ある日突然、蚊に刺されたような皮疹がポツポツと…。
かゆくて我慢できないその症状は、もしかしたら着床・妊娠にともなう蕁麻疹によるものかもしれません。
この記事では、妊娠初期に生じる蕁麻疹の原因・特徴・対処法についてお伝えします。
赤ちゃんを授かったことに気がつきやすい妊娠初期は、喜びでいっぱいの時期ですね。
その一方で、体に急激な変化が起きるため、さまざまな不調に悩まされることが多いのもこの時期です。
そんな妊娠初期に現れやすい症状である「蕁麻疹」。
今まで蕁麻疹を経験したことがない人でも、突然発症する可能性があるといわれています。
そんな妊娠初期の蕁麻疹は、いったいどうして起こるのでしょうか。
女性ホルモンのうち、エストロゲンは子宮内膜を厚くしたり胸や子宮の発育といった女性らしい体づくりに関わり、プロゲステロンは妊娠を助ける働きをします。
妊娠すると、これらのホルモンバランスが変わることに加え、新たにhhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌されるようになります。
こうした変化は、自律神経の乱れや免疫機能の低下などを通して体質の変化をもたらし、今までになかったアレルギーを発症することも。
その結果、蕁麻疹につながることがあると考えられるのです。
女性らしい体や機能を育てる他に、肌や粘膜の潤いを保つ働きをもっており、肌状態にも影響を与えるエストロゲン。
妊娠すると、安定期(妊娠16~20週ごろ)まではプロゲステロンが盛んに分泌される状態が続き、相対的にエストロゲンの作用が低下します。
エストロゲンの作用が減少すると、肌の油分・水分が不足して乾燥状態に傾き、肌のバリア機能が弱くなってしまいます。
すると刺激となる物質が侵入しやすくなったり摩擦や圧迫に敏感になってしまい、結果として蕁麻疹を発症しやすくなるのです。
妊娠初期は、ホルモンバランスの崩れから気分が不安定になる、熱っぽさが続く、つわりが始まるなど、情緒面・身体面の両方からストレスを感じることが多くなります。
ストレスや疲れが溜まると、体にとって蕁麻疹を引き起こすのに必要な刺激レベルが下がり、より少ない刺激によっても蕁麻疹が引き起こされてしまう場合も。
蕁麻疹の原因と考えられるものを取り除くと同時に、ストレスや疲れを溜めないようにすることも大事です。
プロゲステロンは着床に備えて子宮内の環境を整える働きがありますが、同時に基礎体温を高く保つ作用もあります。
通常の生理周期では、排卵後から月経前まではプロゲステロン分泌が盛んになるものの、月経が起こるとその分泌は落ち着く傾向に。
しかし、着床して妊娠が成立するとプロゲステロン分泌の増加が続くため、妊娠初期は基礎体温が高い状態が持続します。
赤みを帯びた虫刺されのような皮疹が突然現れますが、数十分から数時間程度、長くても1日以内に跡を残さずに消えてしまうのが蕁麻疹の特徴です。
しかし中には、いったん消えては新しい蕁麻疹が現れて…を繰り返し、症状がずっと消えずに続いているように見えるパターンも。
よく観察することが必要です。
蕁麻疹は、特定の食べ物や環境(気温、ハウスダスト等)・素材など、原因がはっきりしている場合はそれを避けることで発症を予防できます。
しかし、妊娠がもととなって発症する蕁麻疹は、原因そのものを完全に取り除くことが難しいもの。
常に刺激に敏感な状態になっているため、入浴時に体温が上がる、温熱刺激、運動して血行が良くなる、汗による刺激など、ちょっとしたきっかけで再発をくり返してしまう可能性があります。
蕁麻疹になると、赤みを帯びた膨らみが突然発生し、その部分は強いかゆみをともないます。
皮疹の大きさは数ミリ程度のものからそれらが繋がって大きな皮疹のように見えてしまうものなど、さまざまです。
こういった症状の原因となるのがヒスタミンという物質。
蕁麻疹の引き金となる刺激をうけると、体内の肥満細胞からヒスタミンが放出され、血漿が血管から血管外へ移動することで皮膚に膨らみが生じます。
また、ヒスタミンが知覚神経に作用するとかゆみや痛みとして認識されるように。
そのうえ、かゆみを知覚した末端神経からは神経ペプチドが放出され、さらにヒスタミン放出を促進し、皮疹が広範囲に広がっていきます。
かゆみのケアとしては、患部を冷やすことが有効です。
氷を直接当てると強く冷えすぎてしまうので、冷やしたタオルで優しく冷やしてください。
※ただし、冷たさが刺激となって引き起こされる蕁麻疹の場合は例外です。
冷たい刺激を与えないようにしましょう。
蕁麻疹が出ているときは、体を温めるとかゆみを悪化させてしまうため、運動や入浴は避けた方がよいでしょう。
肌が荒れていたり乾燥していると、刺激に敏感になったり、刺激になる物質が侵入しやすくなります。
このような場合は保湿剤を使用して肌に潤いを与えることで、バリア機能を補ってあげましょう。
バリア機能を整えて刺激物の侵入を防げば、広がり続ける蕁麻疹の連鎖を止めるきっかけになります。
運動や家事などで体を動かしていると、血行が良くなることで、ヒスタミンの作用が促進してしまいます。
なかには運動そのものがきっかけとなってヒスタミンが放出されるというケースも。
いずれの場合も、蕁麻疹が出ているあいだは安静に過ごすことが大切です。
蕁麻疹は、お腹の赤ちゃんに直接影響を及ぼすことはないといわれています。
しかし、かゆみがつらいからといって自己判断で薬を服用するのは危険。
一方で、かゆみをずっと我慢することでストレスを溜めてしまうのもよくありません。
「もしかして妊娠しているかも…。」と思い当たるところがあるときは、必ずお医者さんに相談してみてくださいね。