不妊治療には、時間も費用も、そしてストレスも、重くのしかかってくるものです。
しかも、必ず成功に結び付くという保証もありません。
それでも不妊治療にチャレンジする方に、国は特定不妊治療助成制度を設け、条件を満たしていれば、助成金を支給しています。
また、国とは別に、都道府県、市区町村独自に助成制度を設けている自治体もあるので、それらを上手に活用すると、高額な不妊治療費の負担を、かなり軽減することができます。
不妊治療を受ける決断をする前に、どのような助成制度なのか、助成金はいくらもらえるのかなど、事前に確認しておきましょう。
不妊治療にもいろいろありますが、とくに治療費が高額になるのは、体外受精、顕微受精、凍結胚移植などの高度不妊治療(生殖補助医療:ART)です。
厚生労働省では、治療費用の負担をできるだけサポートするため、特定不妊治療助成制度を設けています。
特定不妊治療助成制度は、47都道府県どこでも受けられる助成制度で、全国一律です。
助成金は1回15万円(地域によっては30万円)ですが、回数や期間によって、助成金の額も違ってきますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
助成を受けるためには、自治体が指定する医療機関(厚生労働省のWEBサイト/指定医療機関一覧)で治療を受けなければなりません。
あなたがお住いの地域の自治体にある保健センターで申請します。
東京都の不妊治療に対する助成金は、不妊治療のステージによって違います。
・治療ステージA(新鮮胚移植の実施):20万円(30万円)
・治療ステージB(凍結胚移植の実施):25万円(30万円)
・治療ステージC(以前の凍結胚を解凍して移植)/F(良好な卵子が得られない):7.5万円
・治療ステージD(体調不良で移植中止)/(受精できず):15万円(30万円)
※()内の数字は初回の助成金)
また港区では、夫婦合算の所得制限(730万円)がありません。
港区では1年度あたり30万円を限度に、東京都で申請した助成金以上にかかった不妊治療への治療費が助成されます。
男性不妊治療でも、精子の採取方法によって15万円までが補助されるなど、東京都の市区町村によっても様々な制度があります。
京都府では、体外受精・顕微授精だけではなく、保険適用となる人工授精についても、初年度10万円を上限として、自己負担額の1/2を助成しています。
都道府県、市区町村によって独自に助成金を追加している自治体があるので、それらを上手に活用しましょう。
助成金は1回15万円(地域によっては30万円)で、1年間で受けられる助成金の最高額は、治療開始年齢によっても1年間で受けられる回数が違うため(平成28年から助成回数や期間が段階的に変更)、事前に確認しておきましょう。
また、平成28年 4月からは年齢制限が設けられ、回数も減少しています。
事前にしっかり確認しておきましょう。
不妊治療助成金の申請は、各自治体の窓口で手続きしますが、締め切り期限があるので、事前の確認が必要です。
申請期限は、国と自治体で異なります。
「治療日を含めて60日間」の場合もあれば、「年度内」の場合もありますので注意しましょう。
また、特定不妊治療助成受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
・特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがないと医師に診断された、法律上の婚姻をしている夫婦
・夫婦合算の年収が730万円以内(所得制限を設けていない自治体もある)
・治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満
・指定医療機関での治療
特定不妊治療助成制度の申請は、以下の書類を用意しましょう。
1. 特定不妊治療費助成申請書(保健所)
2. 特定不妊治療費助成事業受診等証明書(医療機関が発行)
3. 住民票(申請日から3か月以内に発行されたもの)
4. 戸籍謄本(申請日から3か月以内に発行されたもの)
5. 夫婦それぞれの前年の所得を証明する書類
6. 指定医療機関発行の領収書(保険適用外診療分)
※自治体によって、領収書は原本、またはコピーでも可というところがありますので要注意。
不妊治療は個人的なものですが、すべてをご自分で抱えてしまうのではなく、国や地方自治体独自の助成制度を上手に活用することで、経済的負担はもちろん、精神的負担もかなり軽減されるものです。
高額な費用に二の足を踏み、不妊治療を諦めてしまったという声もよく聞かれます。
助成制度の活用、さらに治療費が高額になればなるほど、確定申告によって医療費控除の対象となりますから、こうした制度や節税対策を賢く活用することで、不妊治療そのものに集中して取り組みましょう。