2018.08.07

子宮外妊娠の可能性?hCGの値が基準値と違うときに考えるべきこと

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子宮外妊娠とは、子宮以外の場所で赤ちゃんが育ってしまうことですが、子宮外妊娠か確かめるための検査の一つがhCG値の測定です。今回は、子宮外妊娠やhCG値って何?そもそも子宮外妊娠っていつ分かるの?こうした疑問について詳しく調査しました。

子宮外妊娠とhCG値の関係性

子宮外妊娠は、子宮以外の場所に受精卵が着床してしまうことを指し、進行するとお母さん自身が死に至る危険性もあります。hCG値の異常が指摘された、生理のような出血がある、そうした出来事があると、子宮外妊娠の予兆や症状が潜んでいる可能性もあり、不安に思われている方もいるでしょう。

子宮外妊娠の兆候や関係する情報、時期などの知識を知って、早期発見できるように備えておくことが、自分の体を守るためにも大切なことです。この記事では、子宮外妊娠とhCG値の関係について、詳しく解説します。

子宮外妊娠とは

子宮外妊娠は、正式には「異所性妊娠」といい、誰にでも起こりうるトラブルの一つです。

卵管や頸管などに着床してしまった

子宮外妊娠(異所性妊娠)とは、受精卵が本来着床すべきでない卵管や、頸管などに着床してしまった場合をいいます。最も多いのは卵管への着床で、全体の9割近くを占めており、ほかに腹膜や卵巣にも着床する場合があります。

たとえば、卵管妊娠をした場合は妊娠が進行すると、いずれは卵管が破裂してしまう可能性が高くなります。したがって、子宮以外の場所に着床してしまったら、妊娠は継続できません。

起こる確率はわずか

妊娠全体の約1~2%の確率といわれており、確率の面で見ればごくわずかです。また、体外受精など胚移植を行った場合は約2~4%といわれ、自然妊娠よりリスクが高いといわれていますが、誰にでも起きる可能性があるトラブルです。

卵巣や卵管の手術を受けた経験がある人や、子宮内膜症を経験した人、人工中絶をした人、胚移植による妊娠では、比較的発生率が高まるといわれています。

起きてしまったら治療が必要

子宮は赤ちゃんのサイズに合わせて伸びるほか、成長のためのさまざまな仕組みを備えています。ところが卵管や頸管には、そうした赤ちゃんが育つための仕組みは備わっていません。子宮以外の場所で、赤ちゃんが成長できたとしても、赤ちゃんのサイズに合わせて変化できないため、破裂による大量出血や卵管流産を引き起こし、お母さん自身の命を危険にさらしてしまいます。

そのため、残念ながら妊娠を継続させることはできず、手術で取り除きます。海外では、絨毛細胞の成長を妨げる薬による治療も増えています。この際に使用される薬が、「メトトレキサート」という抗がん剤としても使われる強力な薬であることも踏まえ、日本では子宮外妊娠への保険適用は除外されています。

hCG値とは

子宮外妊娠の診断に活用される数値が、hCGというホルモンの数値です。

hCGとは妊娠した場合の特殊なホルモンの数値

hCGとは、「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」の略で、妊娠の有無で変化するホルモンを指します。子宮の絨毛から分泌され、受精卵を育てる働きを持っています。

採血や尿検査で知ることができ、とくに採血による血液検査のほうが、高い数値が示されます。妊娠すると、分泌が開始される特殊なホルモンで、分泌とともに生理が来なくなります。

妊娠した場合に徐々に増える

妊娠すると、hCG値は徐々に増え始めるため、市販の妊娠検査薬で判別するときに活用されるのも、このホルモンです。妊娠して4週目ごろには100~200IU/mlとなり、妊娠5週目には500~5000IU/mlに、6週目には3000~19000IU/mlになります。

こうして、妊娠週数が進むにつれて分泌される量が増え、週数に応じて基準値が設定されています。

子宮外妊娠の場合も数値は増える

子宮外妊娠の場合も、妊娠していることには間違いがないため、hCGの数値は増加していきます。そのため、市販の妊娠検査薬を使うと、陽性反応がでます。基準値と比較して、高すぎても低すぎても異常妊娠の可能があるため、数値以外にも検査を行い、最終的な診断が下されます。

多くの子宮外妊娠は、hCG値が正常値と比較して低い傾向にあります。参考として、正常妊娠の場合は、妊娠5週目には約2,000~4,000mIU/mlになるといわれており、基準値より高い場合は、多胎妊娠や胞状奇胎の可能性が考えられます。また、流産してしまった場合は、基準値より低くなります。

子宮外妊娠がわかるまで

実際に子宮外妊娠かどうか分かるまでには、妊娠5~6週目になるまで待つ必要があります。

妊娠検査薬で陽性となる

子宮外妊娠の場合でも、受精卵が子宮以外の場所に着床しているため、妊娠による反応やホルモンバランスの変化が生じます。子宮外妊娠の場合は、正常な妊娠と変わらない反応がでる場合と、薄い陽性反応の場合があります。妊娠検査薬は「妊娠したかどうか」までしか分からないため、正常妊娠の判断にはなりません。

また、自覚症状はほとんど見られず、不正出血が起きることもありますが、正常な妊娠だと出血が起きないというわけではないため、これも判断材料にはなりにくいことが特徴です。中には、普段の生理が来たと勘違いして、妊娠自体に気づけずに、子宮外妊娠を見逃してしまうこともあります。

病院でhCG値の測定と嚢胞の確認の有無

正常妊娠かどうかを判断するためには、子宮内に胎嚢という赤ちゃんが入った袋があるか、心拍が確認できるかを、産婦人科で検査する必要があります。胎嚢は、妊娠5週目ごろから確認できますが、妊娠週数を数え間違えている場合や、流産の可能性を加味し、尿検査や血液検査、エコーなど総合的な判断を行います。

とくに5週目以降で、1000IU/I以上のhCG値の分泌が見られても、子宮内に胎嚢という赤ちゃんの入った袋が見られない場合には、子宮外妊娠の可能性が高まります。子宮外妊娠が分からないまま6週目になると、受精卵が成長し、少量の出血や下腹部痛、腰痛が起き始めます。早期発見のためにも、胎嚢が確認できる妊娠6週目ごろには、一度妊婦検診を受けるようにしましょう。

子宮外妊娠と言われたら

子宮外妊娠は、妊娠とはいえ、残念ながら妊娠を継続することができない状態です。とくに妊娠を待ち望んでいた場合、ショックは大きいでしょう。しかし、子宮外妊娠は赤ちゃんが大きくなると卵管破裂などが起き、母体の命の危険があるため、次の赤ちゃんを無事に妊娠して出産できるように、産婦人科の対応としては、母体優先となります。

また、ある日突然症状が現れ、全身状態が急激に悪化するケースが多いため、対応も慎重になります。しかし、確定診断が非常に難しく、熟練の産婦人科医でも、どこに着床したかはっきり見極めることが難しいとされます。そのため「子宮外妊娠の可能性があり、また来院して検査が必要になる」と伝えられたら、きちんと受診しましょう。

子宮外妊娠と診断された場合、速やかに治療が開始されます。腹腔鏡手術など、体へのダメージが少ない手術での対応や、自然に流産することを待つ場合もあります。しかし成長が進んでいたり、腹腔内に着床している、すでに強烈な腹痛とともに卵管破裂が起きているなど、迅速な対応が必要となる場合は、開腹手術が選択されることもあります。

卵管を温存する方法も現在では選択できますが、卵管ごと摘出しなくてはならないケースもあります。そのため、産婦人科医やパートナー、自分の気持ちを踏まえ、しっかり検討することが重要です。

hCG値は子宮外妊娠の判定で重要視される項目の一つ

hCG値は、妊娠しているかどうかを判断するためにも重要な数値であり、子宮外妊娠では診断の際に、重要な項目の一つです。しかし、基準値より外れていたとしても正常妊娠である場合や、また胎嚢の場所がよく見えない位置にあって、しっかりと確認できないケースもあります。

したがって、妊娠検査薬で陽性反応があったからといって、産婦人科での受診を遅らせたりせず、きちんと受診することが、自分自身や次に生まれてくる命のためにも大切なことです。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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