排卵とは、成熟した卵胞が内部の液圧の増加と黄体形成ホルモンの働きで破裂し,卵子が卵巣外に放出される現象です。
胚上皮から生じた1個の卵細胞が成熟卵胞となり、排卵を行う能力をもつようになることで、排卵という現象が起こります。
正常の人の月経の仕組みは、卵胞期・排卵期・黄体期の3つに分割され、月経は子宮内膜が剥がれたものです。
これは卵巣から出る卵胞ホルモンと黄体ホルモンの作用により起こり、その後、卵胞期に入ります。
脳内にある下垂体前葉という組織から出る卵胞刺激ホルモンにより、卵巣で卵胞が成熟していくと、卵巣から卵胞ホルモンが出ます。
この卵胞ホルモンが子宮内膜に働き内膜を厚くします。
次に、排卵期に向かいます。
下垂体前葉から黄体化ホルモンが分泌され、卵胞刺激ホルモンにより発育した成熟卵胞に働き排卵を起こさせます。
そして、最後に黄体期に向かいます。
排卵を終了した卵胞は数日のうちに黄体に変化し、その中から黄体ホルモン分泌されます。卵胞期に厚くなった内膜はこの黄体ホルモンにより、さらに厚くなり着床に備えます
そこへ受精卵が着床すれば妊娠が成立します。
もし受精卵が着床しなければ黄体は2週間ほどで小さくなり、卵胞ホルモンも黄体ホルモンも急に少なくなります。
そして子宮内膜は剥がれ月経となります。
そしてまた同じように月経が繰り返されていきます。
しかし、月経不順を起こした女性は、月経のような出血があっても、排卵を伴わないことがあります。
排卵がなければ妊娠は起こりません。
排卵を起こらなくさせてしまう原因には大きく分けて3つ原因があります。
心因性の無排卵症とは、悩み事やストレスなどにより、脳からのホルモンがうまく出なくなることで排卵が起こりにくくなってしまうことです。
本来授乳時になると、脳の下垂体から出るホルモンで、このプロラクチンが高くなります。
しかし妊娠とは関係なく高くなることがあり、授乳中と同じホルモン状態になり排卵が起きにくくなります。
特に最近、一部の抗精神薬や胃薬等による薬剤性高プロラクチン血症が増加しています。
卵巣の表面の皮が硬くなり、その皮を破って排卵することが難しくなってしまう症状です。
卵巣の中では次々と卵子が育っているので、それらの卵子の入った卵胞が卵巣にたまってしまうのです。
その他にも、糖尿病や甲状腺機能異常等も、排卵を阻害する要因として気を付けなくてはいけない病気です。
特に、生理不順の方や高温期が短い方、排卵するまでに日数のかかる方は、注意が必要です。
自分の月経周期を見極めることも、不妊対策として重要なことなのです。