2018.07.04

排卵誘発剤で妊娠確率は上がるの?効き目や関係性について詳しく解説

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排卵誘発剤を使ったら妊娠する確率が上がるの?副作用の心配は?処方されたけれど本当に大丈夫?知らないと不安になってしまうことも、きちんと理解すれば自分なりに考えられるようになります。これからの妊活のためにも、しっかり確認しておきましょう。

排卵誘発剤を使うと妊娠しやすいって本当?

排卵誘発剤は、卵子を育てて排卵しやすくしてくれるので、使用することで妊娠の確率が上がるといわれています。妊娠を希望しているのになかなかできない場合、本当に確率は上がるのかどうか、真実を知りたいと思うのではないでしょうか。また、副作用があるのではと心配に感じる人もいるのでは?

そこで、今回は排卵誘発剤の種類や効き目から、副作用についても理解することで、安心して妊活できるように考えていきましょう。

排卵誘発剤の種類とおもな働き

排卵誘発剤には、主に卵子を育てるものと、排卵を促すものの2種類あります。形状は内服薬、注射、点鼻薬などが存在します。どんなときに、どの排卵誘発剤が使われることが多いのか、まとめてみました。

排卵障害や人工授精には飲み薬の排卵誘発剤

まず、比較的軽い排卵障害がある場合や、人工授精を行う場合に使われることが多い排卵誘発剤は、飲み薬タイプです。効果が穏やかで、比較的副作用が少ないことが特徴です。

飲み薬タイプの排卵誘発剤にもさまざまな種類が存在し、排卵障害がおこる原因によって、処方される薬は変わります。ここでは、代表的な薬の一つである「クロミフェン」と「シクロフェニル」についてみていきましょう。

クロミフェンやシクロフェニルを使用

クロミフェンやシクロフェニルを使った場合、どのようなことがおこるのでしょうか。エストロゲンは、妊娠に不可欠である女性ホルモンのひとつです。クロミフェンやシクロフェニルは、エストロゲン受容体と結合し、エストロゲンが少ない状態だと脳に勘違いさせます。

エストロゲンが少ないという勘違いをした脳は、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)を分泌します。それが下垂体に働きかけることで、黄体化ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促し、間接的に卵巣に刺激を与えます。

排卵障害では卵子を育て卵胞を増やす

卵胞刺激ホルモン(FSH)は卵子を育て、黄体化ホルモン(LH)は排卵を促してくれます。このニつのホルモンの働きで排卵が起こるのですが、排卵障害がある場合、FSHかLHどちらかのホルモンの働きが弱い場合が考えられます。

そこで、飲み薬を内服することで、これらの働きを間接的に助け、卵子の発育促進と成熟卵胞を増やし、排卵が起こりやすい状態にします。

人工授精やタイミング法で排卵率をあげる

人工授精をする場合やタイミング法を行う場合は、自然であれ誘発であれ、排卵できることが必要となります。飲み薬を内服することで、より成熟した状態の質のよい卵子を育てます。また、排卵率を上げることが期待できるときは、内服薬を処方されることもあります。

ただ、クロミフェンやシクロフェニルの副作用として、子宮頚管や子宮内膜にもエストロゲンが作用しにくくなるため、子宮頚管粘液が少なくなったり、子宮内膜が薄くなったりする場合があります。頭痛や吐き気、倦怠感や、口の渇きを感じる人もいますが、比較的副作用がおこりにくいともいわれています。

飲み薬での排卵誘発は、診察で状況を把握しながら進めることが必要不可欠です。そのときの卵胞の状態によって、飲み方や飲む量、タイミングが変わってくるため、医師の指示を守り、飲み忘れたりしないようにしましょう。

体外受精では注射の排卵誘発剤

ステップアップして体外受精を行う場合は、注射による排卵誘発が多いようです。飲み薬に比べるときき目が強く、刺激も強力なため、より確実により多く排卵へと導いてくれます。

ゴナドトロピン製剤(いわゆるFSHやhMG)

視床下部から分泌される、性腺刺激ホルモンそのものである「ゴナドトロピン製剤」を、注射で体内に取り入れる方法です。閉経を迎えた女性の尿から精製したFSHとLHを含んだhMG製剤と、そこからLHを除去したFSH製剤があり、排卵障害の症状やタイミングにあわせて処方されます。

体外受精で採取できる卵子の数を増やす

注射を適切にすることで、成熟した卵子を増やせます。成熟した卵子が多いほど、必然的に採卵できる卵子が多くなります。受精卵になる可能性のある卵子を多く採取できたほうが、体外受精における妊娠の確率も上がるため、非常に重要な要素です。

飲み薬よりも注射のほうが効果は高い

ゴナドトロピン製剤は卵巣に直接働きかけるため、間接的に働きかける内服薬よりも、効果が高いといえます。ただ、その分、副作用も内服薬に比べると多く報告されています。

注射での排卵誘発は、卵胞を過剰に刺激することで卵巣が膨れたり、腹水や胸水がたまり、痛みや吐き気を感じる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を引き起こす場合もあります。早期発見が大切な副作用なので、こまめに診察してもらい、心配な場合は早めに医師に相談するようにしましょう。

注射は病院に通って行う方法と、自宅で自己注射する方法のどちらかを選べます。病院まで遠かったり、仕事の都合で毎日通うことが厳しい人には、自己注射が便利です。やり方や注射液の保管の仕方などは、医師の指示に従ってください。

排卵誘発剤と妊娠の関係

本当に排卵誘発剤を使うと、妊娠しやすくなるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

排卵誘発剤は妊娠確率を上げる

クロミフェンなどの飲み薬の妊娠率は、20~30%といわれています。これは、自然妊娠での確率とほぼ同じです。そして、ゴナドトロピン製剤などの注射では、妊娠率は30~40%となり、妊娠確率が自然妊娠より高くなります。

排卵誘発剤を使うことで成熟した卵子が増え、排卵する卵子が多くなった場合、その分、受精や着床する確率が高くなるといえます。

排卵障害などがなければあまり意味がない

クロミフェンなどに限っては、自然妊娠と確率はほぼ同じです。成熟卵子を増やしてくれる排卵誘発剤ですが、卵子ごとの妊娠確率をあげるものではありません。

そのため、もともと排卵が正常に起こっている人にとっては、あまり意味がない場合もあります。

排卵誘発剤の使用は多胎のリスクも上げる

排卵する卵子が複数の場合、2個以上の受精卵が着床する可能性があります。自然妊娠の場合、双子の確率は1%ですが、クロミフェンなどの飲み薬では4~5%、ゴナドトロピン製剤では15~20%まで上がるとされています。

多胎には妊娠高血圧症など、さまざまなリスクがあることも考えておく必要があります。

むやみな使用は不妊の原因にもなりかねない

排卵誘発剤の副作用として、頸管粘液の減少があります。これにより、精子がうまく運ばれなくなってしまうこともあります。また、子宮内膜が薄くなる場合もあり、着床しにくくなることも考えられます。

さらに、通常の妊娠よりも、流産率が少し上がってしまうという報告もありました。よって、妊娠の確率を上げるために使用するのではなく、リスクも考慮したうえで使用するかどうかを考えるとよいでしょう。

本当に必要なときに必要量を使用して最も高い効果を得よう

排卵誘発剤は、妊活にとても有効だといえます。しかし、副作用やリスクがあることも事実です。むやみに頼るのではなく、本当に必要なときに必要な量を使用することで、最も高い効果を得られます。

また、妊活にはメンタルの部分も非常に重要です。もしも不安があるなら、信頼できる医師にしっかりと聞き、パートナーとも相談して、前向きな妊活ができる環境を整えるようにしましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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