人工授精とは、精子を採取して人工的に子宮に注入する不妊治療の一つです。体外受精と混同されがちですが、体外受精は精子だけでなく卵子も取り出し、受精卵を子宮に注入します。ここでは、人工授精の仕組みや、高額なイメージのある料金について解説します。
人工授精と聞けば、海外で行うイメージが強いですよね。そのせいか、治療費だけでなく、飛行機代やホテル代のことまで考慮してしまい、費用が相当かかると思いがちかもしれませんね。しかし、日本でも不妊治療の一つとして導入され、徐々に浸透しつつあります。
人工授精自体に時間はかかりませんが、実際に日本で行う場合、どのくらいの検査や準備期間があるのか、どのくらい値段がかかるのか、どのようにして行われているのかを解説していきます。
第三者によって施されているので「人工」とついてますが、本来の受精とほぼ同じ状態で、副作用もなく安全に行われています。ここでは、人工授精がどのようにして行われているのか、どういう人に多いのかについて説明していきます。
タイミング法とは、いわば生理期間から排卵日を予測して性交することで、妊娠をしやすくする方法です。病院を利用しなくてもできますが、基礎体温を測って超音波検査を受けたり、排卵誘発剤を使用したりすることで成功率を上げていきます。それでも妊娠しなかった場合は、人工授精へと移ります。
1.排卵日の予測
超音波検査や尿検査、血液検査を受け、卵胞の大きさや子宮内膜の厚さを調べることで、排卵日を予測します。時期が迫ってきたら、人工授精の日程を決めます。成功率をあげるために、排卵誘発剤を使用することもあります。
2.人工授精
男性は、当日に自宅か病院で精液を採取するか、あらかじめ精液を病院に預けて冷凍保存します。その精液を、濃縮・洗浄して正常な精子を選び、注入器に入れて子宮に注入します。
時間は1~2分程度ですが、人によっては痛みを感じることもあります。その後の生活は、普通に過ごしても大丈夫ですが、生理がなかなか来なければ、再検査のために病院にいく必要があります。
人工授精を受ける患者は不妊治療が目的ですが、不妊の例は次の通りです。
以上のことから、男性不妊の割合が多いですが、原因不明のパターンも多いようです。原因は果たしてなんなのか、本当に人工授精を受けるべきなのか、検査して診断する必要があるので、夫婦で一緒に来院することをおすすめします。
人工授精をする前に行われる検査にもさまざまな方法がありますが、場所によっては、値段や方法が変わってきます。どの病院やクリニックで、どのような方法があるのかを調べたうえで、自分に合った検査方法を探していきましょう。
超音波検査は、膣内に超音波を出す機器を挿入することで、子宮や卵巣の状態をみる検査方法です。保険は適用されますが、回数制限が病院によって異なり、上限を超えると自己負担になります。
その場合、値段は1,500~3,000円程度が一般的だといわれてます。
女性の卵子は、生まれたときから数が決まっており、増えることはありません。しかし、年齢が進むにつれて、卵子の数は減っていきます。卵巣年齢検査をすることで、卵子の数を調べられますが、質までは把握できません。
ただ、この検査を受けることで不妊治療ができるか、また、どれくらいの期間があるのか参考になります。検査方法は採血で行うのでいつでもできます。保険適応外なので自費診療となり、1回5,000~1,0000円ぐらいかかります。
卵管通水検査とは、卵管を水洗いすることで詰まりがないかを調べる検査です。排卵日前に行われますが、子宮内に細い管を入れ、そこから生理食塩水を出すので、個人差によって痛みが発生することもあります。
また、水洗いで詰まらないようにするので、不妊治療の一つとしても行われています。こちらは、保険が適応されますが、3,000~8,000円かかります。
病院やクリニック、産婦人科医で受けられる不妊治療ですが、費用はできるだけ抑えておきたいですよね。不妊治療に保険はかかるのか?そのことを説明していきます。
タイミング法をより確実にするために、産婦人科で検査を受けますが、保険が適用されるので、指導のみの場合は2,000~3,000円です。しかし、超音波検査や排卵誘発剤を導入し、さらには回数が増えていくと、1,000~2,0000円かかることもあります。
また、年齢によっては、すぐに人工授精か体外受精を受けるように忠告されることもあるので、医師への相談は早めにしたほうがよいかもしれません。
人工授精は保険がきかないので自由診療扱いとなります。また、病院側で値段を決めているため、場合によっては高額になるケースも。相場は1回あたり1,0000~3,0000円とされていますが、病院や回数によって金額の差が出てきます。
こちらも、年齢が過ぎていくと成功率が下がるため、体外受精を受ける可能性があります。体外受精も同様に保険がきかず、費用も人工授精より高くなっています。しかし、所得や自治体によっては、助成金や補助金を提供してくれることもあるので、体外受精を受けるときは事前によく調べておきましょう。
パートナーとしっかり話し合ったうえ、検査や期間を経て人工授精を行いますが、必ずしも成功するとは限りません。成功率は一般的には15%くらいですが、40代の成功率は格段に低く、何回も繰り返すと妊娠の成功率は下がってしまい、体外受精に変えるようすすめられることもあります。
また、妊娠に成功しても、体調管理や思いがけない事故で流産、中絶する恐れがあるので、パートナーはできる限りサポートしましょう。子供を育てることは家族の仕事です。お互いを尊重しあい、よりよい家庭を築きましょう。