2018.07.05

「卵子の若返り」の噂は本当なのか。気になる方法とその事実とは

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近年の晩婚化に伴い、不妊治療に通う人が増加しています。女性の年齢が高くなると卵子の老化が進み不妊の原因の一つとなりますが、最近になって卵子を若返らせる方法があるとか噂されているようです。その事実と方法などについて紐解いていきます。

妊娠率アップのために卵子の若返りを望む方も多い

妊娠を希望している人で35歳以上の場合は、特に問題がなくてもなかなか妊娠、出産が難しい年齢になってきます。その理由の一つに卵子の老化があります。では、妊娠率をアップさせるために卵子を若返らせる方法はないのでしょうか。

卵子を若返らせることは根本的には不可能

結論からいいますと、残念ながら卵子を若返らせることは根本的には不可能といわれています。

卵子は「原子卵胞」という卵子の元になるものから毎月排卵のサイズまで卵子を育てますが、この元になる原子卵胞は女性が生まれた時が一番多く良質で、年齢が高くなる35歳頃には原子卵胞自体の数が減少し、また質も劣化していく為、作られる卵子に遺伝子異常があるものが増えてきます。現在の医学では、この原子卵胞の数や質をよくする方法はないといわれています。

卵子の若返りの可能性をもつミトコンドリア活性とは

まだ現在では医学の域ではありませんが、少しでも卵子の質をよくしようと研究が進むなかで、卵子の中にある「ミトコンドリア」を活発にさせることにより卵子の質が向上するのではないかといわれています。

自分の卵巣から採取したミトコンドリアを卵子に注入

現在は、あくまで病気があり従来の不妊治療では妊娠が難しい人に向けた治療という意味で実施されるに留まっていますが、卵巣などに疾患のある女性の体外受精を行う際に、自己の卵巣から採取したミトコンドリアを精子と一緒に卵子に注入することで、卵子の活性化を図ることがあります。

卵子の老化の原因にミトコンドリアの老化が指摘されている

卵子の老化に伴い卵子のミトコンドリアも老化します。では、なぜ卵子のミトコンドリアが老化するのかというと、精子は射精のたびに新しい精子が作られますが、卵子のもとになる「原子卵胞」は、それ自体が生まれた直後は200万個、思春期には20~30万個に減り、その後も1カ月に1000個単位で減少していき、決して増えることがありません。そこにあるミトコンドリアも、そこから育った卵子も時間とともに古くなっていくということです。

実際に大阪で治療を受けた方が出産

大阪の不妊治療専門の病院で、卵巣に疾患のある女性の体外受精を行う際に、自分の卵巣から採取したミトコンドリアを精子と一緒に注入することで妊娠・出産したという報告があります。これは「ミトコンドリア移植」と呼ばれ、卵子の中にあるミトコンドリアが劣化しているのなら卵巣にある元気なミトコンドリアを入れて卵子を活性化させようという試みです。

実際には、腹腔鏡手術をして卵巣の組織を取り出し、そこにあるミトコンドリアを抽出して採卵した卵子に精子とミトコンドリアを一緒に顕微受精で卵子に注入させて、受精卵を体内に戻すという流れになります。期待とともに身体的な負担と金銭的な負担は最高峰といわれていた顕微授精よりもさらに大きくなります。

今はまだ妊娠率との因果関係などははっきりしていない

まだまだ成功例どころか実施例も少なく、高額な治療を行っても本当にミトコンドリアの効果なのかどうか、因果関係が証明できるほどの症例がないのが現状です。今後、ますます不妊治療の需要が高まってくると、研究が進むと思われます。

卵子が若返るといわれている方法

医学的に証明されていなくても、実例として効果があるといわれている方法はいくつかあります。高齢で不妊治療を行っている場合など、出産のタイムリミットが迫っている場合はあらゆる方法を試したくなりますが、身体を壊してしまっては元も子もないので、しっかり調べてから自分に出来ることを実行しましょう。

DHEAは卵子の若返りではなく卵巣機能の向上を期待できる

DHEA(Dehydroepiandrosterone)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。活力や性欲が増すとして「若返りのホルモン」と言われて海外ではサプリメントとして販売されています。日本では医薬品に分類されるので病院での処方になります。このDHEAは卵子の若返りではなく、卵巣機能を向上させて卵胞の成長を助ける働きがあるとされて、不妊治療の現場でも処方されることがあります。

しかし、DHEAを摂取することでPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)になる恐れがあります。PCOSになると卵胞は増えるけれども卵子の質が低下し、受精しにくくなったり、受精しても上手く成長せずに流産になる危険が高まります。個人輸入ができる時代ですが、DHEAの使用がかえって逆効果になるケースもあるので、自己判断をせず、医師に相談することをおすすめします。

ルイボスティーの抗酸化作用で卵子の老化を遅らせる可能性が

不妊治療を行っている人達の間で、カフェインを控えて「ルイボスティー」を飲んでいるという話をよく聞きます。このルイボスティーには卵子を若返らせる効果はないものの、老化を遅らせることが期待できるとされています。

理由としては、ルイボスティーに含まれるSOD(Super Oxide Dismutase)という酵素が抗酸化作用があるためです。抗酸化作用というと、卵子に限らずアンチエイジングとして抗酸化作用のあるものを摂取するとよいとされているので、生殖機能にも効果があるだろうという期待から飲まれています。

葉酸は卵子若返りはできないが妊娠中には効果が高い

葉酸は、妊娠を希望している人はその時点からサプリメントで摂取するとよいでしょう。葉酸自体に卵子を若返らせる効果はありませんが、妊娠初期に既に摂取していることで細胞分裂の時点で起こる先天性障害のリスクを減らす効果があります。

ミトコンドリアサプリメントはまだ研究段階だが期待大

不妊治療の現場でミトコンドリアの活躍が期待される中、ミトコンドリアのサプリメントも市販されています。このサプリメントは、ホルモン剤や医薬品ではないため副作用などの心配は薄いですが、サプリメントというには高額で、本当に効果があるのかまだ研究段階のため確たる証明はされていませんが、採卵数が増えたり妊娠したという報告もあります。

卵子若返りの漢方はないが血行促進の漢方は効果あり

直接卵子を若返らせる目的ではありませんが、漢方は生薬でじっくり身体の調子を整えることで体質を改善し、血行を促進して卵巣機能の向上に繋がります。

これは、単にカイロなどで身体を温めるのではなく、漢方で健康な血液を全身に巡らせてホルモンのバランスを整えることで、卵巣に流れる血液を常に新鮮なものにしておく効果を狙っています。

卵子の若返りが期待できる食事や運動

では、本格的な病院での治療やサプリメントではなく、普段の食事や運動に気を付けることで卵子の若返りが期待できる方法はないのでしょうか。こちらも医学的に証明はされていない場合でも、不妊治療で悩む人達の間などで効果があったと報告されている症例はたくさんあります。

抗酸化作用の高い食べ物は卵子も大好き

ナッツ類やカボチャなどのビタミンEは、抗酸化作用があり肌や髪などのハリや艶を保つのに役立ちます。この抗酸化作用のある食べ物や女性ホルモンに似た働きのある大豆や納豆、豆腐などの豆類などを摂取することで体内のホルモンの活性化を図ります。和食の献立は、抗酸化作用のあるものを多く含むので、妊娠を希望している人は特に積極的に取り入れるとよいでしょう。

ミトコンドリアを活性する運動

ミトコンドリアを活性する運動とは、特にこのポーズをしなさいというものではありませんが、ミトコンドリアは、活発に身体を動かすと体内で増殖するといわれています。サプリメントだけに頼らずに、自分の体内にあるミトコンドリアを活性化させるためにも、適度な運動を日常的に取り入れてみましょう。

不妊治療は長く辛い治療になることもあります。家に閉じこもってストレスを溜めて過ごすよりは、外に出て散歩やジョギングをしてたくさんの呼吸をすることでも、体内の血流がよくなり、ストレスも軽減されてミトコンドリアも増殖します。いいことがたくさんあるので、少しずつでも運動を習慣にしてみましょう。

卵子自体を若返らせることは難しいが卵巣機能を活性化しより良い結果を得よう

卵子自体を若返らせることは現在の医学では不可能といわれていますが、それは医学として証明出来ていないという事実だけで、絶対不可能ということではありません。高額の医療をすすめるものでも、高額サプリメントを買うことをすすめるわけでもありませんが、何をしても絶対に無駄と証明されているわけでもありません。できる事ことから取り入れて、少しでもよい結果に繋がればよいのではないでしょうか。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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