2018.07.05

44歳の妊娠の確立とは|可能性とリスクを知って心構えを持とう

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44歳で妊娠出産をしている人はいます。その確率はゼロではありません。しかし胎児や母体により多くのリスクを与えることも事実です。44歳での妊娠出産を望む人は正しい知識や情報を得ることが大切。そして強い心構えを持って新しい命と向き合いましょう。

44歳赤ちゃんが欲しい

「年齢とともに女性の卵子は老化・減少する」と叫ばれている昨今ですが、ライフスタイルの多様化によって44歳でも妊娠・出産したいと望む女性はたくさんいます。

44歳での妊娠出産、その可能性はゼロではありません。ただし、さまざまなリスクも伴います。44歳で妊娠して起こり得ることを今一度しっかり理解し、新たに芽生える命について考えてみましょう。

44歳年齢からみる妊娠の確率

実際、44歳での妊娠の確率はどれくらいなのでしょうか?自然妊娠できる可能性はあるのでしょうか?卵子のメカニズムをおさらいしつつ、妊娠の確率について詳しく見ていきましょう。

卵子の老化と減少により自然妊娠しにくくなる

女性は男性と異なり、生まれた時から「卵子の数」が決まっています。卵子のもとになる細胞・原始卵胞というものを卵巣の中に一生分持って女性は生まれてくるのです。誕生時は約200万個あるとされる原始卵胞は、思春期には約20~30万個になり、その後、月経のたびに数百個ずつ無くなり、平均45歳では数千個になってしまうといいます。卵子のもととなる原始卵胞は、その多くが成熟した卵子になることなく消えてしまうのです。

また、生まれた時から存在するため、当然老化します。女性の年齢と同様、原始卵胞も歳をとっていくのです。歳を重ねた卵胞から成熟した卵子は、質が低下していて生殖能力の劣ったものが多くなります。例えば、染色体異常を持った卵子は年齢を重ねるごとに多くなり、受精しても育たない、着床しない、流産してしまうということが多くなってしまいます。

【参照リンク:http://ivf-asada.jp/ranshi/

44歳で自然妊娠の確率は約1%

日本産科婦人科学会のデータによると、生殖補助医療(体外受精や顕微授精など)を行った44歳女性の妊娠確率は3.66%となっています。25人に1人・約4%が妊娠したことになりますが、これはあくまでも不妊治療、つまり生殖補助医療を行っていた場合の妊娠確率です。

自然妊娠の確率をみると、排卵日近くに性交し受精に至った「一周期」あたりの確率は、40歳で5%、45歳で1%となっています。44歳での自然妊娠は極めて低いと言わざるを得ません。

【参照リンク:https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2011data.pdf

体外受精や顕微授精の方法もある

約4%の妊娠確率をあげている生殖補助医療について詳しく見ていきましょう。生殖補助医療と呼ばれる不妊治療には「体外受精」や「顕微授精」があります。体外受精とは、体の外に取り出した精子と卵子を受精させ、受精卵を再び子宮内に戻すという治療法です。この時の受精方法は、取り出した卵子に精子をふりかけ、精子と卵子の力で結合させるというもの。

一方、顕微授精とは、精子自体の受精能力が弱い場合などに、人の手によって精液の中からより優れた精子を選び出し、その精子をガラス針で卵子に入れ込んで受精させ、受精卵を子宮に戻すという治療法です。

体外受精も顕微授精もどちらも高額な費用がかかります。日本で体外受精を受ける際の平均費用は、約30万~60万円とされています。顕微授精は体外受精よりさらに高度な治療法なので、もっと費用がかかります。

国や自治体に「特定治療支援事業制度」というものがあります。医療費控除や、不妊治療に対する助成金制度です。また、銀行によっては「不妊治療ローン」というものもあるようです。申請方法や対象期間は各自治体によって違うようですから、まずはさまざまな情報収集をしてみましょう。

【参照リンク:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa12.html

生まれてくる赤ちゃんへのリスクは

高齢出産で理解しておかなければならないのは、胎児へのリスクです。胎児が疾患を抱える可能性はどれくらいあるのでしょうか?また、胎児へのリスクを知った時、どう受け止め、どんな判断をすればいいのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

ダウン症や先天性異常のリスクが高い

子供がダウン症になる原因として「染色体異常」が挙げられます。その確率は、44歳での出産で26.3%とされています。また、ダウン症を含む何らかの染色体異常を持って出生する子供の確率は38.5%。高齢だけが原因とは限りませんが、年齢を重ねた妊娠は胎児に与えるリスクが高いと言えるでしょう。

出生前診断を受けるという選択

「出生前診断」とは、胎児がお腹にいる状態で、先天性や遺伝性の疾患・染色体異常などを調べるものです。羊水検査や絨毛検査などいくつか種類があります。しかし、この検査には賛否両論の声が絶えません。

否定的な意見としては、胎児の異常を知ることで夫婦や家族が悩み苦しみ、中絶を決断するという「命の選別」につながるというもの。しかし一方で、障害への「覚悟・心構え」ができ、あらかじめ疾患について調べることができたり、出産後の子供の育て方を準備することができるという考え方もあります。

44歳での妊娠・出産は、若い年齢と比べるとリスクは多いです。だからこそ夫婦や周囲とよく話し合い、それでも欲しいと願い実現したならば、ぜひとも前向きに、新しい命と向き合うことが大切なのではないでしょうか?

妊娠中と出産後の母体へのリスクは

44歳での妊娠・出産は、胎児だけではなく母体にもさまざまなリスクを与えます。妊娠中や出産後と、起こり得る病気やリスクの可能性を知りましょう。

妊娠高血圧症候群のリスクが高い

「妊娠高血圧症候群」とは、高血圧・蛋白尿・浮腫などの症状が母体に起こることを総称して呼びます。これは妊娠の経過にしたがって血管の壁に傷がつくことが原因と考えられています。重症になると命の危険にもつながります。35歳以上の妊婦に発症率が高く、40歳以上の妊婦はさらに危険度が増します。

【参照リンク:http://jsshp.umin.jp/i_9-qa_use.html

流産のリスクが高い

44歳での妊娠は、受精卵の染色体異常の確率が高くなります。流産の原因の多くは染色体異常とも言われていて、そもそも染色体異常が起こるのは精子と卵子の老化・質の低下が要因とされています。40歳~44歳では、流産率は約45%、2人に1人の割合で起こりやすくなります。

帝王切開になる可能性が高い

また、初産での40歳以上の帝王切開率は23.4%と、35歳以上と比べても約10%も高くなっています。これは妊娠高血圧症候群などによって、自然分娩では母体にも胎児にも危険を与えてしまう可能性があるからです。「高齢のため陣痛を乗り切る体力がない」「赤ちゃんにとって安全な方法をとりたい」という理由から、最初から帝王切開を望む女性や家族も少なくないようです。

産後の回復が遅くなる

出産後、体調不良の続く女性が多いようです。年齢による体力低下、分娩時の傷の治りが遅いなどや、思わぬ病気を引き起こす可能性もあるそうです。子育てで寝不足の日々が続きます。そんな時はひとりで無理をせず、家族や周囲の協力を得ましょう。

それでも赤ちゃんが欲しい

さまざまなリスクを知っても「どうしても赤ちゃんがほしい!」、そんな人にぜひ実践してほしいことをまとめました。

妊娠できる体調つくりをしよう

妊活中に特に気をつけてほしいのは「冷え」です。冷えによる血行不良は子宮や卵巣に悪影響を及ぼします。また、ストレスを溜めないようにすることやホルモンバランスを良くすることは、妊娠できる体を作るのにとても大切です。

規則正しい生活を心がける

規則正しい生活を心がけることは、体の若さを保つことにも良い影響を与えます。また、葉酸と呼ばれる栄養素を意識して摂るようにしましょう。葉酸は子宮や卵巣の血行を良くしたり、子宮内膜を厚くして着床率を高める効果も期待できます。さらに、飲酒や喫煙をやめることもお勧めします。

リスクはあるが44歳でも妊娠出産は可能

44歳での妊娠・出産。確かにその実現の可能性は低くなり多くのリスクを抱えることになりますが、一方、元気な赤ちゃんを産んで楽しく子育てをしている人もいます。

正しい知識や情報を得ないまま妊娠出産を諦めてしまうことは、後悔につながります。そして、妊娠出産は「ゴール」ではなく「スタート」です。後悔をしない良いスタートを切りましょう。新しい命と向き合うことには苦労以上の喜びが待っています。

1人で悩まず無理をせず、パートナーや家族・友人と話し合い協力し合うことが大切。そしてみんなで新しい命を迎え、育てていきましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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