晩婚化が進み、妊娠、出産を経験する女性の年齢は徐々に上がっています。年齢が上がるにつれて、妊娠率が下がるということは知られていますが、現実的にはどの程度の妊娠率なのでしょうか。また、それに伴うリスクなどもしっかりと認識する必要があります。
近年では晩婚化が進み、出産における女性の年齢も高齢化しています。30代後半から40代で出産を経験する女性も増えていて、決してめずらしいケースではありません。そこで、自然妊娠する確率はどのくらいなのか、体外受精を選択した場合の妊娠確率はどのくらいかについて、気になる人も多いかと思います。
今回は、42歳の妊娠確率についてや、妊娠確率をあげるためにできること、そして高齢での妊娠・出産時のリスクに関して詳しく解説していきます。40代前半で妊娠を希望する方は、参考にしてみてください。
女性の年齢と妊娠率は、切っても切り離せないもの。年齢が上がると妊娠率は下がってきてしまいます。42歳で子供が欲しいと思った場合、妊娠する確率はどの程度なのでしょうか。
女性は35歳、男性は50歳を超えると、妊娠能力が低下すると考えられ、45歳で自然妊娠する確率は、わずか1%ともいわれています。女性の生理を基準に考えた場合、妊娠に適している年齢の幅は、20代から35歳くらいまでが適齢です。
妊娠率が低下する主な原因としては、卵子や体の老化、生理不順などが挙げられます。特に、卵子の老化は重要で、自分で止めることができないため、一刻も早い妊活がおすすめといえます。
40代になると自然妊娠が難しくなり、不妊治療として「生殖補助医療」を利用する人も多いです。42歳での自然妊娠の場合、妊娠率は約8%程度だったものが、生殖補助医療を利用することで、17.7%にまで上昇します。
したがって、妊活を始める際には、生殖補助医療を利用することも、視野に入れて考えるとよいでしょう。
生殖補助医療とは、体外受精や胚移植、兼備受精、凍結胚・融解移植などの不妊治療のことを指します。高齢になるほど、生殖補助医療を利用する人が多く、妊娠成立者のうち65%が40歳以上というデータもあります。
ただし、一概に全ての女性に当てはまるわけではありません。治療の向き不向きがあり、体質なども関係してくるため、信頼できる医者と相談しながら、年齢に合った治療を進めていくことをおすすめします。
【参照リンク:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa11.html】
生殖補助医療(ART)を利用した42歳のART出産率は、わずかに4.4%といわれています。妊娠率と出産率は異なります。妊娠率は、出産にまで至らなかったケースが含まれていることも、留意しておきましょう。
40歳を過ぎると、染色体異常も増えてくることもあり、妊娠途中で流産してしまうケースも多いです。高齢でも、妊娠から出産まで乗り切るためには、質のよい卵子を作り出すことが大切といえるでしょう。
妊娠しやすくするために、できることはたくさんあります。自分でできること、医師に相談しながら病院などでできることなど、幅広いです。妊活を始めたら、妊娠できる確率を上げることにも取り組みましょう。
高齢であるということを認識するだけでなく、自分の体のことを知ることがとても大切です。妊娠には排卵の有無が欠かせません。また、排卵の時期も大切なもの。
生理があるうちは、排卵があると思っている女性の方も多いと思いますが、そうでもない場合もあります。まずは、排卵の有無や時期を知ることで、今後の治療に役立てましょう。
自分の排卵について知る方法として、基礎体温表をつけることが挙げられます。毎朝基礎体温を測ることで、自分の体のリズムを知ることができます。妊娠しやすいタイミングがわかるだけでなく、体調不良などにも気づくことができます。
しっかりと低温期、高温期に分かれていることが理想です。しかし、しっかりと二分されていない場合は、排卵がされていない、自分では妊娠しやすいタイミングが判断しづらいという可能性があるので、婦人科などで受診をするようにしましょう。
自然妊娠をしづらい場合、婦人科系の病気が潜んでいる可能性も考えられます。そのような場合には、自己判断せずに、婦人科の検査を受けることをおすすめします。
婦人科系疾患は、年齢とともに患う確率が増し、不妊の要因にもなり得る危険なもの。不妊の要因を知ることは、今後の治療の指針にもなります。適切な相談や治療を受けて、妊娠を促すようにしましょう。
妊娠することは、とても大変なことです。卵子や、受精後の受精卵にとって、居心地のよい体を作ってあげることも、妊娠率を上げる方法といえます。妊娠しやすい体作りとは、一体どのようなことをすればいいのでしょうか。
【参照リンク:https://www.kouwakai-nakamura.jp/medicalex/gynecology/it/it_bodybuilding/】
人には適正体重というものがあります。適正体重は(身長m)×(身長m)×22で導き出すことができます。また、肥満度を示す体格指数(BMI)という数値も重要で、(体重kg)÷(身長m)×(身長m)で計算できます。
BMI指数を22に近づけることで、女性ホルモンのバランスがよくなることが期待でき、最も病気にかかりにくくなるといわれています。太りすぎや痩せすぎもホルモンバランスが乱れ、婦人科系のトラブルや排卵障害を引き起こす可能性があるため、適正体重に近づけることが理想といえます。
妊娠にたばこが悪影響であるということは、周知の事実でもあります。たばこは女性ホルモンの分泌を減少させ、卵巣機能を低下させる恐れがあります。もしも喫煙している場合は、妊活を始める際にはしっかりと禁煙することが大切。
また、たばこは流産の確率を高める可能性もあります。そのため、妊娠が分かったときには、受動喫煙を避けるためにも、パートナーに禁煙への努力をしてもらうようにしましょう。
喫煙と同様に、飲酒も妊娠にとってよいものとは認識されていません。お酒と不妊の因果関係は証明されていないので、禁酒する必要はありません。しかし、アルコールの摂取量が多くなるほど、妊娠率が低下するデータもあるので、飲み過ぎには注意は必要です。
冷え性で悩んでいる女性は多いことでしょう。しかし、妊娠に冷えは大敵ともいえます。冷え性で血流が悪くなると、栄養や酸素が十分に行き渡らなくなり、子宮や卵巣の機能が低下する可能性があります。
冷えを改善するためには、体を温めることが効果的。外側から直接温めるには、お風呂にゆっくり入って血流をよくしたり、腹巻きなどを巻いたりすることもおすすめです。また、内側から体を温める食べ物を、積極的に摂取することも効果的です。生野菜よりも温野菜、夏野菜よりも冬野菜ということを、意識して摂るようにしましょう。
さらに、適度な運動も効果的です。ストレッチやウォーキング、体操といった無理のない運動を継続的に行うことで、血行を促進するとともに、ストレスも発散できるでしょう。
妊娠すると、葉酸を摂取することが大切です。実は、母子手帳にも記載されているほど、葉酸は大切な栄養素の一つなのです。
葉酸は細胞分裂を活発にしてくれ、子宮内膜を強化し、着床しやすい環境をサポートしてくれます。また、妊娠初期にも、先天異常のリスクを避けるために、必要な栄養素でもあります。
葉酸を含む食材を意識して摂取する、サプリメントなどを活用するなどして、積極的に摂取するようにしましょう。
35歳を超える妊娠、出産は、高齢出産に分類されますが、42歳で妊娠出産を経験する場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。リスクを知っておくことで、予防することにもつなげていきましょう。
流産とは、妊娠22週までに、何らかの理由で胎児が死亡してしまうことをいいます。高齢出産での流産の危険性が高まることは、知っている人も多いでしょう。
流産の平均確率は15%程度ですが、この数値は年齢とともに増加し、40代前半では約50%にまで上昇します。また、胎児が十分に育っていない、妊娠22週~36週の間に産まれてしまう早産の危険も高まります。
【参照リンク:http://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2014data_201609.pdf】
ダウン症とは、「ダウン症候群」という先天性の症候群のこと。世界中で約1000人に1人発症しているともいわれており、身近にダウン症の子供がいる人もいるのでは。
高齢出産になると、ダウン症発症のリスクが高まることもよく知られています。染色体異常が引き起こすダウン症は、卵子や精子の染色体からも影響を受けます。
精子は新鮮なものを作られることに対し、卵子は母親が胎児のときからずっとあるもの。その結果、年齢を重ねるとともに卵子も老化が進むため、卵子のほうが染色体異常が現れる確率が高い傾向にあります。
一般的にダウン症が産まれてくる確率は0.1%(1000人に1人)といわれていますが、加齢とともに増加し、42歳では1.56%(64人に1人)の確率にまで上がります。
【参照リンク:http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147474】
妊娠高血圧症候群とは「妊娠中毒症」とも言われ、高血圧、尿たんぱく、むくみなどの症状が現れることをいいます。症状を放置するとさらに悪化し、胎児の発育に影響を及ぼす恐れがあります。
35歳以上の妊娠での発症確率は、約30%。胎児への影響だけでなく、母親の腎臓や肝臓にも障害を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
晩婚化や高齢出産などの世間の流れを受け、不妊治療へのサポートも充実してきています。自治体や国からの助成金や、相談センターなど、妊活を頑張る女性を応援する制度などを知っておき、活用できるものは活用しましょう。
不妊治療の中でも、特定不妊治療に分類される体外受精、顕微授精を受ける場合には、助成制度を利用することが可能です。厚生労働省の発表では、「特定不妊治療を開始した初日の女性の年齢が42歳未満であること」が条件となっています。また、所得制限などの条件も付与されているので、しっかりと確認するようにしましょう。
さらに、自治体からの助成金もあります。住んでいる地域の自治体によって異なるので、しっかりと確認することが必要です。また、自治体によっては、不妊検査や特定不妊治療以外の不妊治療に関しても、助成金の対象となる場合もあるので、合わせてチェックしておくとよいでしょう。
【参照リンク:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html】
各自治体では、医師や助産師などの専門家が、不妊に関する悩みや相談に対応したり、不妊治療の情報提供をしたりする機関などを、設置しているところもあります。
不妊治療を受けている女性は多いといえども、心身ともにダメージを受ける治療。しかし、妊活中はできるだけストレスはためたくないものです。
不妊治療は、誰にでも相談できる内容ではないため、一人で悩んでしまう女性が多いことが現実です。しかし、一人で悩まずに、専門家のいる不妊専門相談センターも活用して、前向きに取り組む努力をしましょう。
【参照リンク:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000181591.html】
40歳を超えての妊娠は、決して簡単にできるものではありません。妊娠しやすい体作りなど、自分でできることもたくさんありますが、妊娠率などの現実的な数字や、伴うリスクなどをしっかりと受け止めることも大切です。そのうえで、パートナーとよく相談して、最適な決断をするようにしましょう。