2018.07.04

女性ホルモンが男性にもたらす変化とは。どんなことが体におきる?

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性自認の性差を埋めるために、女性ホルモンの投与として注射を選ぶ人は多いと思います。女性ホルモンを投与することで、男性の体にどのような変化をもたらすのか、また副作用などはあるのでしょうか。女性ホルモンの働きとともに、くわしくみていきましょう。

女性ホルモンの投与は体にどんな影響をあたえるのか

女性ホルモンの投与は、性同一性障害の人の治療の一環でもあり、女性の更年期の治療法でもあることをご存じでしょうか。しかし実際のところ、女性ホルモンを投与することで、体にどんな影響をあたえるのか、具体的には知らない人も多いと思います。

体を女性に近づけるために、女性ホルモンの投与をした場合、男性の体にどのような変化があるのでしょうか。また、投与することのリスクも心配になるでしょう。

そこで、女性ホルモンと男性ホルモンの基礎知識や、ホルモン投与した場合の副作用などについて解説していきたいと思います。女性ホルモンを投与したときの体の変化を知ることは、自身の体におき得る変化と、リスクを知ることでもあるので、しっかり把握しておきましょう。

そもそもホルモンとは

ホルモンは、体の働きを一定に保つ化学物質で、体内で作られその種類は70種類以上存在します。外気温にかかわらず、体温が一定の温度を保てることも、ホルモンの働きによるものです。視床下部・甲状腺・卵巣・睾丸など、数種類の内分泌細胞で作られて貯蔵されます。それぞれの刺激によって作られたホルモンが、血液中に分泌され、体のさまざまな働きをコントロールします。

ホルモンが必要な時期に、必要な量を必要とする部位へ届けられることにより、体はバランスを保てます。ホルモンは、多くても少なくてもだめなのです。

女性ホルモンと男性ホルモンについて

女性ホルモンと男性ホルモンは、「男女の性差を作り出す性ホルモン」といわれるものです。女性、男性ともに、男性ホルモンも女性ホルモンも作られています。この二つの性ホルモンは、ほかのホルモンと同じように、バランスを保つことで健康が成り立っています。

一生でみると、女性のほうが男性よりも多く、女性ホルモンが分泌されます。しかし男性は、女性ホルモンより男性ホルモンのほうが多く、その量は女性ホルモンの10倍といわれています。男性の場合は、男性ホルモンと比べると、女性ホルモンの分泌量はかなり少ないです。

女性ホルモンの詳しい説明

女性ホルモンの主な働き

妊娠や出産になくてはならないホルモンが、女性ホルモンです。月に一度の排卵を促し、妊娠・出産の準備になくてはならない「黄体ホルモン」と、月経や排卵、妊娠を正常に保つ「卵胞ホルモン」で構成されています。

女性ホルモンは、ストレスなどでバランスが崩れやすく、ホルモンバランスが乱れると、月経不順など体や心に不調をおこしやすくなります。

女性ホルモンの種類とそれぞれの働き

エストロゲンの働き

エストロゲンは卵胞ホルモンとよばれ、卵胞を成長させて子宮内膜を厚くし、妊娠に備えます。20~30代の女性に安定して分泌され、肌や髪にハリやつやを与え、女性らしい体型をつくります。ほかにも、記憶力や学習能力に影響をあたえ、改善する効果があるともいわれています。

エストロゲンの分泌は、自律神経のバランスにも影響をあたえます。さらに、更年期障害にも深いかかわりがあるのです。

プロゲステロンの働き

プロゲステロンは黄体ホルモンといわれ、妊娠の継続のために、体内環境を整えることが主な役割になります。妊娠のために基礎体温を上昇させ、体内の水分と栄養を蓄積させます。また、皮脂の分泌を促し、つややかな肌や髪を保ちます。

女性ホルモンは、エストロゲンとプロゲステロン、両方の働きによって、体のバランスをよい状態に保っています。もしも、どちらかの分泌量が崩れたら、病気をひきおこす可能性があります。

ホルモン補充治療とは

ホルモン注射も、ホルモン補充治療の一環です。性同一性障害の人が、受けているイメージを浮かべる人も多いかと思いますが、治療を受けるのはそういった人だけではありません。更年期障害や更年期症状の緩和のために、治療法として病院で行われており、女性ホルモンである、エストロゲンとプロゲステロンの両方を投与します。

更年期障害などの場合のホルモン補充治療は、保険適応となります。また、性同一性障害と診断された場合、ホルモン補充治療が保険適応になるかどうかは、その病院が対応してるかによって変わります。

男性が女性ホルモンを注射するとどうなるか

男性の体を持ち、本来の性に矛盾を感じている場合、一度は女性ホルモンの注射を考えたという人もいるのではないでしょうか。女性ホルモンを注射すると、女性らしい体に近づけます。

変化としては、肌や髪にツヤが出てきます。お腹や腰に脂肪がつきやすくなり、胸が膨らんできます。お尻にも脂肪がつき、女性らしい丸みを帯びた体つきになります。

体毛が生えにくくなって毛が薄くなりますが、なくなるわけではなく個人差もあるようです。声は変化しないので、変えたい場合は別途トレーニングか手術が必要になります。

ホルモン治療による副作用

ホルモン治療にはカラダに副作用を及ぼす場合もあるそうです。

投与後の体に及ぼす影響

投与をし始めると、最初のころはホルモンバランスの乱れにより、吐き気や頭痛・眠気・のぼせなど初期症状が出ることがあります。投与を続ければ治るかというと、個人差があるようです。

また、病気のリスクもあります。女性ホルモンには血液の凝固作用があるため、血栓症になる可能性もあります。女性ホルモンは肝臓で分解されるので、肝臓への負担も大きいです。

タバコやお酒をたしなむ人は、特に注意しなければなりません。ホルモン治療をはじめたら、定期的に検査を受けたほうがよいでしょう。

投与中止後の体に及ぼす影響

女性ホルモンの投与を中止すると、反動作用で体内のホルモン不足がおこり、体にも影響があらわれます。人によっては、更年期障害と同じ症状がでることがあります。

個人差はありますが、疲労・不眠・うつ・ほてり・動悸・めまいなどが主な症状としてあらわれます。

女性ホルモンを投与する前に

性自認が確定しないまま、女性ホルモンを投与することはおすすめできません。投与期間や量にもよりますが、女性ホルモンによって一度女体化した体は、完全には元の体に戻らないからです。

男性が女性ホルモンの投与を続けた場合、胸が膨らんできますが、投与をやめても戻りません。投与とともに、男性としての生殖機能も低下していきますが、投与をやめても回復しない可能性があります。

投与には副作用もあり、症状だけではなく病気として出る場合もあります。投与を考えたら、特にリスクに関してはいろいろと調べて、投与前に確認する必要があります。

ホルモン投与によって体型を変えることはできるが副作用が伴う

体と心の性差を感じている場合の選択肢として、ホルモン投与を検討することは、自分らしく生きていくための第一歩ともいえます。投与することで生きやすくなり、自分らしくいられるのならそれにこしたことはありません。

しかし、ホルモンの投与の効果を実感できるようになるまで、投与を続けなければなりません。長期間の投与は体に負担をかけ、病気のリスクも高まります。

ホルモン投与で体型を変えられますが、投与をやめても元の体に戻すことはできず、投与中も中止後も副作用が伴います。後悔のない選択をするためにも、自分が納得するまで調べて検討することが大切です。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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