療費控除の対象になるので確認しておきましょう。
顕微授精をすると、体外で授精するのでリスクが心配に感じる人も多いです。実際に障害児が生まれる確率や母体へのリスクなどについて前もって知っておきましょう。
顕微授精は卵子の細胞膜が弱い場合は、ガラス針を刺したときにダメ―ジを受けるので、卵子の授精する力が弱まり、変性することがあると考えられています。そのため、顕微授精はタイミング法や人工授精、体外受精が難しいときにだけ行われています。
顕微授精で障害児の生まれる確率が高いとの研究結果もありますが、顕微授精によるものではなく、親の年齢によるものとも考えられます。不妊治療をしている人は何年も妊娠に至らず、平均年齢が高い段階で顕微授精をすることになります。高齢出産(35歳以上の初産婦)にあたるため、染色体異常のダウン症の赤ちゃんが生まれる可能性が高くなるというリスクはあります。
けれども、顕微授精をすることで障害児が生まれるリスクが高いという医学的な根拠はありません。顕微授精に限らず、ダウン症児の発症率は出生率は30~34歳で約2倍、35~39歳で約7倍、40~44歳で約24倍、45歳以上は84倍とかなり高くなります。
顕微授精が原因でのリスクは自然妊娠と変わらないが、採卵時に卵巣過剰刺激症候群を起こすリスクがあります。それは、よりいい卵子を採卵するために採卵前に排卵誘発剤を使うためです。卵巣過剰刺激症候群になると卵巣が腫れてきます。人によって、腹痛が起こり、下腹部に違和感がある場合もあります。
重症になると、腹水や胸水が溜まるので、腎不全や血栓症、呼吸不全を引き起こすので注意が必要です。たとえ、卵巣過剰刺激症候群になっても妊娠は可能で、治療もできるのでそれほど心配はいりません。
顕微授精と体外受精の胚移植した人の妊娠率は母体の年齢により妊娠(着床率)は変化します。年齢とともに下がり、1回の胚移植の妊娠率は30歳の妊娠率は39.6%、35歳で36.1%、40歳で24.5%です。妊娠が成立しても流産や死産などに至るケースもあり、出産の確率は20歳では20.3%ですが、40歳では8.3%までさがります。
実際に40代ママが顕微授精を経て妊娠し、実際に出産した記録があるので、これから顕微授精を受ける人の参考になったらと思い、掲載させていただきました。
顕微授精で2度目の移植で妊娠して出産に至った40代女性の記録です。2度目の申請した助成金で75,000円をもらえたことも書かれています。着床して妊娠、出産に至るまでの経緯がよくわかります。
【参照リンク:http://babcomepiro.blog.fc2.com/】
40代から妊活を始めたまめちょさん。顕微受精の方法や経過が詳しく書かれているので、これから顕微授精をするママさんにとってとても参考になります。顕微授精がどのようなものかを知るために参考にできるブログです。特に、体外受精の流れやスケジュールも書かれているので参考にしてください。
【参照リンク:https://40s-mama.com/ivfschedule/】
28歳で、顕微授精で妊娠、出産しました。結婚から1年後にタイミング法を行い、その3年後の4月から不妊治療を始めています。6月に男性不妊がわかり7月に顕微授精を決断。8個中5個授精しましたが、卵巣過剰刺激症候群の恐れがあるため、1個の胎盤胞を凍結します。
11月に凍結胚盤胞を移植して妊娠します。翌年の7月に無事赤ちゃんを出産されたそうです。男性不妊の人も最近では増えているので、根本的な治療ができるようになってほしいとくくっています。
【参照リンク:https://ameblo.jp/arinko-arincho/】
顕微授精の方法を詳しく知らなくて、不安になる人が多いようです。顕微授精は体外受精と異なり、直接卵子に精子をガラス針で入れるので、受精する確率が高い不妊治療です。ただ、妊娠して着床し、出産するに至るまでには、受精卵がうまく着床して、その後も順調に育つことが必要です。
質のよい卵子を採るために、ストレスをかけず、葉酸サプリやバランスの良い食事をとり、質の良い睡眠と規則正しい生活を送ることが大切です。そして、顕微授精とはどのような治療をするのかをきちっと把握して治療にのぞみましょう。