不妊治療には多額の費用がかかります。
しかし受給資格を満たしていれば、国や自治体から助成金を得ることが可能です。
東京都の場合は、国が定めた助成金にプラスして、自治体独自の援助を行っているところもありますので、上手に制度を活用しましょう。
不妊治療をしていて受給資格を満たしている場合、国や住んでる場所の自治体から助成金を受け取ることができます。
しかし助成金制度は都道府県によって制度が異なるので注意が必要です。
東京都の不妊治療助成金制度の正式名称は、「東京都特定不妊治療費助成」といいます。
ステージごとに助成額も変わるのですが、ステージによっては国の定めた助成額よりも高額を助成しています。
また「東京都特定不妊治療費助成」とは別に、区や市などの各自治体が独自の助成を行っている場合があり、国の助成金にプラスしてもらえる可能性があるので、自分の住んでいる場所の制度を確認しておく必要があります。
特定不妊治療とは、体外受精と顕微授精のことをさします。
不妊治療といってもさまざまな治療方法がありますが費用は高額で、タイミング療法などなら1回につき5,000~10,000円程度ですが、体外受精なら30万~50万円、顕微授精になると35万~70万円ほど費用がかかります。
そのため厚生労働省は、不妊治療をしている家庭の医療費負担の軽減のために助成金制度を設け、国だけではなく各市町村など自治体が独自に制定している助成金もあります。
各市町村への助成金制度申請は、支払い済みの治療費から国からの助成金額を引いて申請することになりますので、国からの助成金の結果通知が来てから行ってください。
助成は無制限に得られるわけではありません。
東京都特定不妊治療費助成の概要は、妻の年齢ごとに助成回数が定められています。
平成28年4月1日から適応の内容は下記の通りです。
・妻の年齢が39歳までに1回目の助成を受けている…6回まで
・妻の年齢が40~42歳までに1回目の助成を受けている…3回まで
・妻の年齢が43歳以上で治療を開始している場合は、すべて助成対象外
不妊治療の助成金を受けるには、自ら申請をする必要があります。
申請期限は、特定不妊治療が終了した日の属する年度末まで。
申請期限を過ぎると申請できないので注意が必要です。
申請に必要な書類の様式は、東京都福祉保健局のホームページより様式第1~3号がダウンロードできます。
申請期限を過ぎると申請できないことを念頭において、期限ギリギリにならないように書類の準備を進めましょう。
男性不妊治療の女性もあります。
内容は、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取(MESA)、経皮的上体内精子吸引採取法(PESA)、精巣内精子吸引採取法(TESA)の費用の一部を助成金として得ることができるというものです。
特定不妊治療費が助成対象となっていることが必然です。
男性不妊治療単独で申請することはできません。
また、指定医療機関の主治医のもとにおいて治療を受けていることが前提となります。
東京都に「東京都特定不妊治療費助成」を申請できる人は、東京都内(八王子市以外)に住所がなければなりません。
夫婦のどちらかが都外に住んでいる場合には、夫婦で所得額が多いほうが都内に住んでいれば申請が可能です。
平成27年4月より、八王子市に在住の人は申請先が八王子市になりました。
都へは申請できないので注意が必要です。
不妊治療を開始したときに、法律上婚姻関係を結んだ夫婦であることが助成を受ける前提条件です。
事実婚は対象となりません。
事実婚の夫婦の体外受精が指針で認められてきていることから、今後変わっていく可能性もありますが、現時点では、不妊治療を開始したときに法律上の婚姻関係を結んでいなければ、申請するときに婚姻関係を結んでいたとしても申請対象外となります。
タイミング法などで妊娠の可能性がある場合には、なかなか体外受精や顕微授精にステップアップすることはありません。
医師の診察により、特定不妊治療以外の治療方法では、妊娠することが難しいと判断された場合にのみ、助成金の申請を出すことができます。
夫婦合算で、申請日の前年の所得額(1~5月までの申請日については前々年)が730万円未満の場合のみ助成金の申請が可能です。
よく勘違いしてしまうのが、この730万円を年収だと考えてしまうケースです。
年収と所得は違います。
所得というのは、会社員の必要経費といわれる給与所得控除額を給与から引いた額です。
「東京都特定不妊治療費助成」は、治療ステージにより助成金額が変わります。
治療ステージはA~Hまで分かれていて、そのステージ区分は国が定めた「不妊に悩む方への特定治療支援事業」と同じです。
しかし、金額が手厚い部分があるのが「東京都特定不妊治療費助成」の特徴。
特徴的なのが治療ステージAとBです。
治療ステージAは新鮮胚移植を実施した場合ですが、国では15万円のところ、東京都では20万円です。
同じく治療ステージBは凍結胚移植を実施した場合ですが、こちらも国では15万円のところ、東京都では20万円になります。
助成金を申請するためには、必要な書類をそろえなければなりません。
必要な書類は、
・特定不妊治療費助成申請書(第1号様式)
・特定不妊治療費助成事業受診等証明書(第2号様式)
・住民票
・戸籍謄本
・夫婦それぞれの申請日の前年(1~5月までの申請日については前々年)の所得を証明する書類
・指定医療機関発行の領収書のコピー
・精巣内精子生検採取法等受診等証明書(第3号様式)と、それに係る医療機関発行の領収書のコピー
となります。
第1号~第3号様式の申請書はダウンロードできます。
また、提出した書類は返却されないので必要があればコピーを取っておきましょう。
申請方法は、郵送です。
申請日は消印日になりますので、助成申請は申請期限を過ぎると申請できませんので、余裕をもって送るようにしましょう。
配達記録が残るような、簡易書留や特定記録湯便をおすすめします。
郵送先は、東京都の福祉保健局少子社会対策部家庭支援課助成担当宛てです。
助成金を受けられるのかどうかの結果は、申請書類を郵送してから約2カ月後に届きます。
2月~5月は申請が多いために、通常より審査に時間がかかることがあります。
この時期には約3カ月くらい結果連絡までに時間がかかると思ってもよいでしょう。
審査の上、助成金を受けられることになった場合、結果通知の約1カ月後に指定の口座へ助成金が振り込まれます。
確認し、不備がある場合には問い合わせをしましょう。
都の助成金以外でも、区や各市区町村で同時の助成金制度を設けているところがあります。
同じ都内でも手厚い助成金制度のある地域もあれば、助成金の出ない区も。
これから都内への引っ越しを考えているのならば、情報を得てから引っ越し先を考えてもよいかもしれません。
特に港区は、助成金の限度額が30万円で、申請回数も制限がありません。
それら市区町村の助成金制度は、基本的に都の助成を受けている人が対象となります。
治療費から都へ助成を申請した金額を引いた金額が助成の対象です。
一度ご自身のお住まいの自治体に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
不妊治療は確かにお金がかかります。
しかし国や自治体はその高額な費用の一部を負担してくれるような、助成制度を設けているのです。
自分のケースが助成対象に当てはまるのかをしっかり確認し、上手く助成金制度を活用してください。