2018.07.04

【気になる子宮腺筋腫症とは】女性が特に気を付けたい病気

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子宮腺筋腫症という病名を聞いたことがありますか?認知度はまだ低いですが、実は子宮腺筋腫症は多くの女性にとってリスクの高いもので、妊娠にも大きな影響を及ぼす恐ろしい病気なのです。そこで今回は、子宮腺筋腫症について詳しく解説したいと思います。

子宮腺筋腫症について知ろう

最近、よく知られるようになってきた「子宮腺筋腫症」ですが、まだまだその認知度は上がっていません。生理痛がひどく、「もしかして。」と感じながらも、よくわからずに不安になっている方もいるかもしれませんね。

そこで今回は、子宮腺筋腫症について、くわしく解説していきたいと思います。出産適齢期の女性に多い病気である子宮腺筋腫症は、妊娠にも関わってきます。特に女性はこの機会に、子宮腺筋腫症について、よく把握しておきましょう。

子宮腺筋腫症について

子宮腺筋腫症は、月経のときに体外に排出される子宮内膜と同じような組織が、子宮を支えている子宮筋組織の中に発生してしまう病気です。余分な子宮内膜が発生してしまうという点で、子宮内膜症と似ています。しかし、子宮内膜症とは異なり、子宮の外に子宮内膜ができてしまう病気なのです。

また、こぶのような良性の腫瘍ができる子宮筋腫とも似ていますが、子宮腺筋腫症にはこぶはできずに、子宮全体が膨張して、硬くなっていく特徴があるのです。

子宮腺筋腫症の原因

子宮腺筋腫症の原因は、まだ明確になっていません。しかし、過度なストレスや、体のバリア機能である免疫が低下することによって、引き起こされるのではと考えられています。

働く女性が増えている昨今では、子宮腺筋腫症は、女性なら誰でもかかるリスクのある病気といえるでしょう。また、体の冷えも原因の一つと考えられているので、冷え性の女性は特に注意が必要です。

子宮腺筋腫の症状

疲れとストレス

できるだけ早めに子宮腺筋腫症を発見するためには、その症状を把握しておくことが大切です。そこで以下では、子宮腺筋腫症独特の症状について取り上げたいと思います。

月経困難症・過多月経・不妊症がある

子宮腺筋腫症の主な症状としては、月経で排出される経血の量が異常に多い状態である「過多月経」と、「不妊症」、そして、生理中に吐き気を催したり下腹部に強い痛みを感じたりする「月経困難症」が挙げられます。

月経困難症(強い生理痛)とは

子宮腺筋腫症の特徴的な症状である月経困難症は、放置し続けていると、子宮内膜症を併発する恐れがあるとされています。生理中に何日間も、鎮痛薬を服用し続けなければ、日常生活もままならないという方は、月経困難症の疑いがあるので、ぜひ早めに医師の診断を受けましょう。

過多月経とは

過多月経とはその名の通り、生理で排出される経血の量が、異常に多くなる状態のことを指します。生理中に、レバーのように固まったままの経血が大量に出たり、経血が多すぎてナプキンを1時間で換えないと漏れてしまったりして、貧血気味という方は過多月経の疑いがあります。

不妊症

子宮の形状が変化するときには、受精卵が子宮に着床する確率が下がるとされています。子宮腺筋腫症は、子宮全体の形が変わってしまう病気なので、不妊症になってしまう確率も上がってしまうのです。

絶対に妊娠できなくなるわけではないですが、流産の確率も高くなるので注意が必要です。ちなみに、子宮腺筋腫症は閉経すると、症状が軽くなります。

どんな女性がなりやすいのか

子宮腺筋腫症は、30代後半~40代以降の出産したことがある女性に、特に多い病気とされています。しかし、20代で出産したことがない女性でも、かかることが多いので注意しましょう。

子宮腺筋腫症は子宮内膜症と同じように、現代特有の食習慣や生活習慣が原因とも考えられており、現代に生きる女性達全員にとって、リスクのある病気といえるのです。

出産適齢期の女性がなるリスクが高く、出産にも大きく関わる病気なので、これから妊活の予定がある方は、子宮腺筋腫症に特に注意が必要です。また、ただでさえ毎月憂鬱になる生理を、さらに苦しいものに変えてしまうので、妊活の予定がない方でも油断しないようにしましょう。

子宮腺筋腫症の診断方法

子宮腺筋腫症の診断方法には、さまざまな方法があります。早期発見と早期治療のためにも、以下で紹介する診断方法を、ぜひ確認しておきましょう。

子宮腺筋腫症は子宮筋腫や子宮内膜症と誤診されやすい

子宮腺筋腫症では、子宮筋腫や子宮内膜症と似た自覚症状がでることから、誤診されてしまうケースが多々あります。誤診されないためにも、診断方法を把握しておきましょう。

問診・内診による診断

子宮腺筋腫症を正確に診断するためには、特徴的な自覚症状を確認する問診と、子宮全体の大きさや弾力を確認する検査が大切です。

エコー検査による診断

膣の中から、子宮の壁の厚さを測ることができる聴音波検査で、子宮の壁が通常よりも厚くなっているかどうかという点から、子宮腺筋腫症を診断します。

血液検査による診断

血液中の「CA125」という糖タンパク成分が増えている場合は、子宮腺筋腫症や子宮内膜症の疑いがあるといえます。しかし、妊娠中や生理中でも「CA125」の毛中濃度は上がるので、子宮腺筋腫症の診断のための血液検査は、妊娠中や生理中以外のときに受けましょう。

MRI検査による診断

通常MRIでは、子宮は白と灰色と黒の3色がバランスよく混ざったように映ります。しかし、子宮腺筋腫症になると、黒色が目立つようになるとされています。また、MRI検査はその分かりやすさから、子宮腺筋腫症の最も正確な診断方法とされています。

手術による治療

子宮腺筋腫症は、手術で治療することも可能です。治療するための手術には、主に子宮の全摘手術と子宮腺症核手術の2種類があります。手術となると体への負担も大きいので、手術を決断する前に、それぞれの手術の内容をよく把握しておきましょう。

どんな手術になるのか

子宮腺筋腫症の手術では、子宮筋組織にある病巣を除去します。その手術には、子宮全体を摘出する方法と、出産可能性を残すために病巣のみを摘出する方法があります。

子宮の全摘手術

今後、患者本人が妊娠を希望しないのであれば、より確実に子宮腺筋腫症を治すせる「子宮全摘手術」が最適です。子宮を摘出すれば、生理そのものがなくなるので、再発する心配もなくなります。そのため、子宮の全摘手術は、とにかく再発を防ぎたいという方にも、適した手術方法といえるでしょう。

子宮腺症核出術

妊娠可能性を残しつつ、子宮腺筋腫症の治療をしたい場合は、病巣となっている部分のみを摘出する「子宮腺症核手術」が適しています。しかし、この手術は難しいものになるので、手術できる病院は限られます。また、手術が成功しても再発の可能性は残ります。

さらに、手術後の妊娠では、子宮破裂や流産などのリスクが高くなるということも、覚えておく必要があるでしょう。

ホルモン治療とはどんなものなのか

子宮腺筋腫症は、ホルモンの分泌量を調整する薬によって、治療することも可能です。例えば、少量の卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれる「ルナベル」や「ヤーズ」といった低用量ピルがあります。これらは排卵を抑制し、経血量を減らしたり生理痛を軽減させたりする効果があります。

しかし、低用量ピルは血栓ができやすくなるので、健康状態によっては使用不可能なこともあります。一方で、卵胞ホルモンが含まれない「ディナゲスト」という薬は、子宮内膜の成長を抑える効果が期待できます。さらに血栓ができませんが、不正出血という副作用があります。

ミレーナについて

「ミレーナ」とは、子宮腺筋腫症治療システムのことを指します。子宮内膜の成長を抑えて経血を減らし、生理痛を和らげる働きのある「黄体ホルモン」を、少しずつ放出する製剤を子宮内部に入れます。

5年で製剤を交換する必要があり、保険適用の場合は1回の治療に10,000円程度かかります。「ミレーナ」は、もともと避妊目的で開発されたシステムですが、完璧な避妊効果が期待できるというわけではないので、注意しましょう。

UAEについて

「UAE」(子宮動脈塞栓術)は、股関節部分にある太い動脈にカテーテルを挿入し、それを通して子宮動脈の中に、凝固する作用のある物質を入れ、子宮腺筋腫症の病巣を小さくする治療方法です。「UAE」は、ほかの手術方法と比べると、傷跡が小さく済むということと、妊娠の可能性を残せるというメリットがあります。

体にメスを入れる手術は、誰でも恐ろしく、抵抗を感じるものです。しかし、このUAEなら股関節部分に小さな傷が残る程度で、出血量もほかの手術と比べても少ないです。そのため、手術に抵抗があるという方には、UAEは特におすすめの手術方法になります。

対処療法には何があるのか

子宮腺筋腫症の症状は苦しいものですから、対処療法も気になりますね。子宮腺筋腫症の対処療法には、鉄分を補給する薬で貧血を軽減させたり、鎮痛剤を服用して症状全体を和らげるという方法があります。初期状態で症状が重くない場合は、これらの対処療法で症状を十分抑えられます。

したがって、手術やホルモン治療に抵抗があるという方は、初めは対処療法を中心にした治療から始めるとよいでしょう。完治には長い時間がかかるかもしれませんが、対処療法は継続することが何より大切なことですから、医師とコミュニケーションをよくとって治療に励んでいきましょう。

妊娠と出産について

子宮腺筋腫症になってしまうと、妊娠できる確率は、わずか10%程度にまで下がってしまうとされています。全く妊娠できなくなるというわけではないですが、体外受精の成功率も下がってしまいます。そのため多くの女性にとって、子宮腺筋腫症は恐ろしい病気なのです。

また、流産のリスクも上がってしまうため、妊活の予定がある方は、特に子宮腺筋腫症に注意する必要があります。しかし、正しい治療法を続けていれば、ある程度は対処可能なので、子宮腺筋腫症になってしまったからといって、妊娠を必ず諦めなくてはいけないというわけではないのです。

子宮腺筋腫症と診断された方のブログ

子宮腺筋腫症の治療では、同じ境遇の仲間と交流することで、心の支えとなるでしょう。そこで以下では、子宮腺筋腫症の患者さんの気持ちや、日常を綴ったブログを紹介したいと思います。長い治療期間はぜひ仲間のブログから勇気をもらって、乗り切りましょう。

りんごさんのブログ

まずは、いつも前向きで元気なアラフォー女性、りんごさんのブログです。飾らない文体で、読んでいて楽しくなるブログです。

【参照リンク:https://ameblo.jp/dolores-haze-ringo/entry-12263286394.html

べちこさんのブログ

お子さんが2人いるアラサー女性のべちこさんは、2016年に子宮全摘手術を受けられたそうです。その壮絶な闘病生活を明るく綴ったブログは、読んでいると勇気をもらえます。

【参照リンク:https://ameblo.jp/yushima-tooru/

いつもの生理と違うと感じたら早めに婦人科を受診しよう

子宮腺筋腫症は、世間での認知度はまだ低い病気ですが、出産適齢期の女性なら誰でもなる可能性がありますす。また、悪化してしまうと、妊娠する確率に大きく影響する可能性も高い、恐ろしい病気です。そのため、生理に異変を感じたら、なるべく早く産婦人科に行き、正確な診断を受けることをおすすめします。適切な治療を受ければ症状を緩和することも可能なので、診断を受けたら適切な治療をきちんと受けるようにしましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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