2018.07.04

「射精後の精子の平均寿命」男性不妊を知って効果的な妊活をイメージ

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女性の不妊については、ドラマやドキュメントなどでもよく取り上げられますが、男性の不妊については意外に知られていません。膣内に射精された精子は、どれくらいの期間生きて役割を果たすのでしょうか。精子の平均寿命について、医学的に解説していきます。

精子の寿命は何日ぐらいなのか

妊娠を希望している人の中には、射精後の精子の寿命はどれくらいなのか、知りたいと考えている人もいるかと思います。性交によって、膣内に放出された精子には寿命があり、寿命がすぎると本来の役割を果たせなくなります。

そこで、射精後の精子の寿命や、寿命が短くなる原因について確認していきましょう。寿命を正確に知ることで、排卵日とタイミングを合わせることができ、妊娠する確率を高めることにもつながります。

射精後の精子の寿命

射精によって、いったん放たれた精子は、寿命が尽きるまで女性の膣内から卵管を漂流します。その期間内に、卵子と出会えれば受精卵を形成し、妊娠の成立となります。射精された精子は、どのくらいの日数生きのびることができるのでしょうか。

膣内で生きられるのは平均で3日間

性行為によって、膣内に送り込まれた精子の寿命は、平均で3日間といわれています。ただし、これはあくまでも精子そのものの寿命であり、放出された精子のうち99%以上は、強酸性の膣内によって強制的に殺され、本来の役割を果たせないまま終わってしまいます。

なお、精子は空気に触れた時点で死滅してしまうため、たとえば、いったん膣外に射精した精子を女性の膣内に入れても、妊娠する可能性はほぼありません。

x精子は長い

胎児の性別を決定する性染色体は、卵子と精子で一本ずつ備わっており、X染色体同士が結合すれば、女の子として育つことになります。X染色体をもつ精子は比較的強く、膣内でも平均で3日間は生きつづけることができます。寿命が長い精子は、1週間以上も膣内や卵管でとどまることができるといわれています。

「排卵日より1週間以上前にセックスをしても、妊娠する可能性がある」といわれるのはこのためで、タイミングによる避妊法も、このメカニズムを利用しています。

y精子は短い

X染色体とY染色体が結合すると、男の子として育ちます。Y染色体を持つ精子の寿命は短く、膣内の酸性にも弱いため、射精から24時間以内で、ほとんどが死滅してしまうといわれています。

ちなみに、生まれてくる男の子が病弱になりがちなのは、Y染色体の影響によるものだと考えられています。体質的に安定したXX染色体と比較して、いろいろな面で不安定だといわれています。

精子の寿命が短くなる要因

最新の研究で、精子の寿命は後天的な要素によって、左右されるということが明らかになっています。精子を弱くし、寿命を短くしてしまう要因としては、どのようなものがあるのでしょうか。

精子の製造過程において問題がある

精子の工場である精巣に何らかの異常があれば、工場でつくられる精子に異常が出てしまうことは、ある意味で当然のことです。

製造された精子は、精巣に貯蔵される段階から運動しています。しかし、工場の生産能力に問題があると、精巣内での精子の運動能力が著しく低下してしまい、射精後の遊泳能力も、基準より大きく下まわってしまいます。

加齢による老化

男性は女性と違って、高齢になってもいわゆる「妊娠させる能力」が衰えにくいといわれています。それでもやはり、加齢の影響とは無縁ではなく、年齢を重ねるにしたがって、精子そのものが劣化してしまうことは否めません。

精子の劣化が本格的に見られるのは、50代以降といわれています。また、生産能力のほうは、30代後半あたりから少しずつ低下しはじめ、精子の寿命も徐々に短くなっていくと考えられています。

女性の妊娠能力のピークが、20代中盤から後半であることから、男女ともに20代のうちが、最も子作りをしやすいタイミングであるといえます。

睡眠時間が短い

精子の寿命と毎日の睡眠時間には、密接な因果関係があります。とくに、睡眠時間が3時間を切る男性の精子の運動率はきわめて低く、射精後の寿命も短くなるため、妊娠の可能性が著しく下がってしまいます。

また、慢性的な睡眠不足が続くと、勃起障害などが起きやすく、一方で性欲そのものが衰えてしまいます。したがって、パートナーとの妊活を考えている男性は、仕事をセーブして睡眠時間を、少なくとも6時間以上は確保しましょう。

寿命の長い精子を育てるコツ

妊活を成功させたいのであれば、精子そのものを強くすることが重要です。生活習慣が乱れがちな男性は、体質改善を心がけましょう。

たばこを吸わない

たばこは、精子の運動能力にも悪影響を及ぼすことがわかっています。たばこのニコチンによって精子が酸化し、結果として質が悪くなり、射精したとしても、短い期間しか役割を果たせなくなります。

妊活専門のクリニックでも、喫煙男性には、まず禁煙がすすめられるように、たばこが妊活にプラスの影響を与えることはありません。

適度に射精を行う

精子は毎日製造されますが、そのすべてが無尽蔵に貯蔵され続けるわけではありません。精子にも鮮度があるため、定期的に射精を行うことで、新しい精子と入れ替えて、新鮮な精子を常にストックしておくことが大切です。

意外に思われるかもしれませんが、マスターベーションによって射精した3日後が、最も精子の鮮度がよく、そのタイミングでパートナーと性行為を行うことで、妊娠の確率を上げられます。

サプリメントを服用する

精子も細胞のひとつである以上、栄養バランスを工夫することで、より運動能力を上げ、射精後の寿命を長くすることができます。強い精子をつくるために、最適な栄養素としては、亜鉛やビタミンEなどが挙げられます。

したがって、これらをふくむサプリメントを日常的に服用することで、基本となる精力が強くなっていきます。

精子の寿命を延ばして妊娠の確率を高めよう

妊活において、女性側のコンディションを整えることも大切ですが、男性のほうの体質改善も、重要なポイントになります。体質改善をすることで、精子の寿命を延ばすことにもつながります。

ぜひ、規則正しい生活を心がけ、女性のバイオリズムともタイミングを合わせて、妊娠の可能性を高めていきましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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