着床を最短で発生させたい、どのくらいが目安なのかと疑問に思う人は少なくありません。なかなか妊娠にはいたらずにどうしたらいいか思い悩んでいる人、これからの妊娠の知識として身に着けたい人向けに、着床までの最短日数を含め基礎知識をお伝えします。
子供を授かる妊娠は、女性にとって人生における一大イベントです。体にかかる負担も大きいですが、子供を授かって母になるためには、どうしても避けられません。ところが、なかなか子供を授かれずに、悩む人もたくさんいます。
妊娠するためには、まずは受精卵が子宮に着床しなくてはなりません。しかし「どうしたら着床を知ることができるのか分からない」と悩む人のために、排卵、受精、着床と進んでいく過程の基礎知識や、最短で着床が起こりうる日数をお伝えします。
そもそも着床とは、受精卵が子宮内膜に根を下ろした状態のことです。子宮内膜は子宮の内側に存在し、生理のサイクルに合わせて、赤ちゃんのためにふかふかとしたベッドのような層を形成します。その層は、生理の際に経血として脱落する層と、普段から子宮の内側にある部分の、大まかに分けると2層に分類されます。
よって受精卵は、母体から血液などを受け取れるように、子宮内膜の奥深くへもぐりこんでいく必要があります。そして、無事に血液や酸素などを受け取れるようになれば、着床したということになるのです。
一般的に、着床が最短で起こるのは、受精から7日といわれています。受精卵は、受精してすぐに子宮内膜にたどり着くわけではありません。
まず、卵巣から放出された卵子は、まだ子宮にも卵管内にもいません。受精して初めて、子宮へとゆっくり動き始め、7日目になるまでは、まだ子宮内でふわふわと浮かんでいます。子宮内膜にもぐりこむときに使う、絨毛(じゅうもう)という根っこのような組織がまだできていないためです。
したがって、この7日目が過ぎるまでに、受精卵が子宮内にたどり着くことが大切です。もしも子宮の外に出てしまえば、くっつく場所もなく成長するための栄養ももらえないので、妊娠できません。また、たどり着けなかった場合は、卵管に張り付いてしまい「子宮外妊娠」が起こる要因にもなってしまいます。
生理とは、受精が起こらずに不要になった子宮内膜が、体内から排泄される状態です。この生理と排卵日の間の日数は、14日といわれています。よって、生理が起こる次回の予定日から14日を引くことで、おおよそのタイミングが分かります。
しかし、卵子と精子には寿命があります。精子は一度放出されると、2日~3日ほどは女性の体内で生きています。ところが、この時間内に卵子にたどり着けなければ、卵子を受精卵にはできません。
そして、一般的に卵子の寿命は24時間、しかも受精できるタイミングは8時間ほどしかないため、受精卵にできる精子と受精卵になれる卵子が出会うことは、とても貴重なタイミングなのです。したがって、排卵から24時間以内が、もっとも受精しやすい期間となります。
無事に卵子の中に精子が潜り込んで受精できたら、35時間ほどかけて細胞分裂を繰り返し、およそ3日~4日ほどかけて卵管を通って子宮へと向かいます。もしもこのときに、何らかの事情で細胞分裂が進まなかったり、卵管を通り抜けられなかったりすると、受精卵はきちんと成長できないか、あるいは子宮以外の場所で育ち始めてしまいます。
この受精卵が子宮内に入ったあとで、しっかりと厚みを持った子宮内膜から合図が出るので、それを目安に受精卵は子宮内膜へ向かいます。絨毛(じゅうもう)という手足のようなものを伸ばしつつ、子宮内膜の奥へ取り付くことができたときに、着床となります。このとき、まれに(50人に一人程度)着床出血が起こる人もいます。
【参照リンク:http://www.ivf.co.jp/?page_id=15】
まず、受精卵が誕生するまでに1日~2日ほどかかり、さらに卵管を通り切るまでに3日~4日かかります。そして、子宮内で子宮内膜が十分な厚みに成長するまで待機するので、ここでもう2日~3日かかります。さらに、着床が完全に完了するまでに、ここから5日~6日かかります。
結果として、排卵日から着床までが、すべて最短で起きた場合は7日間、最長で10日間ということになります。また、完全に着床が完了するまでも含めると、最短でも12日前後を要するのです。ただし、個人差があるため、必ずしも最短で着床するとは限らず、また日数が長かったからといって問題があるわけでもありません。
「できれば短期間で着床して欲しい」と希望する人も多いでしょう。排卵が起こってからの数日間が、最短で着床がおこる時期と考えられます。特に生理日の14日前、低温期が終わって高温期に入る1~3日の間が、最も排卵が起こる確率が高い時期です。したがって、日ごろから自身の基礎体温を把握しておく必要があります。
また、その時期の過ごし方も重要になります。夜に排卵が起こる可能性が高く、また分裂も進むとされるので、基本的には22時に、遅くとも0時には眠れるようにすることが大切です。食事面では、肉や魚などの良質なタンパク質をたっぷりと摂取し、卵胞の成長を促していきましょう。
着床を確認する方法は、大きく分けて3つあります。まずは、血中のhCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)を継続して検査すること。次に、妊娠検査薬を使用すること。そして、自らの体調の変化で知るという3つです。しかし、妊娠の超初期段階は妊娠検査薬も反応しないので、どの方法も「絶対」ではないようです。
安定して着床する、つまり妊娠が確実に分かるのは、2週間以上は経過しないと難しいといわれています。また、自らの体調の変化の場合も、実際はホルモンバランスの変化によるものだったりと、正確ではありません。
血液検査や妊娠検査薬などを使用して、数値を見ることで、着床したかどうかを調べる方法について解説します。
着床が成功すると、女性の体内ではそれ以上卵子を放出したり、次の生理の準備が行われたりしないように、hCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)を大量に放出し始めます。このホルモンは胎盤から放出されるので、血中のhCGが放出されていることが確認できれば、着床したということが分かります。
血液検査によって、より正確に確認するためには、排卵後16日が過ぎてからの検査が推奨されています。
【参照リンク:https://www.haramedical.or.jp/content/vitro/000152-2】
生理開始予定日から1週間が過ぎた頃に、妊娠検査薬を使用すると、着床したかどうかがわかるようになります。基本的には2つのポイントがあり、尿中のhCGの数値が50mIU/mLを超えると、陽性反応を示します。しかし、この陽性反応を示す濃度に至るには個人差が大きいのです。そのため、確実に判定できる1週間を過ぎたあたりを目安に、使用するようにしましょう。
早い段階で検査薬を使用して、妊娠していないと判断することは要注意です。そこで飲酒や喫煙を開始してしまうと、実は妊娠できそうだったのに、結果としてできなかったという場合もあります。
まれに、体調の変化として着床を感じる人もいます。先輩ママたちの「着床を最短で知った体験談」をいくつか簡単に取り上げます。
このような症状があり、病院で検査を受けたら妊娠が分かったというケースもあります。しかし、これらは気のせいであったり、たまたまそうだったということもあるので、絶対的なものではありません。
着床をきちんと把握するためには、まずは自分の生理周期や生理の期間などを、きちんと知っておく必要があります。また、正しい知識を身に着けることも、赤ちゃんと自分の体、そしてパートナーを守るためにも、とても重要です。
体内で起こることは個人差が大きく、たとえ最短での着床が発生しなかったとしても、焦る必要はありません。それぞれのペースで、妊娠に向けて着実に体調を整えながら、しっかりとした心構えを持つことのほうがとても大切です。