2018.07.05

「20代の不妊の悩み」知っておきたい定義や治療法について

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最近は、20代といった若い年齢でも、不妊の傾向に悩む人が増えてきているといわれます。自分も妊娠するのが難しいのではと悩む前に、不妊と判断される条件や、不妊治療にはどのような種類があるのかを知って、前向きな妊娠計画に役立てていきましょう。

産みたくても産めずに悩む女性の増加

子供が欲しい気持ちがあって、そのための努力をしているのになかなか授からないと、不安な気持ちが大きくなっていきますよね。「妊活」という言葉も多く使われ、取り組んでいる人も実際に増えていますが、どんなタイミングで、どのようなことを始めたらよいのか、知識がないと不安はさらに増大します。

高齢出産といわれる年代に入ってから妊活するよりも、一刻も早く始めたほうがよいのか、そもそも自分は不妊の状態なのかそうではないのか。また、治療はどのようなことをするのか、まずは基本的な知識を得ることで、リラックスして妊活を考えるきっかけになればと思います。

不妊とはどういう状態なのか

一般的に、不妊とはどのような状態を定義づけているのでしょうか。

一定期間妊娠しない状態を指す

日本産婦人科学会によれば、不妊の定義としては、「ある一定期間、避妊することなく、通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠が成立しない場合」とあります。また、卵管が詰まっていたり、男性のほうに精子がないなど、医学的に介入が必要な場合は、期間を問わず「不妊」と定義されるようです。

そして、女性の年齢が上がるにつれ、不妊率は高くなっていきます。たとえば25歳から29歳までであれば9%だった不妊率が、30歳から34歳になると15%、さらに35歳から39歳になると、30%にまで上昇するというデータがでています。

不妊の定義は結婚してから1年

不妊の定義の「一定期間」はどのくらいかということですが、結婚した夫婦が、妊娠を望んで性生活を営んでから、1年たっても妊娠しない場合です。

不妊の原因としては、排卵に何らかの障害がある場合が、全体の25%から30%、卵管が閉塞していたり子宮内膜症で、卵管周囲の癒着があったりする場合が30%から35%、そして男性の側に精子が作れない、精管が詰まっているなどの原因がある場合が、20%から40%とされています。

こうしてみると、必ずしも女性の側だけに原因があるわけではないようです。

不妊で悩む20代女性は意外に多い

20代の女性でも、不妊に悩んでいる人は意外に多いようですが、若くても積極的に不妊治療をしたほうがよいのでしょうか。

不妊治療経験者の35%は20代から

ウェブメディア「こそだてハック」の運営会社である、株式会社エバーセンスが行った調査の中で、「不妊治療を開始した年齢は?」という質問への回答をみていきましょう。最も多かったのは30代前半で、35.7%でしたが、次いで多かったのが20代後半で30.3%、20代全体では35%という数字に上りました。

20代から不妊治療を始める心理としては、不妊治療にかかる費用が、年齢が上がるとともに比例して増えていることがあげられます。30代後半では、100万円を超えたと回答した人が4割以上に上ることから、経済的負担や身体への負担を考えて、早めに治療を開始する20代女性が増えているようです。

早いうちの治療で妊娠の確率も上がる

20代であれば、女性ホルモンの活動も盛んなため、卵子の質もよく、成長も順調であることが多いです。そのため、体外受精を試みた場合に、30代以上の女性に比べると、成功率もあがるとされています。

20代でも基礎体温を測ってみて、体温が二層に分かれなかったり、生理不順や婦人科系の疾患を持っている人などは、思いきって婦人科に相談して、早めに治療を始めてもよいかもしれません。

不妊治療の種類

不妊治療を始めることになった場合、不妊治療にはどのような段階があるのでしょうか。

一番取り入れやすいタイミング法

不妊治療のもっとも初期段階で行うのが、タイミング法です。これは、排卵の時期に合わせて性行為を行うことで、妊娠の確率を上げるやり方です。月に一度の排卵期に合わせて、6サイクル行った場合に、特に不妊要素のない人であれば、89%の人が妊娠するという結果を得ています。

そのためには、排卵日を正確に予測する必要がありますが、基礎体温を毎朝計測することが、その助けになります。基礎体温は、正常な生理周期の場合、高温期と低温期の二層に分かれます。低温期の最後に、さらに体温が下がる日の前日から、高温期になるまでの間に排卵日があるからです。

排卵検査薬といって、黄体化ホルモンの数値によって陽性反応が出る検査薬も、医師の処方箋がなくても薬局で買えるので、使用してみてもよいでしょう。排卵がスムーズでない場合は、病院で排卵誘発剤を用いた治療を行うことで、排卵を起こしやすくすることもあります。

精液を子宮内に注入する人工授精

人工授精とは、精子を子宮内に直接注入して、受精の確率を高める治療法です。子宮内に精子を注入するところまでは、医師が行います。しかし、精子が卵子と出会い、受精して着床、妊娠するまでのプロセスは、自然妊娠と変わりません。

精子に障害がある場合や、タイミング法を実施することが難しい場合、または、タイミング法を6周期以上行っても妊娠しない人などに、勧められる方法となります。女性の年齢が高い場合には、体外受精のほうが、妊娠の可能性は高いとされています。

身体の外で受精する体外受精

体外受精は、排卵前に女性の体内から取り出した卵子と、男性の精子を体外で受精させ、発育した受精卵を女性の子宮に戻して、着床を促す治療方法です。

タイミング法や人工授精で妊娠しなかった人や、不妊体質で体外受精しか方法がない人などが試みます。精子の数が少なかったり問題があったりする場合は、シャーレ上ではなく、顕微鏡を用いた顕微授精が行われることもあります。

一人で悩まずにパートナーと支え合おう

20代から不妊治療に本格的に取り組むかは、人それぞれの価値観です。身体の機能がまだ衰えていないことを考えると、自然にまかせて妊娠を待つことも、婦人科での指導を受けながらしっかり取り組むことも、夫婦で納得しているのであればよいでしょう。

「妊娠すること」が目標となってしまうことで、精神的、経済的ストレスを抱えて悩みが深くなる人もいます。何より大切なのは、パートナーと妊活について本音で話し合い、支え合える信頼関係を作っていくことかもしれませんね。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

妊活部編集スタッフです。妊活に関するお悩みを解決するためのサポートをします。最新情報から妊活にまつわる情報を提供します。