不妊の原因は男性にもありますが、その男性特有の原因について知らないことも多いというのが原状です。
男性に不妊の原因があるとなった場合、どういった原因が考えられるのか、そしてその原因を見つけるためにはどうしていったらいいのか掘り下げていきます。
女性側に不妊の原因があるかもしれないと考えられがちなのですが、その不妊の原因がもしかしたらパートナーである男性にあることも。
女性からすれば男性の体の機能などを詳しく知らなかったり、たとえ何か不調があってもなかなか病院を受診できない・しない男性が多くいるというのもあり、認知度が低くなっていて気が付いていないということもあります。
もし不妊の原因が男性側だとすると、どういった理由が考えられるのか、またあるのであれば治療法や解決方法につながるものを詳しく知ることで、パートナーと一緒に不妊に向き合っていけるのではないでしょうか。
そもそも妊娠するためには、女性の卵子と男性の精子が結びつかなければ始まりません。
そう考えると女性、男性問わず原因があるのではないでしょうか。
まずはどのくらいの割合なのかデータを見ていきましょう。
不妊の原因について世界保健機関(WHO)が1996年に行った不妊原因調査では、7273組の不妊症のカップルを調べると女性が41%、男性が24%、どちらにもある場合が24%、原因不明が11%という結果が出ています。
これを見てもわかるように男性と女性で原因の割合が約半分ずつなのです。
また日本の国立社会保障人口問題研究所の調査によれば、6組に1組のカップルが不妊治療をしていますので12人に1人ほどの割合で男性が不妊症ということになります。
日本はどうしても原因が妊娠する体でもある女性にあると考えがちですが、結びつかなくてはいけない精子を持っている男性側にも不妊の原因があるのです。
ですから、不妊に悩んだ際によく女性側のみが病院を受診していますが、本来ならパートナーと2人で受診して一緒に相談できるのが望ましいといえます。
先ほどのデータからもわかるように原因不明がなんと1割もいます。
こればかりはどうにも究明できませんが、もしかするとタイミングが合わなかったり、関係を持ったときにたまたま精子の運動量や精子量が少なかったり、女性の基礎体温から導き出した排卵日などにずれがあったりなどさまざま考えられます。
またお互いの年齢によっては卵子・精子の老化も出てきたり、質もだんだん悪くなってしまいますので、その点からも高齢での出産や妊娠はリスクをともなっているのです。
男性が不妊の原因として抱えている問題とはどんなものがあるのでしょうか。
解決に向けてできることを原因から導き出していけるものがいくつかあります。
生活習慣の乱れから、男性の精巣機能に何らかのダメージや低下が出てくるものがあります。
たばこの喫煙や受動喫煙によって精子の数を減少させてしまったり精子の奇形率が上がったり、精子の運動量が低下してしまうのです。
また、妊娠したとしても流産の可能性も高まることと同時に、先天性奇形などの原因ともなります。
さらに、過度な飲酒によって体内からアルコールが抜けないままだと精子が正常に形成されず、奇形なものや不妊の牽引になるのです。
肥満については、BMIの値が高いほど正常な精子数や量が少ないという実験結果が出ていますので、これらが原因の場合はストレスをかけない程度に少しずつ健康的な体を目指していくことで改善されていきます。
年齢的に考えると35歳から男性は精子が老化し始め、妊娠力が低下していきます。
例えば女性が35歳だとして男性が5歳年上の40歳となると、男性が同い年の35歳の場合と比べて妊娠率が40%低下しているという調査結果が出ているのです。
これはもっとも妊娠率が高いとされている排卵日4日~1日前での数値になります。
このことからもわかるように男性にも原因が少しでも考えられるのであれば、なるべく早いうちに病院で検査を受けて精子の質と量を診てもらうとよいでしょう。
先ほどの年齢のこともありましたが、男性が不妊の原因の場合はできる限り早いに越したことはありません。
早期発見によって不妊が解決することがあるのです。
男性不妊の原因の約8~9割は、精子や精液に何かしらの原因があります。
男性不妊と聞くと勃起障害(ED)や射精障害が原因と考える人が多いのですが、実はそれよりも精子や精液に問題があるのです。
このことを「造精機能障害」と呼ぶのですが、造精機能障害が原因の人が約8~9割いるといわれています。
ですので早めに精液検査をしてもらうことで精液の量・濃度・運動量・奇形率などから正常な精液かどうか判断されますので、満たしていない部分を補うことが治療になっていきます。
この治療の際に、もし年齢をもっと重ねていればそれだけ効果が薄くなってしまうということです。
精子を守るために成人男性が気をつけたい病気が3つあります。
まず性病の中でも気をつけたいのがクラミジアです。
クラミジアは精巣上体炎になりやすく精巣上体炎になってしまうと、精子の通り道となっている精管がふさがってしまい、無精子症になってしまう可能性があります。
他にはおたふく風邪があります。
おたふく風邪に成人男性がかかってしまうと精巣炎を起こしてしまい、一定の確率で不妊症になってしまう危険性が。
また生活習慣病でもある糖尿病も気を付けたい病気です。
糖尿病自体が精子の濃度・運動・精液量、これらの状態を悪くするとともに勃起不全や射精障害の原因ともなります。
こういった病気にならないためにも日ごろから予防するとともに、体に何か異変があれば早急に病院での検査をし、悪化してしまわぬように注意したいものです。
男性目線で考えると病院にかかることにかなり抵抗を感じる人も多く、なかなか一歩を踏み出せないという人もいます。
また、日本生殖医学会に登録している男性不妊を専門としている泌尿器科医は50名未満で非常に少ないということもあります。
夫婦で同じ病院で検査するということがもしかしたら難しい場合もありますが、パートナーと同じタイミングで、まずは検査を受けてみることからはじめていきましょう。