2018.07.04

切迫流産って一体どんな症状なの?原因と対処法をしっかり学ぼう。

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切迫流産とは流産しかかっている状態です。妊娠中に切迫流産と言われたら、誰しも不安になるでしょう。自分を責めてしまうかもしれません。その不安を少しでも軽くして、冷静に対処できるように、切迫流産の症状とその対処法を紹介します。

妊娠初期の出血などで診断される切迫流産

妊娠検査薬などで陽性反応が出て、喜んでいたのもつかの間、病院の診断で「切迫流産」といわれたら、自分に何か原因があったのか、あの時ああしてれば、こうしていれば、などと暗く考えてしまいがちです。

切迫流産というのは、危険性があるというだけで流産が確定になったわけではありません。切迫流産といわれてしまったときの対処法や、原因をあらかじめ知っておくことで、不安を少し解消できるかもしれません。

出血があったからといって慌てず、冷静に対応できるように心構えをしておきましょう。

切迫流産とは

切迫流産とはどのような状態なのでしょうか。どんな症状があったら切迫流産が疑われるのか、症状などを知っておきましょう。

流産の一歩手前の状態

切迫流産と聞くと不安に感じる妊婦さんも多いと思われますが、切迫流産は「流産」してしまったのではなく、流産する危険性がある状態です。妊娠の約15%に自然流産は起こります。妊娠12週未満の早期流産は、流産全体の80%を占めるといわれています。切迫流産は流産の一歩手前であり、胎児がまだ子宮内に残っています。ですので、子宮内の胎児の心拍が確認できれば妊娠は継続できる可能性があります。

症状は不正出血や軽い下腹部痛

切迫流産の症状や兆候として、少量の不正出血と軽い下腹部の痛みが挙げられます。切迫流産でなくとも妊娠初期に不正出血が見られますが、「少量の出血だから」と自己判断はしないようにしましょう。エコー検査で子宮の中に赤ちゃんの袋(胎嚢)が確認できず、あまりにも腹痛がひどい場合などは、「異所性妊娠(子宮外妊娠)」の可能性もあるので、自己判断せず、すぐにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

切迫流産の原因

妊娠初期の流産の原因は、多くの場合、胎児にあります。どんな原因があるのか解説します。

胎児の染色体異常によるもの

妊娠12週未満の流産のほとんどは、染色体異常が原因とされています。胎児に染色体異常があると、それ以上育つことができないため、自然に流産をおこす仕組みになっています。また、母体が高齢になるとともに染色体異常の発生率は高くなる傾向にあります。

子宮の異常によるもの

子宮奇形や子宮筋腫・子宮頸がんの治療で子宮頸部円錐切除術を行ったあとなどは、妊娠週数が進むにつれて子宮口が開いてきてしまいます。子宮に異常があると、胎児が発育しづらい環境なので、流産になってしまう確率が上がります。子宮の異常は妊娠中には何もできないので、産後に改めて検査や治療をすることになります。子宮奇形でも、長い安静期間を経て無事に出産することもできますので、心配しすぎないようにしましょう。

子宮頸管無力症によるもの

流産や早産の原因のうち約20%を占めるものに、子宮頸管無力症があげられます。子宮頸管無力症とは、陣痛が来たわけでもないのに、本来はまだ開かないはずの子宮口が開いてしまう疾患です。妊娠中期(妊娠16週以降)でみられることが多く、内子宮口の開きや子宮頸管の短縮が確認された場合、子宮頸管無力症が疑われます。

絨毛膜羊膜炎によるもの

お腹の中の赤ちゃんは、脱落幕・絨毛膜・羊膜の3層の膜で包まれています。このうち、絨毛膜と羊膜に細菌が感染し、炎症を起こした状態を「絨毛膜羊膜炎」といいます。絨毛膜羊膜炎が起きると、子宮頚管が柔らかくなる、卵膜が弱くなる、子宮が過度に収縮するといったことから、切迫流産の危険性が高まります。

感染症によるもの

切迫流産の原因として感染症があげられます。クラミジア感染症やウイルス・細菌感染によって子宮頚管炎などを引き起こします。抗生物質の投与で改善されることもあります。

飲酒や喫煙によるもの

アルコールは胎盤を通じて胎児に届きます。赤ちゃんがアルコールの影響を受けるだけでなく、母体にも影響して、早産や流産の危険性も増します。喫煙は、子宮への血流が阻害され、胎児への必要な酸素や栄養素が行き届かなくなり、胎盤機能も低下します。タバコの煙には4,000種類の有害物質(化学物質)が含まれています。喫煙による胎児への被害は一目瞭然です。喫煙は低体重児、早産・流産の原因になります。また、ニコチンや一酸化炭素の影響で女性ホルモンの分泌が妨げられ、卵子や子宮の機能が低下してしまいます。

ストレスや体の冷えによるもの

ストレスと切迫流産の関係については正確なデータは存在しませんが、妊婦さんにとって過度なストレスは血流を悪くし、胎児に栄養が送られにくくなります。また、体の冷えは妊婦さんにとって大敵です。特に下半身が冷えてしまっては、子宮の血行が悪くなり胎児に十分な栄養と酸素が届きにくくなります。

大半は原因特定は難しい

妊娠初期におこる流産の原因は、ほとんどが胎児の染色体異常ですが、他にも様々な原因は考えられます。切迫流産についても、検査法が確立されておらず、胎児側の問題や母体側の問題であれ原因特定は難しい状況です。

切迫流産の予防法

切迫流産を未然に防ぐためにできることはあるのでしょうか。生活習慣や栄養などの面から予防できることがあるのか、みていきましょう。

禁酒や禁煙で体を冷やさない

たばこのニコチンは血流を悪くし、一酸化炭素は酸素の運搬を妨げます。赤ちゃんも母体も血流減少と酸素不足に陥ります。アルコールも少しなら大丈夫と思われがちですが、母体がアルコールを摂取するということは、胎盤を通して赤ちゃんがアルコールを摂取すると同じことです。胎児には体内でアルコールを分解するための酵素が備わっていないことのほうが多いです。

母体が体に悪いことをすれば胎児にも影響するのは当然です。禁酒・禁煙で有害物質から体を守りましょう。そして十分な栄養と酸素を母体・胎児ともに供給し、体を冷やさないことで切迫流産の予防になります。夏場は体感温度の高い妊婦さんは薄着をしがちですので、サンダルや短いボトムスを履きたい気持ちはわかりますが、靴下やレッグウオーマーを着用して冷えを予防しましょう。

葉酸を摂るようにする

切迫流産と言われたらとにかく安静、とは言われるけれども、他に何かできないのかと歯がゆく感じます。でも実は、妊娠中、葉酸を摂取することで、胎児または胎盤における細胞増殖(細胞分裂)を促し、早産・流産のリスクが下がるともいわれています。また、血液中のホモシステインという物質が早産・流産のリスクを高めており、葉酸+ビタミンB6+B12が共同でホモシステインを代謝して減らしてくれます。

ですが、食べ物から取れる葉酸は熱や水、保存状態で壊れやすく、吸収されにくいのです。そこで厚生労働省ではサプリメントの形で葉酸を取ることを勧めています。ただし、葉酸サプリの中には子宮収縮の作用がある成分が入っているものもあるため、切迫流産では気を付けなければなりません。

激しい運動や立ち仕事など体への負担を減らす

妊婦さんにとって、立ち仕事は重労働であり、特に妊娠初期は早産・流産のリスクが高まります。また長時間の立ち仕事は冷えや疲労、ストレスにつながります。立ち仕事や重労働でお腹に力を入れると、危険です。背伸びやつま先立ちもお腹が圧迫されます。高い所の作業もやめましょう。

さらに、激しい運動は転ぶ危険性があるためしないようにしましょう。息を止めて腹圧をかけるような無酸素運動は妊婦さんには向いていません。妊娠中はヨガやウオーキング、水泳などの有酸素運動が良いでしょう。しかし、お腹がハリ気味な方は運動も控えたほうが良いでしょう。また、重たい物を持つとお腹に負担がかかります。できるだけ周りの人に手伝ってもらいましょう。切迫流産と診断されたらとにかく安静にすることです。横になって体を休めて血流を良くし、赤ちゃんを守りましょう。

切迫流産と診断されたら

切迫流産と診断されたら、赤ちゃんを守れるのは母だけです。医師に言われたことを忠実に守って流産の危機を乗り切りましょう。

とにかく安静にして体を休める

切迫流産の治療の基本は「安静に勝る薬なし」です。赤ちゃんが「ママ、少しゆっくりしてね」というメッセージを発信していると思って、症状が改善されるまでは体を休めることです。無理をしていると胎児にもストレスがかかります。自分と赤ちゃんを守るために、仕事は休み、家事はできるだけ旦那さんにやってもらうなど、無理に動かないようにしましょう。

病気が原因の場合は繰り返さないように治療を

切迫流産の原因が母体側にある場合。つまり子宮筋腫や子宮の奇形、子宮内膜症など、原因となっている場合はこれらをしっかり治療し取り除くことで、切迫流産を繰り返さないように予防できます。また、高リン脂質抗体症候群や甲状腺機能の異常、糖尿病など母親にもともと病気がある場合も妊娠が維持できなかったり、胎児が発育できなかったりするので、しっかり治療しておきましょう。

自分の体を信じてストレスを溜めないようにゆったり過ごす

切迫流産は、安静にしていれば赤ちゃんが助かるケースが多いといわれています。症状も軽い腹痛や不正出血などわかりづらいので、自己判断せずかかりつけ医を必ず受診しましょう。

切迫流産の原因と知識を身につけてまずは、体を冷やさないようにするなど、予防をしっかりすることが大事です。葉酸のサプリメントを取り入れて栄養面の管理も重要です。切迫流産と診断されたら、旦那さんや職場など、周りの協力を得ながら、自分の体を信じてストレスを溜めずにゆったり過ごしましょう。

切迫流産と診断されても、自分を責めて原因を突き詰めるよりも、お腹の中にとどまってくれている赤ちゃんの命を守るために、ママも健康でいられるように、心にも余裕をもって、しっかり体を休めましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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