不妊治療をしていてhCG注射をしたけど、「本当に排卵しているのだろうか」「どうやって確認したらいいのか」など、hCG注射後に排卵の有無を確認したい女性は少なくないでしょう。ここでは、hCG注射後に有効な排卵確認方法をみていきましょう。
hCG注射(絨毛性性腺刺激ホルモン)は、排卵を促したり黄体ホルモンの分泌を助けたりする作用があり、おもに不妊治療が目的で使われるものです。排卵誘発剤であるhCG注射ですが、hCG注射後に本当に排卵が起こっているのか気になる女性は多いでしょう。
ここでは、hCG注射後に排卵は起こるのか、排卵が起こるのはいつごろなのか、排卵しているかどうかの有効な確認方法などをみていきましょう。
まずは、hCG注射後に本当に排卵するものなのかをみていきましょう。
排卵誘発剤には、飲み薬と注射の2種類があります。一般的には、飲み薬は体にやさしくゆるやかな作用であり、注射は効き方はてきめんですが、副作用があるといわれています。そのため、hCG注射のほうが排卵の効果が高いため、通常は注射のほうが優先されるようです。
注射薬の成分は、「卵巣刺激ホルモン」「黄体化ホルモン」といったホルモンのため、脳からたくさんのホルモンが出るように促します。通常1回の排卵に一つの卵子であるものが、注射薬の作用で、一回の排卵に多くの卵子が育つため、妊娠の確率が高くなるのです。
hCG注射は、卵巣を刺激して排卵を促します。hCG注射後の排卵率は、60~85%と高いようですが、15~40%の人は排卵していません。
したがって、hCG注射後に必ず排卵するとはいえないのです。いくら排卵を促しても、病気があって卵巣がうまく機能しなかったり、肝心の卵胞の成長がよくなかったりすることが、原因になってきます。
hCG注射を打つと、約20~40時間で排卵するといわれています。よって10日後くらいには、排卵が起こっていると予想されます。しかし、hCG注射をしたからといって、必ずしも排卵が起こるわけではありません。
確実に排卵したかどうかを知るためには、婦人科で受診をして、エコーで排卵したかどうかを確認してもらうことが、一番よい方法といえるでしょう。
自宅でできる排卵チェック方法は、排卵検査薬と基礎体温になります。しかし、hCG注射後に排卵検査薬を使うと偽陽性になることが多く、hCG注射後の排卵検査薬は、あまり参考にならないといわれています。
一方で基礎体温のほうは、体温が上昇しない場合は、排卵がきていないということなので、その場合は早めに再度受診するとよいでしょう。
hCG注射後に、排卵検査薬で排卵チェックすると、なぜ偽陽性になるのでしょう。ここでは、hCG注射後の体の中ではなにが起こっているのかをみていきましょう。
hCG注射後の排卵検査薬は、尿中のLH(黄体形成ホルモン)濃度の変化に反応するようになっています。LHは、普段から分泌されているのですが、排卵直前になると濃度が急上昇するようになっています。このLHが大量分泌される現象は、「LHサージ」と呼ばれています。
hCG注射後に排卵検査薬を使うと、hCG注射の成分が、LHサージを人工的に起こさせていることで、その結果、偽陽性になってしまうのです。
一般的に、LHサージ後40時間から48時間以内に、排卵するといわれています。そのため、hCG注射を使ったあとは、約7日間は妊娠検査薬を使うことは意味がありません。
これは、妊娠検査薬がhCGに反応するようになっていることが理由です。また、hCG注射を使うと、排卵検査薬も使う意味がなくなります。
hCG注射の成分はLHの分泌を促して、LHサージを起こさせます。注射剤成分は、妊婦の胎盤や尿などから検出された、天然のhCGのため、妊娠したときに分泌されるhCGと同じ成分です。
そのため、妊娠検査薬や排卵検査薬だけでは、注射によるhCGなのか、妊娠によるhCGなのか識別されません。したがって、hCG注射後は妊娠検査薬、排卵検査薬どちらとも、陽性反応が出てしまうのです。
hCG注射を打つことで、「確実な排卵」をいち早く知りたい気持ちから、排卵検査薬を使う人も多いでしょう。しかし、排卵検査薬は、LHサージを確認するものであるため、hCG注射をしている人には確実性がないのです。よって残念ながら、排卵検査薬で排卵を確認できる方法は、確実とはいえないでしょう。
hCG注射を使うなら、内診で排卵したかどうかを確認できるので、婦人科で受診して、内診をしてもらうことが確実な方法といえるでしょう。
排卵検査薬での判定はむずかしいですが、基礎体温ではどうなのでしょうか。
基礎体温とは、朝目が覚めて体を動かす前に、口で体温を測るものです。自身の身体のリズムを知るために、妊活をしている女性には、欠かせないものとなっています。
基礎体温を測っていると、一般的な健康な女性の基礎体温グラフは、「高温期」と「低温期」のきれいな二層にわかれます。それによって、妊娠しやすい時期や生理日、排卵日などが予想できます。
生理周期が、25日~38日間の正常な基礎体温グラフを見ると、生理の始まりを1日目とし、そこから14日間の「低温期」が続きます。そして「排卵日」をさかいに、「高温期」になり体温が上昇します。
高温期と低温期のさかいの体温急落日というのは、「排卵があった」と推定されます。つまり、高温期に入ったら、無事に排卵があったと予想できます。
「排卵」後には、体温が上昇する「高温期」が14日程度続きます。身体の中では、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加して、子宮内膜が厚くなり、妊娠の準備をしています。
もしも、このまま着床して妊娠が成立すると、14日過ぎても高温期のまま継続します。一般的には、17日以上高温期が続くと、妊娠の可能性が高いとされています。
hCG注射を使ってから排卵するまでの期間は、人によって違っており、また、そのときのその人の環境や状況によっても変わってきます。人によっては、一般的にいわれている期間よりも早くなったり、逆に遅くなったりすることもあるので、医療機関で排卵しているかどうかの確認をすることが確実でしょう。
また、基礎体温をとることによって、自身の身体のリズムを知ることができ、排卵しているかどうかの目安もわかるので、おすすめといえるでしょう。