子宮は、精子を遡上させ、受精卵を着床させる機能があります。
その子宮で子宮筋腫や子宮の先天的な形態異常により、子宮内膜の血流が悪かったり、子宮内に過去の手術や炎症による癒着が起こると、子宮内に到達した精子が育つことを妨げ、妊娠に至りません。
現在の子宮因子による不妊症の割合は、約15~20%とも言われています。
子宮の役割は、受精して発育した卵を子宮の内腔、いわゆる子宮内膜に着床させて、発育させるというものです。
しかし、その子宮内腔にポリープや子宮筋腫ができてしまったり、子宮の内腔が癒着したりすることで子宮の形が変化します。
これらが原因で、子宮内膜が充分に卵を育てる環境を整えられないと着床障害となり、不妊の原因となります。
子宮因子の診断では、内診による子宮の大きさの確認や超音波検査、子宮卵管造影検査、子宮と内腔の検査が必要です。
子宮因子による不妊症の原因には大きく分けて、5つの原因があります。
子宮奇形には、重複子宮や中隔子宮・双角子宮があり、一般女性の5%程が患っています。
形態異常による症状はなく、 先天性の子宮奇形が原因の流産は、妊娠初期に最も多く、不育症全体の12~16%に子宮奇形があるといわれています。
子宮筋腫は、子宮筋層を構成する平滑筋に発生する良性腫瘍で、発生、増大にエストロゲンが関与しています。
子宮筋腫は婦人科疾患の中でもっとも多い疾患で、生殖年齢の女性の約20~30%にみられるといわれています。
子宮筋腫のほとんどが子宮体部に発生し、多発することが多く、悪性化することもあります。
子宮筋腫は、筋肉の中にできる筋層内筋腫、子宮の外側にできる漿膜下筋腫、子宮内膜のほうに飛び出してくる粘膜下筋腫などがあります。
子宮内膜を圧迫しない程度のもので着床を妨げる程度のものであれば妊娠の継続は可能ですが、卵管間質部に筋腫ができ受精卵の輸送ができないことで不妊となります。
また、筋腫の種類が粘膜下筋腫や筋層内筋腫の場合は、子宮内腔が変形して着床障害を起こし、不妊となります。
子宮腺筋症は、何らかの原因により子宮腺筋症は子宮内の筋肉組織の中でだけ子宮内膜が増殖する病気です。
進行すれば生理時期に関係なく下半身に痛みを感じるようになります。
経血の量が増える過多月経も起こりやすく、その影響で不妊の原因になります。
子宮内膜の一部が増殖して盛り上がり、キノコ状になったものが子宮内膜ポリープです。
ほとんどは症状はなく、希に出血や貧血があります。
子宮内にポリープができると、受精卵の着床をされず不妊の原因となります。
子宮内腔癒着症とは、子宮内膜が炎症を起こし、子宮内膜の組織同士が癒着を起こしてしまった状態でアッシャーマン症候群とも呼ばれます。
原因としては、分娩操作や子宮鏡手術などの子宮内操作による外傷などがあります。
子宮内腔癒着が起こると、無月経・流産・癒着胎盤を引き起こすこともあります。
特に、月経量の増加・貧血・月経痛・頻尿排便痛等の症状が見られる方は注意が必要です。