女性の体には、毎月訪れるのが生理というメカニズム。この生理というのは、月にどのくらいの期間続くのかはある程度決まっていますが、それより長い場合や短い場合もあります。なぜそのようなことになってしまうのか、その原因と対策について知りましょう。
生理の期間は個人差はありますが大体決まっています。その期間より長かったり短かったり、さまざまです。しかしなぜ生理の期間が長くなったり、短くなったりしてしまうのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。生理のしくみをおさらいしつつ、原因や対策を知っていきましょう。
まずは生理のしくみや役割をおさらいしていきましょう。そもそも生理はどのようなことを言うのか、改めて紹介していきます。
そもそも生理の前に、排卵があります。排卵とは、卵巣から成熟した卵子が飛び出すことです。この排卵は、ホルモンによって一定の期間で排出されていきます。排卵からおよそ2週間後に生理がやってきますが、これにも個人差はあり、人によって1週間だったり3週間だったりとさまざまです。
排卵が正しく行われていると、卵巣の中では卵子の元となる卵胞と呼ばれるものが育っていきます。それから少しずつ卵胞ホルモンというエストロゲンが出ることにより、子宮内膜に厚みが出てきて、膨らみ始めます。子宮内膜に厚みが出てくるのは、卵子と精子が受精した受精卵を受け止めるためです。受精卵のベッドのような役割を果たします。
卵管の先まで精子が行くのですが、ここで卵子と出会って受精をすると受精卵となり、子宮まで運ばれます。そして厚くなった子宮内膜が、受精卵とベッドとなり、赤ちゃんを育てるために必要な血液をたくわえながら受精卵が来るのを待ちます。
しかし、受精卵ができないと厚くなった子宮内膜は必要なくなり、内膜が剥がれ落ちていきます。卵子や血液と一緒に流れ出るのですが、これが生理のメカニズムです。
生理は出血をしますので、それが毎月毎月くるとなると煩わしいと感じてしまうものです。しかし、生理がなければ妊娠をすることはできません。そもそも生理の役割というのは、赤ちゃんがいつできても良いように、子宮内に赤ちゃんを迎えるための体になるためです。しかし赤ちゃんができなかった場合は、子宮内にある不必要なものを排出するために、生理があるのです。
生理そのものが初めて迎えることを初潮といいます。この初潮は、平均年齢12.3才ぐらいで、そのほとんどが、10歳~15歳に陰毛が生え始め、身長の伸びが低下し始めた頃に初潮が起きるといわれています。
また反対に生理が完全に終わることを閉経といいます。閉経は、更年期を迎えると女性の体はホルモンの分泌が変化ししていき生理が不安定になっていきます。平均年齢は50.5才といわれています。つまり、生理が始まってからおよそ40年は付き合っていかねばなりません。
続いては生理の周期について知りましょう。そもそも生理の周期とはどういうことなのかを知り、さらなる生理のメカニズムを紹介していきます。
生理の周期は、生理の開始日から次の生理の始まる前日までの日数のことを、生理周期といいます。この生理周期は必ずしも全員が同じとは限らず、個人差がありますし、毎月同じ生理周期とは限りません。
生理周期の平均日数は、25日から38日といわれています。この周期より短い人もいますし、長い人もいます。そうなってしまうのは、そのときの体調やストレスによる影響が原因です。普段は正常平均周期なのに、いつもより短かったり長かったりした場合は、それらが考えられるでしょう。
生理の周期について知っていただけたところで、続いては生理の期間についてです。そもそも生理の期間はどのくらいなのかについても知っておきましょう。
生理の期間は、大体4~7日くらいに渡って起きます。しかし、これについても個人差があり、必ずしもみんなが同じ期間とは限りません。
生理の期間がなぜ異なるのかというと、子宮の出入り口はとても細くて小さい穴になっています。そんな場所を通って子宮内膜が剥がれて出血するので、外に排出されるまでは、どうしても時間がかかってしまうのです。また、子宮のサイズや子宮口のサイズも人それぞれ違います。よって、生理期間は個人差が生まれるのです。
生理の期間は、成人するとある程度は一定になるといわれていますが、思春期や成長期というのはまだまだ不安定な状態です。体調や精神的なことからも影響が出やすい時期といえるでしょう。そのため、生理期間はいつでも一定だとは言えません。
生理の期間は正常範囲があります。ある程度決まっている期間より長ければ、何かしら異常があると言えるでしょう。そんな長くなってしまっている生理期間、なぜ長くなってしまうのかその原因について知りましょう。それは自分の体のことを知るのにとても大切なことです。
改めて、生理の正常な期間というのは4~7日です。これ以上を過ぎた8日以上という生理期間だと、過長月経といいます。このとき、しっかりした出血が8日以上のことを指しますが、月に少量でもダラダラと出血が14以上続く場合は受診をおすすめします。
たとえ正常範囲外の生理期間であっても、それが必ずしも異常であるとは言い切れません。生理周期や出血量は人それぞれ個人差であるように、生理の期間も正常であるのが好ましいですが、それ以外になってしまうのも仕方がないことです。
そして正常範囲外でも心配いらない生理というのは、生理前後に茶色のおりもののような出血があって、その日数を含めて生理期間が8日以上になってしまったという場合は、そこまで心配しなくても良いということがほとんどです。出血しているという点では長く感じますが、しっかりとした出血量で8日以上ということではなければ大丈夫でしょう。
また、逆に生理が1~2日で終わるのを過短月経といいますが、その期間にしっかりした出血であれば問題ないともいわれています。もし気になるのであれば、基礎体温を計測し、排卵がきちんとされているかの確認はした方が良いでしょう。
生理期間が8日以上になってしまう過長月経になる原因の一つとして、無排卵周期にあるということが挙げられます。この無排卵周期というのがどういうことかと申しますと、卵巣機能が異常をきたし、それにより排卵がうまくいかずに無排卵周期になっているということです。
正常な生理では、排卵が起きてから生理がきます。しかし排卵しないまま生理がくると、無排卵性月経と呼ばれ、無排卵の場合はホルモンの正常な波というのができません。出血もダラダラと続くこともあるでしょう。無排卵性月経の出血は、少量で長く続くことがほとんどです。出血量が多いのはまれだといわれています。
生理が8日以上続いてしまう過長月経のもう一つの原因として、子宮に何かしらの異常があるということが挙げられます。その一例は、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮奇形などの病気があります。これらの病気にかかっていると、生理期間が長くなってしまったり、出血量も増えたりなどの異常が出てきます。もし、これまでは正常範囲だったのにそれ以上に増えた場合は注意した方が良いでしょう。
生理期間が長くなってしまう原因は、病気であったり、ホルモンバランスによるものだったり色々でした。続いては、生理期間が長くなってしまわないためにできることを紹介していきます。長くならないようにするために、自分で何ができるのか、どうしたら良いのかを知り、生理と向き合っていきましょう。
そもそも、無排卵周期になってしまう原因というのが、年齢的な卵巣機能の低下によるもの、過労などのストレスによるもの、偏食やダイエットなどによる体重の増減、そして体の冷えなどが挙げられます。これらの無排卵周期の原因の中で、どれが自身にあてはまるのかを知りましょう。原因が分かることができれば、何かしら対策を取るなどのケアができるでしょう。
基礎体温とは、自分の体が一番安静でいるときの体温のことです。この基礎体温を計測することで分かることは、排卵しているかどうか確認できますし、妊娠しやすいか日なのかどうかなど、基礎体温によって体の状態を知ることができます。妊娠を望んでいる方なども、基礎体温を計測することで、妊娠を狙いやすくなります。
まずは基礎体温の計測の仕方を覚え、基礎体温を測ってみましょう。もし明らかに排卵をしていないとわかれば、病院にて受診するのをおすすめします。
無排卵周期とわかったとき、どのような治療をするのかについて知っておくと、いざというときの心構えができるでしょう。基本的には、生理不順のときと治療法は変わりません。
生理期間が8日以上という正常範囲より長くなってしまっていても、生理周期がほぼ30日前後で、貧血でのなければ生活習慣を見直していくだけでも改善されるでしょう。例えば食事の内容については、一度見直してみると良いでしょう。さらに、問題ない体重にコントロールしていくだけでも、自然に排卵されていきます。
ホルモン治療では、ホルモンに異常が出てしまったり、出血する期間が長すぎてしまっている場合は、ピルなどのようなホルモン剤を使ってホルモンバランスを整える治療をしていきます。そうすることで、出血する期間をコントロールできる治療方法です。
漢方治療では、軽いホルモンの異常があったり、出血をコントロールしていくほどではない場合は、卵巣機能を助ける働きのある漢方を飲みながら、基礎体温をつけつつ排卵周期になるかどうかを様子見していく治療方法です。
妊娠を望んでいる方の場合は、排卵させることが重要です。漢方治療などで排卵周期が起きない場合は、排卵誘発剤を使って治療をしていきます。この排卵誘発剤には、内服薬と注射という2通りあり、普通は効果が優しい内服薬から始めていきますが、効果がありすぎると複数の卵胞が育ってしまいます。
それにより多胎や卵巣過剰刺激症候群という病気になってしまう可能性が高くなります。そうなってしまわないために、内服薬を飲んでいる間は必ず超音波検査をやりながら、卵胞の成長具合をチェックしていきます。
女性は子宮検査を受けた方が、子宮に何かしらの異常があった場合にすぐさま対応ができ、処置を早めに行うことができます。子宮の形や大きさに異常があれば、超音波検査でチェックできます。内診ができる場合は、膣から子宮をチェックし、内診ができない場合は肛門から超音波の機器を入れて、子宮や卵巣を写し出していく検査を行います。
検査自体はリラックスをしていれば痛みを感じることは少なく済み、大体1分程度で終わることが多い検査です。超音波検査でもし異常が発見されれば、さらに詳しく子宮を異常を見るために、子宮鏡検査やMRI検査を行うこともあります。
これまでは生理期間が長くなってしまう原因やその治療方法などについて紹介してきました。続いては、生理期間が長くなってしまうことの反対の生理期間短くなってしまう原因についてです。生理期間が短い人は、なぜ短いのか原因を知り、対応できることは対応していきましょう。
生理が8日以上続くのは過長月経ですが、反対に1~2日で終わってしまうのは過少月経といいます。こうなってしまうのにも原因が主に3つありますが、生理のときの出血量が少ないのは個人差があります。また、年齢とともに出血量は減っていきますので、どういう症状からが異常だと判断していいのかは難しいことです。生理が前より軽くなったけども、3日以上はナプキンを替えるほどの出血量はあり、生理周期は正常で排卵周期にもなっていれば、基本的には問題はないといわれています。このとき、妊娠を望んでいる方は別として考えます。40歳以上の場合は、時折無排卵周期が混ざっても問題視しなくても大丈夫です。
しかし生理期間が極端に短い場合や、出血量もおりもの程度しかない場合は、一度受診することをおすすめします。それがホルモンの分泌量が減って出血の元に内膜が薄くなってしまっているために出血量が減ったり出血期間が短くなっているだけなのならば、様子見という判断をしても問題ない場合もあります。
ところが、ホルモンバランスが乱れ、内膜に厚みがあるのにきちんと剥がれていかないために出血量が減っている場合は、子宮内に古い内膜が溜まってしまいますので、子宮体がんになってしまう可能性が高くなります。内膜の厚みをチェックするのは、超音波検査を行えばすぐにわかるでしょう。詳しいことは受診してみて検査を行いましょう。
卵巣機能が低下し、排卵がうまくいかないと無排卵周期となってしまいます。無排卵の場合は、ホルモン分泌がしっかり出ていないのでランダムに起き、出血量が減ってしまい、生理が軽くなっていきます。
正常範囲の生理期間より、長くなったり短くなったりなるのは、生活習慣が関係していることが大きいです。乱れた生活習慣によって、ホルモンバランスが崩れてしまうのです。もちろん病気の可能性もありますが、これまでの生活習慣を見直してみると、案外生理期間が正常になってきたということもあり得ない話ではありません。
しかし、あまりに生理期間が短いとか出血量も極端に少なければ、病院へ受診するのをおすすめします。特に妊娠を望んでいる方は、生理がきちんときていないと無排卵の可能性は否めないでしょう。自分自身の体の状態を知り、生活習慣を見つめなおしていきましょう。