子宮筋腫にはさまざまな種類があり、症状、治療法もさまざまです。今回は子宮筋腫があるけど、妊娠するには手術をしたほうがいい?手術を控えている方、今後手術をするかもしれない方に子宮筋腫の手術の方法、費用、術後の生活について紹介していきます。
子宮筋腫は婦人科の腫瘍でもっとも多い病気といわれ、女性の4人に1人が患っているといわれています。月経のある20代後半から40代が多いといわれています。卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が関係していて、閉経後は徐々に小さくなるといわれています。
悪性腫瘍になることはほとんどない良性の腫瘍ですが、放っておくと10kgを超えるような大きさになることもあります。子宮筋腫があるといわれて、症状がないなら様子をみましょう、大きくなったら手術といわれたら心配ですよね。
今回は、子宮筋腫の手術の種類、費用、妊娠への影響について説明します。
子宮は内側から子宮内膜(粘膜)、子宮筋層(平滑筋)、漿膜(しょうまく)の3層でできています。粘膜は子宮体部では子宮内膜といわれます。月に1回卵巣から卵子を排出すると同時に、子宮内膜を厚くし、受精卵を待ちます。着床しなかった場合にはがれて体外に排出するのが月経です。
子宮筋腫は平滑筋が増殖し、できるコブです。コブ(筋腫)のできる部位によって症状も違い、子宮筋腫といっても症状や治療が異なります。まず始めに子宮筋腫の種類をみていきましょう。
子宮筋腫は発生する場所によって3種類に分類されています。粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫です。1個だけでなく、複数個できることが多く、数や大きさ症状も違います。
子宮の内壁をおおう子宮内膜のすぐ下にでき、子宮内膜に向かって発達する腫瘍です。発生頻度が10%と少ないのですが、小さくても症状が強く、一番症状が出やすい筋腫です。そのため、発見されやすく患者の数も多いといわれています。不正出血や不妊の原因になります。
根元に茎があって子宮内膜に垂れ下がるものを有茎粘膜下筋腫(ゆうけいねんまくかきんしゅ)といいます。
子宮の筋肉の中にできる腫瘍です。子宮筋腫の約60%が筋層内筋腫です。小さいものは症状がないことが多いのですが、大きくなると不正出血や流・早産の原因となります。大きさもさまざまで大豆くらいの小さなものから握りこぶしくらいの大きさのものもあります。いろんな所にいくつもでき、大きく成長するのが特徴です。
子宮の表面を覆う漿膜の下にでき、外側に向かって成長する腫瘍です。そのため子宮が圧迫されることもなく、腫瘍が大きくならないと症状が出ません。子宮筋腫の約30%が漿膜下筋腫です。漿膜下筋腫のなかでも、根元に茎があって腹腔内に突出して発生するものを有茎漿膜下筋腫(ゆうけいしょうまくかきんしゅ)といいます。
これらの子宮筋腫が同時に2つ以上発生しているものを「多発性筋腫」、子宮頚部にできるものを「頚部筋腫」、大きくなった筋腫が重みで子宮の外へ出てきているものを「筋腫分娩」といいます。
子宮頚部に筋腫ができることはまれですが、尿路を閉塞してしまったり、膣内に出てくることもあります。
子宮筋腫のできる詳しい原因はまだ解明されていません。しかし、初潮前の女性には見られず、閉経後には徐々に小さくなっていくことから、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが子宮筋腫の発生・増大に関わっているのではないかといわれています。
子宮筋腫の半数以上が無症状で経過します。しかし、筋腫のできる部位によって痛みや出血などを伴うこともあり、症状も異なります。筋腫が小さければ症状は軽い、大きければ症状が重いということもありません。
症状は筋腫の種類や数、大きさによって異なりますが、多く見られる症状としては、過多月経、貧血、生理痛です。
粘膜下筋腫は1cm以下でも症状が重くても、出血量が多くなりひどい貧血を起こし動悸や息切れ、めまいなどの症状が伴うこともあります。
有茎粘膜下筋腫は筋腫自体がねじれることで陣痛様の激痛と出血を伴い、子宮から膣のほうに筋腫が出る筋腫分娩がみられることがあります。
粘膜下筋腫が子宮の内側に飛び出したり、子宮の変形、子宮の収縮を悪くすることで不妊や早産の原因となり、手術が必要な場合があります。
小さいときはほとんど症状がなく経過しますが、筋腫が4cmほどから症状がみられ、徐々に子宮も変形します。変形した子宮が強く収縮することで、下腹部痛、腰痛、過多月経、頻尿、便秘などを引き起こすことがあります。
筋層内筋腫も、できた部位や大きさによって不妊や流産の原因になります。
症状がほとんどなく気づきにくく、粘膜下筋腫・筋層内筋腫と比べると過多月経の症状は少ないです。筋腫がねじれてしまうと急激な腹痛が起こります。中には1~2kgと大きくなる筋腫もありますが、症状がないため見過ごされてしまいがちです。
漿膜下筋腫は、5?10cmくらいの大きさになると子宮が圧迫されて症状がでます。
実際の子宮筋腫の治療法にはどのようなものがあるのでしょうか。早速、見てみましょう。
子宮筋腫が見つかっても、症状がない場合は、筋腫の発育するスピードや症状を経過観察します。子宮筋腫が大きく、貧血や痛みなどの症状がひどい場合は薬によって症状を軽減したり、筋腫の成長を抑えることもあります。
子宮筋腫の薬による治療は、筋腫を小さくする目的で行うものと、筋腫による症状を改善するために行うものがあります。
子宮筋腫は女性ホルモンのエストロゲンが子宮筋腫の発生・発育に関係しているといわれています。そこで、GnRHアゴニストや男性ホルモン様の薬剤でエストロゲンの分泌量を抑え、一時的に卵巣機能を停止し、更年期の状態にし、子宮筋腫を小さくします。
点鼻薬、皮下注射があります。点鼻薬は1日に2?3回用い、注射は1ヶ月に1回皮下注射を行います。治療の効果によって子宮も半分の大きさになり、月経困難症や出血もなくなり貧血が改善しますが、更年期症状が現れてしまいます。長期的な投与は骨粗鬆症を起こしてしまうため、半年を目安としますが、治療を終了すると月経も再開し、症状も再発してしまうため、40代後半の方に行われたり、手術前に行うことがあります。
子宮筋腫が過多月経や月経困難を招いている場合、低用量ピルを用いて妊娠した状態を作ることもあります。低用量ピルを内服することで、排卵が抑制され子宮内膜が薄くなり、月経量が少なくなり、痛みも軽くなります。
妊娠希望がない場合に選択されますが、卵胞ホルモンの働きで筋腫が大きくなることもあるので、症状を抑えるための一時しのぎの治療となってしまうこともあります。
薬によっては、長期に内服することで乳がんになる可能性を高めたり、肝臓の機能を低下させたり、血液が固まりやすくなったりすることもあります。
子宮筋腫自体の治療ではありませんが、漢方薬によってホルモンバランスを整え、体質改善をめざす方法もあるので、医師や漢方の専門家に相談してみるのもいいですね。
薬物療法によって症状が抑えられない場合や、妊娠を希望する場合、急速に大きくなっていく場合には、手術が選択されます。
子宮筋腫の種類や症状、筋腫の発育スピード、悪性かどうか、妊娠は希望しているかなどを総合的に考え、治療法を決定していきます。
症状が軽く日常生活に支障がなければ、治療せずに経過観察することも多いですが、症状が重いときや筋腫が急速に大きくなっている場合、子宮筋腫が原因で妊娠しにくい場合に手術療法を検討することがあります。
手術には、筋腫部分だけを除去する筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)と、子宮を全て摘出する単純子宮全摘術の2種類があります。
単純子宮全摘術が選択されるのは、
子宮と卵巣の癒着がひどい場合は、単純子宮全摘術で卵巣も同時に取り除くことがあります。両方の卵巣を切除した後には更年期の症状が現れるため、通常は、閉経が近い方や、閉経後の方にだけ行います。
特に妊娠を希望する女性にとっては、子宮を摘出するかどうかはとても大きな問題となります。医師から十分な説明を受け、パートナーとも十分に話し合った上で決断するようにしましょう。
筋腫核出術が選択されるのは、
ただし、粘膜下筋腫は、1cm以下でも過多月経や生理痛といった症状が強い場合もあり、筋腫の直径が2cmほどでも手術を検討し、妊娠を希望している場合には筋腫核出術を行います。
子宮筋腫の手術法方法とメリットやデメリットについて調べました。早速、みていきましょう。
単純子宮全摘術で子宮を全部摘出すると、妊娠できなくなりますが、再発の恐れ、子宮がんにかかる心配はありません。卵巣は残るので、女性ホルモンが低下し、更年期障害がでることもありません。
単純子宮全摘術では、子宮筋腫の大きさ、癒着の可能性、悪性の疑いがある場合に腹式手術を選択します。腹式手術は縦に切る場合と横に切る場合がありますが、筋腫が大きい場合、癒着がある場合は縦に切ることを勧められます。
10㎝前後の大きな傷ができるため、医師とよく相談しておきましょう。
子宮の出口は残して、子宮を全摘します。腫瘍が大きいとき、癒着が強いときに選ばれる手術の方法ですが、傷が残る、痛みが強いといったデメリットがあります。
手術時間は平均1時間程度、短いと30分程度で終了します。
腟から器具を入れて子宮を取り除く方法で、皮膚を切らないため痛みは軽いです。しかし、お腹の状態が観察できず、手術も難しく限られた筋腫しか切除できないと考えておいたほうがいいでしょう。
皮膚を切らないので、お腹を切った痛みはありませんが、縫合したときの痛みが下腹部に出ます。開腹手術に比べると痛みは少ないため術後の回復も早くお腹に傷も残らないのがメリットで、手術時間は30分~1時間程度で終了します。子宮が大きくなっていたりすると手術時間も長くなったり、膣からの摘出が難しい場合もあります。強い癒着があれば、行うことができません。
腹腔鏡下手術はお腹に小さな穴を開け、そこからカメラを挿入しお腹の中を観察します。カメラがとらえた映像を見ながら手術を進めます。
腹腔鏡下手術と腟式手術を組み合わせることで、お腹の中の癒着状態が把握できます。
お腹にも5㎜~数センチの傷が3~4カ所残りますが、傷あとは目立ちににくいです。手術時間は2?5時間で終了します。
今後妊娠を希望される方は、筋腫核出術を選ばれます。しかし、筋腫だけを除去し子宮は残すため、筋腫が再発する可能性があります。
開腹手術のメリットとしては、術中に直接子宮に触れるためMRIで見えないような小さな子宮筋腫も核出できます。筋腫が多数ある場合に適しています。
妊娠・出産時に信頼できる強度の子宮層瘢痕形成(子宮の壁の傷跡)が行えます。デメリットとしては手術創が大きく(10㎝前後)入院期間が長くなり、おなかに手術創瘢痕が残ってしまうことが挙げられます。
子宮頸部にごくまれにできる頸部筋腫の手術には腟式手術が選ばれます。腟から器具を入れて筋腫を取り除く方法で、皮膚を切らないため痛みが軽い半面、お腹の状態が観察できず、手術が難しいのが難点です。
筋腫核出術で現在主流になっているのは腹腔鏡下手術。お腹に小さな穴を3?4カ所開け腹腔鏡(カメラ)を入れ、モニターで中の様子を確認しながら行う手術で、筋層内筋腫と漿膜下筋腫に適応しています。傷口が小さく痛みが少ないですが、視野が狭いため細かい作業が難しく、筋腫が大きい場合は行えないのがデメリットです。また、手術中に予期しない出血があった場合や、癒着が強く広範囲にわたっている場合は、腹式手術に移行することがあります。
子宮鏡下手術は粘膜下筋腫の場合に行われます。腟から子宮鏡(レゼクトスコープ)を入れ、子宮内の様子をモニターで観察しながら、子宮鏡の先についた器具で筋腫を取り除きます。粘膜下筋腫は子宮の中の赤ちゃんが入る場所に出来るため、子宮鏡で、筋腫の状態を細く見る事ができます。
お腹に傷が残らず、身体への負担が軽いのがメリットで、病院によっては日帰り手術も可能です。筋腫が大きい場合は手術を数回に分けて行う必要があったり、この方法では不可能と判断されることもあります。
大きさや数により日帰りから数日の入院で帰る事ができるのが普通です。手術時間は30分~2時間で終了します。
子宮筋腫には新しい治療方法もあります。メリット、デメリットをみていきましょう。
子宮動脈塞栓術(UAE)は子宮全摘術や筋腫核出術に代わる新しい治療法で1990年代より行われています。
足の付け根からカテーテルを入れて血管造影を行い、子宮の栄養血管に塞栓物質を入れることで、一時的に栄養血管に支えられている子宮筋腫が壊死し、縮小します。
子宮は子宮動脈から約8割、その他の毛細血管から約2割の血液を受け取っているので、一時的に血流が不足しても影響はありません。
また、血管を詰まらせるために使う塞栓物質のゼラチンスポンジは、自然にとけるので徐々に血流は復活し、治療前と同じ状態に戻ります。
しかし、妊娠・出産を希望する場合は子宮内膜に与える影響から原則適応外とされています。筋腫の数が多く核出術が難しい場合には、UAEは施行できますが、卵巣機能が低下し閉経する場合、子宮内膜が癒着して不妊になる場合、流産、切迫早産、子宮破裂、産後大出血、癒着胎盤などの妊娠・出産上の重篤な合併症の報告があるため、しっかりと医師と相談しましょう。
UAEはX線を用いるため少量ですが、卵巣の放射線被曝が生じます。
UAEによって90%以上の方が子宮筋腫が小さくなりますが、個人差があり、再発の可能性もあります。
MRIのモニターを見ながら1本1本の微弱な超音波を束にして一点に集中させ、筋腫核の芯まで超音波を照射していきます。筋腫にのみ熱を発生させるので、皮膚を傷をつけることがありません。
入院期間は日帰りできるものから、14日まで術式によって開きがあります。確認していきましょう。
子宮筋腫の手術費用はいったいどのくらいかかるのでしょうか。早速、みてみましょう。
健康保険の適用があります。
健康保険の適用があります。
UAEは40?60万円かかっていましたが、2014年4月以降、UAEは健康保険の適用となりました。使用した塞栓物質の本数により、変動しますが、4本使用で3泊4日の入院で3割負担の場合、14万円前後となります。
FUSは新しい治療方法で健康保険の適用外で50?80万円と高額な費用がかかります。
子宮筋腫の手術の費用は保険が適用されるのでしょうか。早速、見てみましょう。
入院費のうち、健康保険が適用されるのは手術費用などの治療費と診察料や看護料などの入院基本料だけです。保険が適用されないものには差額ベッド代、食事費、シーツ代などがあります。
健康保険には「高額療養費制度」という給付があります。高額療養費制度とは、1カ月に自己負担する医療費の上限を超えた分が給付されるという制度です。上限額は年齢(70歳未満か以上か)と年収によって決められています。年収によって変わりますが、70歳未満で年収約370万円~約770万円の人では約9万円です。
高額療養費を受けるには、高額療養費の申請、限度額適用認定証の発行は、国民保険の方は、各市町村の国民健康保険窓口、社会保険の方は、勤務先又は保険者に問い合わせる必要があります。「限度額適用の認定証」があれば、それを入院先の病院に提出することで、病院は上限額が超える分を健康保険に直接請求してくれるので、患者に請求するのは自己負担の上限額までとなります。つまり、窓口で高額な支払いをする必要もなく、上限額の約9万円の支払いですみます。
FUSは新しい治療方法で、健康保険の適用外なので50?80万円と高額な費用がかかります。民間の医療保険に加入している場合は、その保険で自分の手術が給付の対象になっているか確認しておくことも大事です。
1年間の間に支払った医療費が10万円を超えた場合には確定申告すると、超過分が所得から差し引かれる制度があります。医療費控除は保険の適用の有無によって決まるものではありません。治療目的のものであれば対象になります。
医療費は、民間保険や高額療養制度による給付金は差し引いて計算されますが、所得控除により源泉徴収されている税金の一部が還付金として戻ってくることもあります。
子宮筋腫の手術のあとには生活にどのような影響があるのでしょうか。早速確認していきましょう。
退院してから仕事に復帰するまでの期間は、手術の方法や術後の状態、仕事内容により変わります。職場復帰は、腹式手術では4週間程度、腹腔鏡下手術は1~2週間、腟式手術は数日、子宮鏡下手術は1~4日程度を目安にしておくといいでしょう。
仕事も事務系の仕事から、介護の仕事まで身体への負担もさまざまです。医師へよく相談しておきましょう。
手術後、傷口からしばらく出血することもありますが、出血が少なく数日間で止まるようであれば問題はありません。しかし、出血が続く場合は、止血処置や再手術を行う必要があるので、医師へ相談しましょう。
術式や個人差にもよりますが、1~2週間ほどは続くようです。開腹手術であれば1カ月は痛み止めが必要だった方もいます。どの術式でも術後3カ月くらいには元の生活が送れるようになるようです。
手術した器官や組織が、お互いに接触したまま組織の再形成が行われるため癒着が起こります。術後に多少の癒着が起こっても、通常は問題になりませんが、卵管が腹膜とくっついたり、卵管が閉塞し卵が通過できなくなると痛いだけでなく、不妊の原因となります。
手術後、できるだけ早くベッドから離れて、軽く体を動かすだけでも腸などの癒着防止に役立つことがあります。
子宮内は無菌状態ですが、手術によって菌が少なからず入ることになるため、手術の前から抗生剤を投与し予防しますが、まれに感染症を起こすこともあります。また、手術をすると身体の防御反応で血が固まりやすくなり、手術後に必要以上に安静にすることで血行が悪くなり、血栓症が起こりやすくなります。血栓症を予防するためにも、術後は早期に身体を動かすことが大切です。
単純子宮全摘術以外の手術では、子宮を残すため子宮筋腫が再発する可能性が約20%あるといわれています。
子宮筋腫があると妊娠はできないのでしょうか。手術が必ず必要なのか気になりますね。見てみましょう。
子宮筋腫があると、受精卵が着床しづらく、初期流産を引き起こしてしまうリスクが高まります。また、卵管付近の筋腫では、卵管自体を閉塞させて受精卵の移動を妨げてしまうことがあります。明らかに不妊の原因となっている場合には、子宮筋腫の摘出手術を行うこともありますが、100%自然妊娠できないわけでもないので、大きさや部位など医師と相談し治療法を選択する必要があります。
妊娠中は筋腫の状態が変化する筋腫の変性が起こることがあります。ときに強い痛みを伴うこともあります。原因は定かではありませんが、妊娠による子宮の血流の変化が原因と考えられ、流産・早産のリスクにもなります。胎盤が子宮筋腫を覆うようについた場合には、胎盤への血流が妨げられ、流産・早産、常位胎盤早期剥離などを引き起こすリスクが高まります。
また、子宮筋腫が複数個ある場合は、子宮腔が変形し、前期破水や前置胎盤を起こす恐れもあります。
子宮筋腫の大きさやできている部位によって、出産のときに赤ちゃんが産道を通る妨げとなるため、帝王切開での出産となる可能性があります。また、筋腫により子宮収縮が妨げられ微弱陣痛を引き起こしたり、分娩のときに出血が多くなることもあります。
また、出産後も、胎盤が出た後の出血が増えたり、子宮がうまく収縮せず悪露が長く続くといったこともあります。筋腫核出術の傷が子宮筋層深く内膜近くまで及んだり、多数の筋腫を除去した手術の後には、子宮破裂のリスクが高まるため、帝王切開になることもあります。
単純子宮全摘術を行なった場合には、子宮を取り除くため、生理はなくなります。筋腫核出術を行なった場合には生理は通常どおり来ますが、手術前にホルモン療法を行なっているときはその影響で術後数ヶ月間生理が来ないこともあります。
手術後は感染症予防のためにも性交渉を避ける必要があります。筋腫核出術では手術後1ヶ月後、単純子宮全摘術では3ヶ月後を目安とするようですが、術後の経過にもよるので、医師と相談しましょう。
腹腔鏡手術では、子宮の状態が回復すれば妊娠は可能となるので手術後1~3ヵ月くらいで正常な排卵が見られます。手術後2回目の排卵があれば妊娠自体は可能ですが、子宮が回復していない状態で妊娠した場合、胎児の成長によって子宮が大きく伸び子宮破裂の危険性があるため、6カ月以降の妊娠が望ましいとする産婦人科医が多いようです。
子宮破裂は胎児だけでなく、母体の命にも関わることになります。また、確率は低いですが、子宮筋腫核摘出術を行った後、出産のときに子宮破裂が起こる事もあるので、出産は帝王切開で行われることになります。
子宮筋腫は基本的には良性腫瘍なので、検査で見つかったからといって大きな心配をする必要はありません。しかし、痛みや出血などの症状があったり、妊娠・出産に影響が出ることもあるため、産婦人科医とよく相談し、治療を検討していく必要があります。
手術の方法にも種類があり、どの手術にもメリット、デメリットがあります。自分にとって最適な治療は何かを医師やパートナーと相談し、納得し前向きにゆったりと構えて手術に臨むことがとても大事です。