2018.07.04

子宮筋腫の手術のリスクは何がある?納得のいく治療を受けよう

ARTICLE

子宮筋腫は、成人女性の4人に1人が持っているといわれてます。子宮筋腫と診断された場合、病院で提示される治療法のほかに、もしかしたら別の選択肢があるかもしれません。保険と自費それぞれの治療方法と手術法、伴うリスクについてあげてみました。

子宮筋腫はこんなにも身近な病気

子宮筋腫とは、子宮の筋肉の中にできる良性の腫瘍です。生命をおびやかすことはほぼないといわれていますが、20代から30代の女性の5人に1人、40代では4人に1人が持っているといわれています。

忙しい日々を送る中で、気になる症状があるのに、つい放置してしまっているという人も多いかもしれませんね。しかし、妊娠に影響が出たり子宮を取ったりしなくてはならないため、妊活を意識しはじめたら、いろいろな不安が生じてくるのではないでしょうか。

この記事では、子宮筋腫が体に与える影響や、治療法、手術を受けることのリスクなどについて、取り上げていきます。まずは、しっかりと理解して、ベストな対策を取りましょう。

子宮筋腫の症状と体へのリスク

子宮筋腫は自覚症状がないまま、人間ドックや婦人科の検診などで発覚する場合が多くみられます。月経不順で産婦人科で受診して発覚することも多いですが、症状は月経時の出血量が多い過多出血・月経痛・月経期間が長い、月経時以外の不正出血・月経痛以外の痛み・頻尿、貧血などがあげられます。

自覚症状が現れにくいので、発見時には大きくなってしまっていることも少なくありません。筋腫のサイズやできた場所、数によっては、子宮の形が変わってしまい妊娠しづらくなったり、妊娠中のトラブルをおこしたりします。

子宮筋腫の診察・検査の内容

筋腫の大きさや位置など、外側からではわからない部分を内診で確認します。小さいものや内側にあるものなど、触れられないため確認できない筋腫もあるので、経腟超音波検査もあわせて行うことが主となっています。超音波を用いて検査をする方法で、映像で卵巣や子宮の様子を確認できるので、正確な情報を得られます。

子宮筋腫と診断された場合、その後に貧血検査・超音波エコー検査・MRI検査などでより詳しい情報を得て、その後の治療が決定されます。

子宮筋腫の治療法

薬物治療と手術治療に分けられる

すべての筋腫に治療が必要なわけではありません。サイズや位置、自覚症状などで経過観察になるか、治療をするかが決まります。治療になった場合、本人の希望やライフプラン、筋腫の状態などが総合的に判断され薬物療法か手術療法かが決まります。

子宮筋腫の薬物療法の利点とリスク

薬物療法は、対処療法とホルモン療法の二つあります。筋腫のサイズがそれほど大きくなく、症状も強くない場合には、対処療法で様子をみます。貧血には鉄剤、月経痛には鎮痛剤など、症状に合わせて薬が処方されます。

ホルモン療法は、子宮筋腫を成長させる女性ホルモンの分泌を薬によって低下させ、人工的に閉経後の状態にする治療法です。閉経状態にすることで、筋腫が小さくなり症状が改善されます。女性ホルモンを減少させるため、更年期障害に似た症状があらわれます。ほかにも骨量減少や血栓症、肝臓の機能に影響を及ぼす、体調不良をおこすなどがあります。

ホルモン療法に使われるGnRHアナログは、最長6カ月しか使用できません。休薬期間中は通常の状態に戻るため、筋腫も元の大きさに戻ります。閉経が近い場合に使うことが多く、次いで手術するにあたって筋腫を小さくする場合、手術まで期間があく場合に行われます。

子宮筋腫の手術療法の利点とリスク

まず、本当に手術が必要なのかを見極め、納得して手術を受けることが大切です。手術方法はさまざまですが、子宮を摘出するのか温存するかで変わります。筋腫の大きさや種類などを考慮し、開腹手術か内視鏡手術になるかは、状況に応じて対処されます。

筋腫を完全に取り除くには、手術療法しかありません。手術をすることによって、子宮筋腫に伴う症状や痛みをなくせます。筋腫が原因の不妊や、妊娠トラブルも解消されます。

ただし、開腹にしろ内視鏡にしろ、体にメスを入れることには変わりありません。それぞれにメリットとデメリットがあるので、よく相談し納得したうえで手術法を決めましょう。

子宮筋腫の手術療法子宮全摘出術と筋腫核出術

子宮全摘出術の利点とリスク

子宮を残さないことを選択した場合や、筋腫が大きい場合は、子宮全摘出術が行われます。子宮自体を摘出するので、再発のリスクがありません。また、子宮がんの心配もなくなります。月経もなくなるので、更年期症状が来ることが心配されますが、卵巣を残すことで解消されます。ただし、妊娠や出産はできなくなるため、妊娠を考えていない場合に適用されます。

また、お腹を大きく開くので、傷が大きく目立ち治るまでに時間を必要とします。子宮がなくなったことへの喪失感を感じる人も少なくありません。

筋腫核出術の利点とリスク

筋腫のみを摘出し、子宮を残す手術が筋腫核出術です。子宮を残す場合や、妊娠を希望する場合に実地されます。手術回復後には妊娠・出産が可能です。また、筋腫が原因の不妊だった場合は、妊娠率が上がる場合もあります。術式は開腹とあわせて腹腔鏡を使用するため、傷が小さく回復が早いというメリットがあります。

手術が適用されるのは筋腫のサイズ、数などによりますが、摘出するのは筋腫のみで子宮は残るため、再発の可能性があります。

子宮筋腫の手術療法 開腹手術と内視鏡下手術~利点とリスク

開腹手術と内視鏡下手術それぞれの利点とリスクについて紹介します。

開腹手術の利点とリスク

子宮全摘出術や筋腫核出術は、開腹手術で行われますが、医師が直接確認しながら手術を行えます。そのため、筋腫の大きさや数に関係なく、全て取り除けます。ただし、手術時の傷が大きく目立ちやすく、身体への負担も大きいため、手術後の回復に時間がかかります。

傷が目立たない内視鏡下手術

内視鏡下手術は筋腫だけを取り除き、お腹や子宮は切りません。傷が小さいので目立たず、痛みも少なくて術後の回復が早いです。入院は病院にもよりますが、大体一泊二日程度のところが多いようです。

社会復帰が早いことが特徴ですが、子宮を残しているため、特に多発性の筋腫の場合は、再発のリスクがあります。手術の難易度が高く、執刀医の技量が問われる手術のため、手術できる病院が限られます。

最新治療法(子宮動脈塞栓術 UAE)

子宮動脈の血流を、カテーテルを使って遮断する治療法です。血流を遮断することで、子宮筋腫に送られる栄養を止め、筋腫を小さくできます。

子宮や子宮内膜を傷つけないので、手術と比べて痛みは少なくて入院期間が短く、体への負担も少ないです。UAEは、子宮筋腫がある人全員が治療対象になるわけではありません。閉経前の人や、妊娠を希望しない人に適した治療法です。こちらは、健康保険の適応外のため、自費治療になります。

最新治療法(集束超音波治療 FUS)

超音波を利用した集束超音波治療(FUS)はMRIと超音波を使った治療法です。MRIのモニターで、患部を正確に確認しながら、特殊な装置で超音波を一点に集中させ、筋腫をエネルギー放射で焼き切ります。体の外から放射線を当てるので、痛みの少ない治療です。

一度にかかる治療時間が長いですが、筋腫が完全になくなるわけではなく、再発のリスクも考えられます。手術可能な病院が少なく、健康保険適応外で自費診療になります。

最新治療法(マイクロ波子宮内膜アブレーション MEA)

マイクロ波を照射させ、子宮内膜を凝固・壊死させる治療法で、子宮筋腫などが原因による月経過多を治療します。薬物療法の効果がなく、閉経まで手術しないで過ごしたい場合や、子宮全摘出術に代わる治療法です。

子宮内膜を凝固させるので妊娠しづらくなるため、妊娠を考えていない場合に適用されます。健康保険適応で治療が受けられます。

妊娠・出産希望の方の手術について

妊娠、出産を控えている人の為に手術方法について紹介します。

妊娠前なら手術も

子宮筋腫のほとんどが良性の腫瘍なので、妊娠後に筋腫が分かった場合は、経過観察になることが多いです。とはいえ、妊娠・出産時のリスクがないわけではありません。必ずしも手術が必要なわけではありませんが、必要と診断された場合は、妊娠前なら筋腫だけを取る手術を行うことが一般的です。

心配ならセカンドオピニオンを受けよう

腫瘍が複数ある多発性のほうがリスクが高く、小さな筋腫は見つけにくいため、妊娠する前なら子宮筋腫核出術で筋腫を取り除きます。開腹の場合は内視鏡と違い、取り除ける筋腫の大きさや数の制限を受けることはありません。子宮筋腫核出術後の妊娠は、切開した部分が脆弱になり、子宮破裂の恐れがあります。そのため、安全のために、通常分娩ではなく帝王切開術になることが多いです。

良性とはいえ、手術には変わりありません。手術のリスクや今後のライフプラン、先生との相性もあります。最良の選択をするために、セカンドオピニオンも検討しましょう。

子宮筋腫の手術の体験談

これまで子宮筋腫の治療について述べてきましたが、実際に子宮筋腫と診断された人がどんな治療を選んだのか気になりますね。子宮筋腫の手術を経て妊娠された、子宮手術体験談をご紹介します。

子宮筋腫の発見と手術

しこりが気になり、子宮がん検診で受診して発覚。それまでは自覚症状は全くありませんでした。多発性だったのですが、妊娠を希望していたので子宮筋腫核出術になりました。

不安と術後の容体

開腹手術なので術後の回復と職場復帰が不安でした。術後は痛みもあり仰向けのまま動けず、麻酔の後遺症で発熱も。切開した傷が痛み、自力でトイレに行けないので導尿だったのですが、不快感がひどかったです。

妊娠・出産

術後、半年経過したら妊娠が可能になるとのことだったのですがなかなかできず、筋腫が再発してしまいました。不妊治療の後に1年後に妊娠、出産しました。

子宮筋腫とそれに伴う手術やリスクを正しく知ろう

生命に関わる重篤な症状ではないとはいえ、子宮筋腫は病気であることには変わりありません。筋腫の数や大きさ、本人の希望やライフプランに合わせて治療を選べます。治療や手術の選択肢の数だけリスクもありますが、セカンドオピニオンを受けるなどして、正しい知識を得て納得のいく治療を受けましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

妊活部編集スタッフです。妊活に関するお悩みを解決するためのサポートをします。最新情報から妊活にまつわる情報を提供します。