35歳になって妊娠を望む場合に「高齢出産」という言葉をよく耳にしませんか。高齢出産=大きなリスクと捉える人も少なくありません。この記事では35歳の妊娠率はどれくらいなのか、それに伴うリスクがどのようなものなのかを知り、妊活に活かしましょう。
30代に入って、そろそろ子どもが欲しいと思った人の中で「高齢出産」という言葉を聞いたことはありませんか。日本では35歳での妊娠は高齢出産と呼ばれています。しかし、高齢出産という言葉を聞いて、大丈夫であるのか不安に思う人も少なくなりません。
では、35歳での妊娠率が他の年代と比べて、どのような数値を挙げられているのかを知っていき、妊娠を臨むうえでの大きな不安を一つ一つ解消していきましょう。
妊娠には自然妊娠、体外妊娠などの種類がありますが、35歳の妊娠が可能であるのなら自然妊娠を選ぶ方がおすすめといわれています。また、女性の中では避妊なしの一回の性行為で妊娠する人もいれば、何年かかっても妊娠できない人もいます。自然妊娠の確率は一体どれくらいのものなのかを知っていきましょう。
生理1周期での確率として、月1に性行為を行い妊娠する確率と考えた場合、25~30%の確率で自然妊娠をする30代未満に比べて、35歳になると18%に急激に下がります。そのため、1カ月で性行為を行っても、妊娠するには約5~6カ月くらいかかっても不思議ではありません。
確率を期間を表してみましょう。これは期間に置き換えて計算をすると、約4~10カ月ほどかかると考えられます。この事から、男女が健康な状態で35歳女性が1年以内に自然妊娠をする可能性は約80%とされています。
しかし、80%あるからといって平気かといえば、そういう訳にもいきません。この数値は男女ともに健康な状態での妊娠であり、妊娠しにくい体質であったり、相手の体調に問題があれば通用しません。自然妊娠はほぼ年齢で決まってきますので、すぐに妊娠できる可能性は低いです。
女性の社会進出・晩婚化が進むとともに、35歳以上での妊娠・出産する人が増えています。では、何歳から高齢出産なのかを考えていきましょう。
高齢出産とは35歳以上の初産婦のことをいいます。以前は30歳から高齢出産といわれていましたが、現在は35歳に引き上げされました。最近では、初産婦・経産婦を区別せずに年齢に注目して区別する見方が主になってきています。
また、高齢出産と聞くとリスクが伴うというイメージが持たれがちですが、近年では医療技術面でのサポート体制が急速に進化し、母子に危険が及ぶケースはほとんどありません。他にも、起こりがちな合併症や妊娠高血圧症候群を急速に認知し、管理する方法を確立されています。
高齢出産のリスクとして、生まれてきた子どもがダウン症になる確率が高まります。調査の結果、20歳の出産では1/1667の確率で生まれてきます。一方で、35歳の出産では、生まれてくる子どものうち、1/385の確率でダウン症をもつと考えられており、20歳に比べて35歳の確率は急激に下がります。
なぜ、高齢出産のリスクがこれほど高いのか。それは女性が高齢になるにつれて、卵子も老化していくことに原因があるといわれています。卵子が卵巣の中にある期間が長くなるほど、遺伝子を含む染色体やDNAにダメージが蓄積され、細胞分裂の能力が低下しいてしまうためです。
そのため、通常23組46本の染色体のうち、21番目の染色体が1本増えたことで全47本になり、21番目の染色体は3本になることは原因といわれています。染色体には「標準型」「転座型」「モザイク型」の3タイプがあります。
昔は、30代以上の女性は3人に1人は妊娠できないといわれていますが、現在では医療技術の進歩で確率は大きく異なります。また、その際の女性の意識も大きくかかわってきています。
第一子出産の平均年齢から、厚生労働省が発表した平成26年の『人口動態統計月報年計(概数)の概況』から”第一子出生時の母親の平均年齢の年次推移”を見てみると、昭和50年は25.7歳に比べて、平成23年の時点で30.1歳と30代へ平均年齢が上がってきています。
また、35歳でダウン症の確率が高まるということは事実ですが、加齢の要因が高まるのは40歳を過ぎてからです。35歳と比べても、40代では1つ年を取るたびに自然妊娠率は一気に落ち始めます。
35歳で高齢出産を望む場合に、妊娠率を上げるために事前確認が大切です。また、日ごろから心がけることで妊娠率を高める方法もあり、以下に挙げた方法を試してみるのもおすすめします。
タイミング法とは、基礎体温や尿中・血中のエストロゲンや黄体ホルモンを測定し、排卵日を予測します。そして、予測した排卵日の前日に性行為を試みる不妊治療のもっとも初期段階に試される方法です。
「基礎体温県の計測」は妊活の基本です。女性の月経周期には低温期と高温期の2層に分けられます。3カ月程計測し続けると、自分の周期リズムが把握できるようになるので、ある程度予測することができます。目安は低温期最終に体温が下がる日で、排卵は最低体温日の前日から高温期に移行するどこかで起こるといわれています。
「排卵検査薬を使用」は黄体形成ホルモンの値が一定以上だと陽性反応が出る仕組みになっており、陽性になれば排卵間近と判断できます。基礎体温の計測に加えて、排卵検査薬を使用することで、より正確に排卵日を把握することができます。
時間的余裕が少ないので、妊娠希望時には不妊検査を受けることをおすすめします。不妊検査には女性のほとんどが受ける一般的な検査と、一般的な検査から疾患の疑いがある場合に受ける特殊検査があります。
一般的な検査では、子宮・卵子を診断してもらい痛いところがないかを見るとともに、細い超音波プローブを膣内に挿入して異常がないかみる「問診・経腟超音波検査」、X線で投影しながら造影剤を注入し子宮の形や卵管が閉鎖されていないかみる「子宮卵管造影検査」、血液を採血しホルモンなど全身疾患に関係する「血液検査」があります。
特殊な検査では、臍からカメラを入れる手術を行い、お腹の中を観察する「腹腔鏡検査」、卵が着床する場所を直接観察する「子宮鏡検査」、体の断面像を撮ることで子宮や卵巣形態の詳細な情報を得る「MRI検査」などがあります。
妊活中に悩んだこと、落ち込むことがあればパートナーに相談することが大切です。妊娠を望むうえで、パートナーと協力することは重要です。なぜなら女性だけでは妊娠することは不可能だからです。
ふとした一言が妊活中の女性を傷つけることがあります。「子どもはまだ?」という軽い言葉が妊活中の女性にとっては心無い、重いプレッシャーとして感じてしまう人が多いのです。周りから妊娠を急かされるなどのプレッシャーがストレスとなっていくことがあります。
プレッシャーを重く感じているとき「一緒に頑張ろう」という言葉をかけてもらうだけでも、負担感は軽くなります。他にも、体をいたわる言葉や、女性の気持ちに寄り添ってくれる言葉が女性の心を軽くすることができます。
葉酸とはビタミンB群の仲間です。水に溶けやすい水溶性のもので、ほうれん草から発見されたことから「葉酸」と呼ばれるようになりました。名前から野菜に含まれると思われがちですが、レバーなどの動物性食品にも多く含まれています。
葉酸は細胞分裂する時に核となる?NAを作り出す際に必要な栄養素です。受精卵は細胞分裂を繰り返し、胎児の形を成すため、そのための栄養素が重要です。また、「造血のビタミン」と言われており、血液を増やす働きを持ちます。
妊娠中の人は通常の2倍以上の葉酸を摂ることがおすすめされています。理由としては、胎児が生まれつき障がいをもつリスクを70%以上も下げることできます。
現代では、女性の社会進出が増え、35歳以上の妊娠出産が増えてきました。また、不妊による子どもをのぞんでいても出来ないことは文明病ともいえます。しかし、その90%は生活スタイルを改善することで解消できるはずです。
まず、妊活に臨む場合には日々の体作りから心がけることが大切です。規則正しい生活、バランスのよい食事、冷え性対策などを自分なりに工夫することもいいでしょう。
35歳の高齢出産は、大きなリスクが伴うイメージがつきがちです。生まれた子どもに先天性障害が現れる可能性が低くありません。しかし、現在の医療後術の進歩で、それらのリスクは限りなくゼロに近くなっています。
高齢出産といわれても、決して妊娠が不可能というわけではありません。妊娠率が20代と比べて劣りますが、妊娠できる可能性が残っています。また、妊娠率を上げるために日々行える体作りが、重要な一歩もなってきます。大切なパートナーと気持ちを共有し、妊活に協力して臨んでいきましょう。