2018.08.07

hCG注射の副作用とは。排卵誘発剤のhCG注射の効果やデメリット

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排卵誘発剤のひとつである、hCG注射。不妊治療をしている方は、今後使用する可能性があります。しかし「hCG注射」という言葉を聞きなれない方も多いのでは。効果は高いが、副作用がでることもあるhCG注射について詳しく見ていきましょう。

排卵誘発剤のhCG注射のことを詳しく知ろう

不妊治療をしている方で体外受精も考えている場合、今後、hCG注射を使う可能性があります。排卵時に誘発剤のひとつであるhCG注射は不妊治療に使われている排卵誘発剤です。排卵が促されるので、タイミングを取りやすいのが特徴。しかし排卵誘発剤には、卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠のリスクが高くなる、などの副作用もあります。

排卵誘発剤のhCG注射について詳しく知っておきましょう。

hCG注射の詳細

排卵を促す働きや黄体ホルモンの補充をする働きをする、hCG注射。詳しくみてみましょう。

排卵誘発剤のひとつ

hCGは「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」というホルモンです。「絨毛性性腺刺激ホルモン」とも呼ばれています。受精卵が子宮内膜に着床するとhCGを分泌し、子宮内膜がはがれないように厚みを増していきます。

hCGには排卵を促す作用もあります。卵巣の中で卵子を包んでいる卵胞が育つと、ゴナドトロピン放出ホルモンが放出され、黄体形成ホルモンの分泌が急激に増えて排卵します。つまりhCGには、排卵を促し、受精卵の着床を助ける効果もあるのです。

hCG注射は排卵を促す

「卵胞は育つが、排卵しにくい。」という方にはhCG注射をして、LH(黄体形成ホルモン)の分泌を増やし、排卵を誘発します。

排卵し、子宮内膜に着床すると、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが分泌され、妊娠を継続できるようになります。

黄体ホルモン(プロゲステロン)の補充

黄体機能不全で黄体ホルモンの分泌がうまくできない場合、着床してもすぐにはがれてしまい、妊娠の継続が難しくなります。そのため、hCG注射で黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を補う役割をします。

hCG注射をした後も、定期的に検査して黄体ホルモンが十分に補充されているかをみます。ホルモンの補充は妊娠判定の期間だけでなく、妊娠したあとも引き続き行います。

hCG注射の使い方

排卵誘発剤には内服薬と注射薬があります。

内服薬のクロミッドやセキソビットは、脳下垂体に働き、卵胞刺激ホルモンの分泌を促して、卵胞を発育させる働きをしています。クロミッドは月経3日目から5日間服用し、セキソビットは月経3~5日目から5日間服用すると、排卵が促されます。

排卵誘発剤にはhMG注射もあります。hMG製剤は卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモンの両方が含まれていて、FSHは卵胞を育てる作用があります。

内服薬の服用やhMG注射をしたのち、卵胞が成熟した月経の11日目くらいにhCG注射を行います。すると、排卵が促され、36~40時間後に排卵が起こるとされています。

hCG注射の副作用について

hCG注射を用いる際に注意しておきたいことは、効果が高い反面、安全性の面で重大な副作用があることです。その副作用についても知っておきましょう。

重大な副作用がある

hCG注射には、重大な副作用があります。ショックを起こすことや卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、 血栓症、脳梗塞、卵巣破裂、卵巣茎捻転、肺水腫、呼吸困難、多胎妊娠などです。メーカーの添付書には副作用として、血圧が急激に下がってショックを引き起こし、顔面が赤くなる、胸が苦しい、呼吸困難が表れることがある、と記載されています。

一番気を付けないといけない卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

卵巣過剰刺激症候群は、hCG投与で卵胞が過剰に刺激されると、卵巣が腫れあがり、下腹部痛や下腹部の圧迫感、腹水や胸水がたまるといった症状がでることを指します。重症になると、腎不全や血栓症、呼吸困難などが起こるケースもあり、最悪の場合死に至ることも。

多量に排卵誘発剤を使うことで、卵巣過剰刺激症候群を引き起こし、排卵誘発1.7%、体外受精6.5%の患者が入院になるケースがあるという報告もあります。卵巣過剰刺激症候群は、35歳以下の女性ややせ形の人、多嚢胞性卵巣症候群の女性、卵巣内の卵胞が数珠状になっている人に発症しやすくなっています。

精神神経系の副作用

精神神経系の副作用として、めまい、頭痛、興奮、不眠、抑うつ、疲労感などの症状が出ることも。しかし、どのくらいの頻度ででるのか、など詳しいことはわかっていません。hCG投与後に精神状態が不安定になっていると感じたら、医師に症状を伝えておきましょう。

また、眠気が出ることがあります。運転などには気をつけましょう。

痛みや腫れが出ることもある

注射をした部分が痛んだり、腫れや発赤、かたくなったりすることもあります。医師に症状を話し、適切な処置をお願いしましょう。

副作用の対策法

副作用への対策としては、卵巣過剰刺激症候群がおきやすいhCG製剤を、GnRHアゴニストに置き換える方法も。また、長い期間下垂体ホルモンを抑制するロング法では薬の量が多いので、ロング法を避けることも対策の一つです。

副作用以外のデメリット

hCG注射薬には、副作用以外にもデメリットがあります。それらの点についてもみてみましょう。

妊娠検査薬に反応する場合がある

妊娠検査薬は、hCGに反応して陽性が出るようになっています。注射後、血中濃度が6時間後には一番高くなり、1日半ほどすると血中からなくなっていきます。hCG注射の、hCGホルモンの量が多いほど体内に残るホルモンも多いため、妊娠検査薬に反応する期間も長くなります。

基礎体温が上がり生理が遅れる

hCGの構造はLH(黄体形成ホルモン)の構造に似ていることから、hCG注射すると基礎体温があがり、hCGを投与すると高温期が長く続きやすく、生理が遅れやすいです。

また、高温期には子宮内膜が増殖しますが、着床しなければ子宮内膜がはがれて生理として排出されます。

副作用の卵巣過剰刺激症候群には注意しよう?

hCG注射は、高い確率で排卵を促してくれるので、不妊治療にも多く使われています。一方で副作用にも注意が必要です。卵胞過剰刺激症候群では、卵巣が腫れてお腹が膨れたり、呼吸困難に陥ります。重度になると、お腹や胸に水がたまり、命の危険にさらされることも。

副作用やデメリットに注意して、医師や夫婦で相談しながら治療をうけましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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