2018.04.22

不妊治療で保険が適用される範囲は?検査や治療にかかる費用とは?

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不妊治療は、高額な費用を請求されるイメージがありますが、保険が適用される治療法もあります。

保険適用範囲内の検査や治療法では、高額な費用は請求されることがありません。

不妊治療を始める前に、保険の適用範囲を理解し、費用を準備しておきましょう。

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不妊治療にも保険が適用される

不妊治療のためのさまざまな検査や治療法。

高額な費用が必要とされるイメージの強い不妊治療ですが、保険が適用される治療法や検査も存在しています。

不妊治療で保険が適用される検査や治療法が何かを理解し、治療計画を立てていきましょう。

保険適用となる不妊治療

医師からの指導

保険適用の範囲となる不妊治療には、医師が排卵日を予測し、タイミング指導を行なうための問診や基礎検査が該当し、問診での診察費用は1,000円から3,000円ほど。

基礎検査では、子宮や卵巣にトラブルがないか、卵胞の大きさを超音波で検査し、検査費用は問診と同じくくらいの費用で1,000円から3,000円ほどになります。

また、保険適用となる検査は他にもあり、血中ホルモン値測定検査を行う場合、排卵前と後、生理中と三度の検査が必要で、一度の採血にかかる費用は1,000円から3,000円ほど。

精液の数を検査するフーナーテストは、1,000円から2,000円。

卵管閉塞の原因となるクラミジア検査は1,000円ほどですが、保険適用外の病院もあるため確認が必要です。

子宮筋腫の疑いがあるときに行われる子宮鏡検査は4,000円ほどになります。

人工受精の診察や検査

人工授精治療を行なうための診察や検査も保険適用となります。

1回の診察費用は2,000円から3,000円ほどで、排卵誘発剤という薬の注射を行います。

排卵誘発剤の注射は、タイミング治療でも使われ、費用は1カ月3,000円ほど。

注射での投与に不安のある人は、漢方を使うこともあり、費用は1,000円からとなります。

漢方の処方は、病院によっては保険適用範囲外となることもあるので、確認が必要です。

保険適用外の検査

抗体を調べる坑精子抗体検査

保険適用外となる検査には、坑精子抗体検査があります。

坑精子抗体検査とは、女性の体内に精子が入ることで、精子から体を守ろうと抗体が作られてしまっていないかを調べる検査。

坑精子抗体ができてしまうと、精子の表面に結合し、精子の運動機能を止めてしまうため、妊娠の可能性が低くなってしまいます。

坑精子抗体検査にかかる費用は5,000円から1万円ほどです。

入院が必要な腹腔鏡検査

一泊もしくは二泊の入院を必要とする腹腔鏡検査では、腹部を少しだけ切開し、子宮や卵巣の状態を確認、もしくは手術を行なう内視鏡検査。

入院を必要とするため、費用も10万円前後と高額になります。

腹腔鏡検査を行なうことで、不妊の原因となっていた子宮や卵巣の状態を細かく見ることができるため、妊娠の可能性を高めることができる検査になります。

保険適用外の不妊治療

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人工受精

人工授精のための診察や検査は、保険適用の範囲内となりますが、事前に採取しておいた精子を子宮の奥深くに注入する人工授精は、保険適用外となります。

医師によるタイミング指導や排卵誘発剤を注射して行なう人工授精で妊娠が難しかった場合に、ステップアップして行なう治療法。

1回の治療にかかる費用は1万円から3万円ほどになります。

体外受精

人工授精での妊娠が難しかった場合のステップアップや、体外受精での妊娠が望ましいと判断された場合に行われる不妊治療法、体外受精。

女性から取り出した卵子と男性から取り出した精子を受精させた受精卵を女性の体内に戻し、着床を促す治療法です。

保険適用外となるため、費用は20万円から80万円ほどかかります。

顕微受精

自力で精子が卵子に侵入し、受精卵となる体外受精とは違い、取り出した卵子に、とても細い針を用いて人為的に精子を注入する治療法が顕微授精です。

体外受精では、精子が自力で卵子へと侵入しなくてはいけないため、受精卵ができなかったということもありますが、顕微授精では、高い確率で受精卵ができるため、体外受精に比べ、妊娠の確率がアップ。

体外受精に比べ、受精卵が出来る確率が高い顕微授精の費用は、1回25万円から90万円ほどになります。

保険適用での懸念点

技術力の低下

不妊治療で行われる人工授精や体外受精、顕微授精は、保険適用外のため、高額な費用が必要となります。

不妊治療を行なう多くの人は、不妊治療の保険適用を望んでいますが、そこで懸念されることは、技術力の低下。

保険適用となり、不妊治療を手軽に行なうことができる環境になってしまうと、医師不足の問題も発生してくる可能性もでてくるのです。

治療が当たり前の状況

不妊治療が保険適用になってしまうことで、不妊治療が当たり前の状況になる懸念があります。

病院に行けば妊娠できるものという誤解を招く可能性があるため、本人が妊娠を望んでいなくても、周囲から病院に行くように勧められるなど、妊娠へのプレッシャーが高まってしまう可能性も。

不妊治療が、当たり前の状況にならないことは、母体となる女性や周囲の誤解を生まないためにも大切なことなのです。

不妊でない人の通院

不妊治療が保険適用となり、自然妊娠できる人まで不妊外来を受診してしまう懸念があります。

不妊治療が保険適用されることで、不妊の定義が曖昧になり、自然妊娠できる体でありながら不妊と勘違い、もしくは、すぐに妊娠したいという身勝手な思いから通院してしまう人がでてくることも予測されます。

自然妊娠が難しい人が行なうはずの不妊治療が、保険適用となることで乱用されてしまうことも考えられるのです。

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保険のカバー範囲を頭に入れて準備を!

不妊治療の検査や治療法はさまざまあります。

保険適用範囲は、治療をステップアップしていくにつれ、外れていきますが、医師の指導によるタイミング治療や人工授精の診察、検査などは、保険が適用されます。

妊娠をするために必要な排卵の状態を知るための血中ホルモン値測定検査や精液の数を検査するフーナーテストも保険適用。

不妊の疑いを感じ始めたら、保険のカバー範囲を理解して、適切な治療と費用の準備をしましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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