子どもを望んでいてもなかなか授からない場合に受ける不妊治療。
子どもが欲しい夫婦にとって希望の光ともいえます。
ですが、その不妊治療も高度になればなるほど治療費も高額になりがち。
そんな時には金銭的な負担を減らすために、不妊治療助成金制度と医療費控除を利用することができます。
不妊治療は病院に頻繁に通わなくてはならなかったり、治療によっては痛みを伴うのでただでさえ精神的にも体力的にも辛いものです。
そこに金銭的なストレスが重なると更に不安や疲労の原因に。
子どもを望む夫婦が安心して生活を送りながら希望する治療を受ける為の方法の一つとして不妊治療助成金制度がありますが、受給するための条件や回数などは、どのようになっているのでしょうか?
厚生労働省の決まりにより対象であるのは、特定不妊治療でなければ妊娠することが不可能か、または極めて難しいという医師の診断を受けた、法律上で婚姻した夫婦のみ適用となります。
事実婚であったり、結婚を予定しているけれどまだ籍を入れていない場合は対象とはなりませんので注意が必要です。
平成28年度からの新制度として、妻の対象年齢は43歳未満であることが条件として加わりました。
その為、不妊治療を43歳以上で開始した場合は対象外となってしまいます。
これには、40歳を超えると妊娠率が低下し、流産率があがってしまうことから早期治療を呼びかけるという意味も含まれています。
通算助成期間は限度なしとなっています。
現在の所、男性側の年齢制限に上限はありません。
不妊治療といっても治療のレベルが広範囲にわたります。
初期の治療だと医師がエコーで排卵期を判断するタイミング療法や、排卵誘発剤の投与などがありますが、不妊治療助成金制度の対象となるのは特定不妊治療である体外受精および顕微授精のみとなります。
その為、現在は特定不妊治療以外の治療では国の助成金は支給されません。
不妊治療にかかった費用は確定申告の医療費控除対象となります。
申請すると不妊治療に要した費用の一部が返ってきますし、住民税の減税にも。
医療費控除とは、自身や生活を共にする夫や家族が支払った医療費に対して、所得控除を受けることができる制度です。
医療費として支払った金額が総額10万円以上であれば申請可能、過去5年に遡って申請することもできます。
家族が共働きの場合は所得の高い方が申請を行うようにしましょう。
治療が年度をまたぐ場合は治療終了年度での申請となります。
申請ができるのは処置などを含む治療費の他、検査治療薬代、鍼治療マッサージ代、交通費等も含みます。
ただし、自家用車で通院の場合のガソリン代や駐車場代、排卵日検査薬、妊娠検査薬は含みませんので注意が必要です。
治療の際の領収書はもちろん薬局で薬を処方してもらった際の領収書や、針治療などの領収書もなくさずに保管し、病院までの交通費も調べて控えておきましょう。
各自治体により厚生労働省とは別に助成を受けられる場合があります。
例えば不妊治療で総額50万円かかり、国からの助成金15万円を引いた35万円が支払額となった場合、国からの助成金の結果がでたあとで、35万円として各自治体に申請します。
自治体から例として10万円支給される場合は35万円からさらに15万円を引いた額が実際に自身で負担する金額となります。
所得額上限などの条件も異なりますので在住の各市区町村のホームページを確認したり、問い合わせるなどし制度が設けられていないか確認しましょう。
自治体によっては国の助成限度額以上の金額をもらえることも。
厚生労働省で定められている助成金は特定不妊治療を受けた場合のみ対象ですが、自治体によっては初期の不妊治療や人工授精でも助成金がもらえたり、国による助成金に上乗せするという制度を設けています。
各自治体で助成額が異なる中、国の15万円という支給額に対し東京都は最大20万円まで補助するという制度を設けています。また、東京都の中でも港区は所得制限を設けていないようです。
神奈川県の中でも藤沢市は国の助成金に上乗せし助成金を受けられます。夫婦の所得が730万円以上であっても1度の治療で10万円の助成金が3回まで支給され、730万円以下の場合は国の助成金に加え10万円支給されます。
埼玉県の場合は検査も助成対象になります。埼玉県在住で有り、妻の年齢が43歳未満であれば不妊治療前に行う検査費が2万円まで支給されます。
平成28年度からの新制度として、助成金は何回でも制限無くもらえるわけではなく、回数の制限が決まっています。
40歳未満通算6回、43歳未満通算3回となっています。
その為、40歳に近づき助成金を利用したい場合は早めに計画をした方が安心して利用できますね。
また、年齢以外では夫婦合算で730万円という所得制限も設けられています。
助成金額には上限が決まっており、原則1回に付き15万円までが助成限度とされています。
ただし、需要の多い初回の女性に限り30万円まで支給されます。
また、体外受精に向け採卵を行なったけれど採卵ができなかったなどの理由により中止された場合も7.5万円が支給されます。
特定不妊治療には最低でも20万円かかるといわれているのでかなり負担を減らすことができますね。
妊娠するにあたりストレスは何よりの大敵です。
金銭的ストレスから夫婦喧嘩を起こしてしまったり、金銭面で追い詰められ仕事を忙しくし、疲労が溜まってしまうなどすると、さらに妊娠という本来の目標から遠ざかってしまうことも。
妊娠はあくまでもゴールではありません。
無事に授かった後も出産はもちろん、出産後もお金がかかるので、できる限り金銭ストレスフリーな妊活になるよう、助成金と医療費控除制度を利用しましょう。