2018.07.04

逆行性射精の疑いがあるときはどうする?その原因と治療法について

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妊活がなかなかうまくいかない理由はさまざまありまが、その中の理由の一つに男性の逆行性射精が挙げられます。逆行性射精とは本来陰茎を通って放出されるはずの精液が膀胱側に逆流してしまう症状です。今回は逆流性射精の原因と治療法を見ていきます。

逆行性射精について

日本には不妊で悩む夫婦が数多くいます。妊娠しにくい原因は女性側だけではな男性側に原因があることも多くあります。男性側に原因あり妊娠しにくい理由として、勃起不全や造精機能障害で精子を作る機能が低下していることが理由として多いです。その中でも男性側に問題があり妊娠しにくい原因の一つが逆行性射精です。逆行性射精とは本来陰茎を通て射精されるはずの精液が膀胱側に逆流してしまう症状です。

逆行性射精は健康上問題はありませんが、子作りを考えて妊活をするときは支障が出てきてしまいます。逆行性射精には糖尿病や前立腺肥大の薬による治療の副作用に手術による影響など原因はさまざまあり、原因によって治療法も変わってきます。今回は逆行性射精の原因や治療法について詳しく見ていきます。

逆行性射精とは精液が逆行すること

通常性交時に陰茎から放出される精子が膀胱の方へ逆流してしまうのが逆行性射精です。本来射精時に閉まっているはずの内尿道口が閉まりきらないことによって起こります。内尿道口を閉めるには交感神経の力が必要で、交感神経が鈍る原因などがあると逆行性射精が起きやすくなります。また、膀胱内に精液が入っても人体に影響はありません。糖尿病や前立腺肥大の手術による影響や薬による治療の副作用として逆行性射精になることが多いのです。

しかし、妊活中の場合はとても影響が大きく、妊娠しにくい原因にもなります。そのため、普段お生活だけでは治療は特に必要ありませんが、妊活中の場合は治療が必要になってきます。逆行性射精の治療は原因によっても治療法が異なってくるので、逆行性射精の原因をまず知る必要があります。

逆行性射精の自覚症状

逆行性射精がどのようなものかわかったところで、どのような自覚症状があるのか見ていきます。他の病気のようにわかりやすい自覚症状はありませんが、主な自覚症状は二つあります。

尿に精液が混ざり白濁している

逆行性射精の自覚症状の一つに射精後の尿に精液が混ざり白濁することがあげられます。排尿時に確認することができ、簡単に症状を知ることができます。

しかし、通常射精後の尿道内に精液が少し残っていることが普通なので、自分自身で逆行性射精と判断すのは難しいです。妊活を行っていてなかなか成功しないなかで、尿に精液が混ざって白濁しているのがわかったら医療機関を受診し、医師に相談するのがおすすめです。

精液の量が少ないか全くない

もう一つの逆行性射精の自覚症状に射精時の精液の量が少ないか全くないという症状があげられます。精液の量には個人差や体調による差があるので一概に言えませんが、精液の量が少ないと感じたら逆行性射精が疑われます。

妊活で性交を行ったときに射精で出てきた精液の量が少ないと感じたら医療機関を受診して医師に相談することをおすすめします。

痛みや目立った自覚症状がない場合が多い

逆行性射精は他の病気などと異なり、痛みや吐き気などの目立った自覚症状がないためなかなか気づきにくいことが多いです。

不妊で悩んでおり、射精後に尿が少し白く濁っていると感じたり、射精時の精液の量が少ないと感じたりした場合は一度クリニックなどで逆行性射精か診断してもらうのがおすすめです。

逆行性射精の原因

逆行性射精の主な症状がわかったところで、次は逆行性射精が起こる原因のついて詳しく見ていきます。逆行性射精には前立腺肥大による手術や薬での治療の影響や脊椎損傷、糖尿病や腹部・骨盤内の大きな手術などの影響の影響などさまざまな原因があります。

前立腺肥大症に対する前立腺手術によるもの

逆行性射精の大きな原因の一つに、前立腺肥大症による前立腺の手術があげられます。前立腺肥大症とは、膀胱の下にある二つの前立腺が加齢などの原因で肥大する症状です。前立腺が肥大することによって尿道が圧迫されて尿が出にくくなり、様々な排尿障害が出てきてしまいます。

その治療として前立腺の一部を除去したり摘出したりする手術が行われます。その手術の副作用として尿道が膀胱側だけ広がり、射精時に精液が膀胱側に流れてしまう形になります。また尿道口がうまく閉まらずに膀胱に精液が逆流してしまいます。

糖尿病や脊髄損傷

糖尿病の合併症として逆行性射精が起こる場合もあります。糖尿病とは何らかの原因で血液内の糖の濃度を下げる働きを持つインスリンの分泌が少なくなり、血液中の糖の濃度が高くなる病気です。血糖値が高くなるとさまざまな神経に悪影響を与えることがあり、そのうちの一つとして内尿道括約筋につながる神経の働きが阻害され逆行性射精になる可能性があります。

また、脊椎損傷によって逆流性射精が起こることもあります。脳と前立腺をつなぐ神経が傷つくき、膀胱から尿道につながるまわりの内尿道括約筋がうまく収縮しなくなってしまい逆行性射精の症状が出ることもあります。

腹部や骨盤内の大きな手術によるもの

逆行性射精の理由の一つに腹部や骨盤内などの大きな手術もあります。そのような手術が原因で内尿道括約筋につながる神経が傷つくと尿道口の締まりが悪くなり、射精時に精液が膀胱側に逆流しやすくなってしまうことがあります。

怪我などでこのような手術を受けることもあり避けることはなかなか難しいですが、腹部や骨盤内の手術を行い射精時に精液が出にくくなったと感じた場合は逆行性射精になっている可能性が高いです。

ユリーフ錠の服用による副作用

前立腺が肥大することによって尿道が狭まり、尿の排出がスムーズにいかないのが前立腺肥大症です。前立腺肥大症の治療として使われる薬としてユリーフ錠が使われます。

ユリーフ錠は前立腺の肥大による尿道の狭窄を緩和させ、尿の排出をスムーズに行えるようにする効果があります。しかし、副作用として精液が膀胱側に逆流しやすくなり、逆行性射精になりやすくなります。前立腺肥大の治療と妊活を同時に行っている人は注意が必要です。

α1受容体遮断薬の服用による副作用

膀胱の下にある前立腺が年齢とともに肥大するのが前立腺肥大症ですが、前立腺が肥大すると排尿の際に障害が出てきます。その前立腺肥大を改善するために使われる薬がα1受容体遮断薬です。ハルナールやフリバス、ユリーフといった薬を使うことによって前立腺肥大症の症状を改善することができます。

しかし、α1受容体遮断薬は前立腺平滑筋に対する交感神経の緊張状態を抑え前立腺を弛緩させるため、副作用として膀胱側に精液が逆流しやすくなります。前立腺肥大症の症状があり、妊活をしてる人は注意が必要です。

逆行性射精の自然治癒について

続いて逆行性射精の自然治癒について見ていきます。逆行性射精で精液が膀胱側に逆流しても健康に影響ありませんが、妊活を行っている場合は不妊の原因になる可能性があります。逆行性射精を緩和させることができる自然療法は二つです。

糖尿病が原因の場合は治療する

糖尿病が逆行性射精の原因になっている場合は、糖尿病の治療を行います。糖尿病は逆行性射精のみならず生活において治療が必要になってくるので、糖尿病とわかった時点で根本的な治療が必要になってきます。

遺伝性の糖尿病ではない限り生活習慣の改善を行っていきます。子作りだけではなく、健康に暮らすためにも糖尿用の改善は必要です。

薬剤が原因なら服用をやめる

逆行性射精の原因が前立腺肥大の薬が原因の場合は、服用を辞めることによって症状が改善していきます。

しかし、逆行性射精になっていても体には影響がなく日常生活にも影響がないため、不妊症の治療を除いて治療のために薬の服用を辞める必要はありません。

逆行性射精の治療について

逆行性射精の自然治癒について見てきましたが、次は治療法について見ていきます。

通常は治療は必要ない

逆行性射精で精液が膀胱に逆流しても体に害はありません。また、日常生活にも支障はないため基本的には治療の必要はありません。しかし、逆行性射精の影響で十分な精液が膣内にいかないことによる不妊の可能性があるので、子作りを考えている場合は治療が必要になってきます。

不妊症の場合に限り薬を服用する

逆行性射精は日常生活の中では問題はありませんが、妊活中の夫婦にとっては通常よりも精液が出てこないため、妊娠する確率が下がってしまうため治療が必要になってきます。不妊症で悩んでいる場合は薬を服用することによって治療をしていきます。

膀胱頸部を閉じる作用のある薬を服用

逆行性射精の薬による治療は、膀胱内に精液が逆流しないように膀胱頸部を閉じる作用のある薬を服用します。膀胱頸部を閉じる作用のある薬のプソイドエフェドリンやイミプラミンなどの薬を服用することで改善することができます。

逆行性射精の患者の約3分の1はこのような薬を飲むことによって症状を改善することができますが、心拍数の増加や血圧の上昇などの副作用などがあるので定期的に医師によるチェックが必要です。

排尿と射精のメカニズム

最後に排尿と射精のメカニズムについてみていきます。逆行性射精の原因などを理解するためにも排尿と射精のメカニズムを知っておく必要があります。

排尿の仕組みを知ろう

腎臓で作られた尿は膀胱に送られ貯まっていきます。尿が溜っているときは交感神経が働き膀胱の筋肉が緩み、対して尿道の筋肉が締まることにって尿がたまる仕組みになっています。そして、尿がいっぱいになってくると膀胱から脊椎を通って脳へ尿がたまったと信号が送られていき、尿意を感じます。

尿意を感じてトイレに行き、脳から尿を出してよいという信号を送ると副交感神経がはたらき尿道が開いて膀胱の筋肉が縮むことによって尿が放出される仕組みです。その際に膀胱の下にある前立腺が肥大していると尿道が十分に広がらず排尿障害が出てきてしまいます。

射精時に尿が一緒に放出されない理由

膀胱の下にある前立腺内で尿が通っている尿道と精嚢から成績を運ぶ管が合流しています。射精するときは交感神経が働いているため、尿道口が閉まっているので射精時に尿が出てくることはありません。

また、尿道口が閉まっていることによって、射精時に精液が膀胱側に逆流しないような仕組みになっています。尿道口周辺を動かす内尿道括約筋に脳から信号を送る神経に異常があると排尿だけではなく、精液が逆流してしまう逆行性射精が起こる可能性が高くなるので神経に影響が出ないように気を付ける必要があります。

逆行性射精は妊活している人は治療が必要だが日常生活に支障はない

今回は不妊の原因にもなる逆行性射精について詳しく見てきました。通常射精時に陰茎から出てくるはずの精液が膀胱側へ逆流してしまう逆行性射精ですが、特に体に影響があるわけではなく日常生活にも支障があるわけではありません。しかし、子供をつくるために妊活中の人は治療が必要になってきます。逆行性射精が疑われるような症状や思い当たるような原因がある場合は、医療機関を受診して医師の相談を受けるのが大切です。

妊活を成功させるためにも逆行性射精の治療が重要になってきます。逆行性射精が原因で妊活がうまくいかない場合は、しっかりと逆行性射精に向き合っていき逆行性射精の症状を抑えて妊活に取り組み妊活を成功させましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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