47歳で妊娠を希望する場合、高齢妊娠に対する疑問や不安が頭をよぎるものです。しかし、40代後半で高齢出産をされている方もいます。今回は、高齢妊娠の可能性やリスク、対策について解説していきます。正しく把握して、可能性を探っていきましょう。
インターネットを始めとするさまざまな情報から、「47歳ではもう妊娠できない」と不安になることもありますよね。しかし、厚生労働省の2016年の人口動態統計によると、1401人の赤ちゃんが45?49歳のお母さんから生まれています。
47歳での妊娠確率は低いという事実もありますが、本記事では、妊娠の可能性が低いことの要因を追及し、可能性を高めるための対策を紹介していきます。妊娠を現実のものにできるよう、一緒に確認していきましょう。
高齢出産は、初産であれば35歳以上、2人目以降であれば40歳以上と定義されています。やはり自然妊娠の確率は低く、妊娠が成立した場合でも、高齢出産ではない場合に比べると、妊娠の継続や出産に伴う異常は高くなることが現状です。
高齢出産で注意すべき点としては、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症などに加え、卵子の老化や精子の老化による染色体異常が挙げられます。また、高齢出産では胎児の先天異常の発生率も高くなります。
さらに、「妊娠22週以降の胎児や生後1カ月以内の新生児の死亡率」である周産期死亡率が、年齢とともに上がります。周産期死亡率は、45歳を過ぎると急激に上昇し、40~44歳までと比べても2倍以上になります。
【参照リンク:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa18.html】
ご承知の通り、高齢妊娠の確率は、年齢が上がるとともに低くなっていきます。ここで、年齢別にみる自然妊娠の確率を、統計データからみていきましょう。排卵日付近で、性交渉を行った場合の月当たりの自然妊娠の確率は、20代で25~30%、30~34歳で25~30%、35~39歳で18%、40~44歳で5%、45歳で1%とされています。
月当たりの確率でも、45歳で1%という数値を目にすると、悲観的な気持ちになるかもしれません。しかし、厚生労働省が発表している人口動態統計によると、母の年齢別にみる出生数では45?49歳の場合、2013年では1116人、2016年では1401人とあります。
医療技術の発達により、45?49歳での出産率も増加しているため、妊娠の可能性は残されていることを理解しておきましょう。
【参照リンク:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai16/dl/gaikyou28.pdf】
妊娠確率の低さの要因としては、卵子の老化や、男性の精子の質と量が挙げられます。できればパートナーと共有し、妊娠確率の低さの要因を一緒に確認してみてくださいね。
妊娠確率の低さの要因の一つが、卵子の老化です。卵子になる前の原始卵胞は、胎児の頃から卵巣の中にあります。そのため、30歳で排卵した卵子は30年経過した細胞、40歳で排卵した卵子は40年経過した細胞というように、卵子も実年齢と一緒に年を取って老化していきます。卵子が老化すると、受精卵や胚になることができなくなり、染色体異常を持つ割合が増えていきます。
また、原始卵胞には限りがあります。出生時には、約200万個近くある原始卵胞ですが、年齢とともにその数は減少していきます。原始卵胞の数が少ないと、妊娠する確率も下がります。もしも、自分の原始卵胞がどのくらい残っているのか知りたい場合は、専門機関で卵子の残存数を調べる「AMH検査」を行うことをおすすめします。
【参照リンク:http://ivf-asada.jp/ranshi/ranshinorouka.html】
妊娠確率の低さの原因は、女性だけではありません。男性の精子の質や量もとても重要で、不妊外来では精液の量、精子濃度、総運動精子数、正常形態精子などを調べる「男性不妊検査」も実施されています。
男性も加齢とともに精子が老化し、男性不妊検査で実施される項目の、精液の量や総運動精子数などが減少する傾向にあります。医療機関では、不妊の半分は男性が原因とされていますので、不妊の原因が女性だけではないことを理解しましょう。
【参照リンク:http://www.hanaoka-ladiesclinic.com/funin/men.html】
ここでは、高齢妊娠や高齢出産のリスクとして、流産の可能性、親の体へのリスク、生まれてくる赤ちゃんのリスクの3つを説明していきます。重い内容も含まれますが、大切なことですので一緒に確認していきましょう。
高齢妊娠や高齢出産のリスクとして、第一に挙げられるのは流産の可能性です。慶應義塾大学医学部の丸山哲夫准教授の発表によると、年齢別流産頻度は30~34歳で15%、35~39歳で25%、40~44歳で51%、45歳以上は75%とされています。このデータからみると、47歳での流産の可能性は高いことがわかります。
【参照リンク:http://jsog.umin.ac.jp/68/handout/3_2Dr.Maruyama.pdf】
帝王切開や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの親の体へのリスクもあります。日本産婦人科医会の「分娩時年齢の高年齢化 現状と問題点」では、初産・単胎の帝王切開率は30代で27.3%、40~44歳で38.3%、45歳以上で76.0%と発表されています。
高齢出産で、帝王切開の確率が高くなるのは、子宮筋腫の手術を受けている場合の子宮破裂を避けるためや、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病により、妊娠の継続が難しくなった場合に、赤ちゃんを守るためとされています。
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病については、運動や食生活などの生活改善を行うことで、リスクを下げられるので、ぜひ今から生活改善に取り組んでみましょう。
【参照リンク:http://www.jaog.or.jp/sep2012/know/kisyakon/54_120509.pdf】
高齢妊娠や、高齢出産のリスクで一番心配なのは、先天異常の発症率が高くなることかもしれません。ある研究報告では、先天異常の発症率は、25~29歳で1.88%、35~39歳で2.02%、40歳以上で2.38%とされています。特に、高齢妊娠の場合のダウン症の発生率は高く、25歳で0.00083%なのに対し、40歳以上では1%といわれています。
そのため、高齢妊娠の場合は、出生前診断を行う女性も少なくありません。出生前診断の方法としては、超音波検査やMRI、母体血清マーカー検査、羊水検査、胎児血検査などが挙げられます。出生前診断は、倫理上の問題も多く含まれる検査でもあります。そのため、妊娠前からパートナーと共有して話し合っておくことをおすすめします。
【参照リンク:http://www.flsc.jp/contents/check/】
ここでは、妊娠の可能性を高めるために、できることについて紹介していきます。ぜひ参考にして、一日も早く日常生活に取り入れてみてください。
妊娠可能性を高めるためにすべきことは、生活習慣を改善することです。栄養管理、睡眠、運動の3つがあげられます。栄養管理としては、インスタント食品やレトルト食品、ファーストフード、 清涼飲料水などは極力控えて、栄養バランスのよい食事を心がけてください。
また、代謝を助けるためのビタミンB6、血行促進するビタミンE、赤ちゃんの脳の発育を促進させる葉酸などが含まれる食品は、積極的に摂取しましょう。睡眠は、早寝・早起きを心がけて、6~7時間は取るようにしてみてください。運動としては、体幹を鍛えるヨガなどの運動がおすすすめです。
近年、ヨガは妊活ヨガとしても脚光を浴び、不妊治療に効果があるといわれています。ヨガは、不妊に伴う肥満の改善にもなりますし、妊娠した際のリスクにも挙げられる、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の予防にもつながります。ぜひ、この機会に習慣化していきましょう。
【参照リンク:http://www.kinutani.org/yoga/】
妊娠の可能性を高めたい人が避けるべきこととしては、タバコとお酒が挙げられます。タバコに含まれる有害物質は、卵子の発育や着床、胎児の脳の障害などを引き起こす可能性があるので、喫煙している方は今すぐに止めましょう。
また、お酒も受精卵の分化や胎児の発達に、影響を及ぼします。お酒が好きでやめられないという方も、妊娠中授乳中は一切飲めませんので、今から控えていきましょう。
【参照リンク:http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/insyu.htm】
身近には、高齢出産している人はいないので、やはり高齢妊娠は無理なのではないかと、希望が持てないときもありますよね。ここでは、高齢で妊娠している著名人を紹介します。
高齢出産されている著名人の方々も、不安や迷いの中で、妊活を行い無事に出産されています。あきらめずにできることを続け、妊娠へとつなげていきましょう。
高齢妊娠や高齢出産にはリスクはつきものです。また、さまざまな不安や葛藤、周りとの比較を体験するかと思います。栄養管理や睡眠、運動など、自分でできることは限られていますが、それでも毎日続けてみましょう。高齢妊娠のリスクを理解しながら、ぜひ前向きに取り組んでみてくださいね。