2018.07.05

排卵障害の原因と症状。妊娠を望む場合の改善方法や受診のタイミング

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女性の不妊の原因の多くに「排卵障害」があげられています。女性ホルモンが何らかの原因で分泌がうまくいかずに、機能の低下につながり無月経や無排卵などの状態になります。症状や、受診するタイミングなどを知ることがとても大切です。

排卵障害に悩む女性が多くいる

排卵障害は、女性の不妊の約3割といわれています。排卵障害は「排卵に関係するホルモンが何らかしらの原因により正常に機能しないため妊娠しにくい状態」のこと。排卵状態の有無や、月経の周期を知っておくためにも基礎体温を測る習慣をつけましょう。

排卵障害の原因とは

排卵障害の原因は、人によってさまざまですが、女性ホルモンの分泌に関係している、視床下部、下垂体、卵巣の主な3つの部分のどこかで異常が起きてしまうと排卵障害になってしまいます。その中でも視床下部が原因で起こることが多い排卵障害。

自律神経のひとつでもあるので日常生活の乱れ、無理なダイエットや肥満、ストレスなど、心因性なものも異常をおこす可能性が高いといわれています。

痩せすぎや太り過ぎは注意が必要

体重の管理はとても大切です。排卵に大切な女性ホルモンの働きは、「増減3kg」で分泌量が変わるといわれています。

痩せすぎの場合が続くとホルモンのバランスの崩れや、卵巣が硬くなってしまったりすることで無排卵や無月経を引き起こす原因にも。

太りすぎの場合も続くと内臓脂肪が増えて、ホルモンのバランスが崩れて排卵障害を引き起こすことになります。また、この繰り返しで月経不順や無排卵になることも。常日頃から「適正体重」を知っておきましょう。

重度の子宮内膜症は排卵障害の原因に

子宮内膜症が卵巣内に発生するとたまってしまった血液が、嚢胞を作ります。その嚢胞の位置や大きさにより正常な卵巣機能の妨げの原因になります。

また骨盤内の臓器どうしが癒着をして卵巣からの卵子を放出、卵管からの卵の取り込みなどができなくなり不妊の大きな原因にもなりかねないので、定期的に検診を受けましょう。

不規則な生活やストレス

原因のひとつには、「心因性」によるものも。不規則な生活習慣が続き、寝不足や偏った栄養バランスでの食生活。また過度な圧力などを感じて極度の緊張状態なども、ホルモンバランスが大きく乱れる原因に挙げられます。

これらが原因で排卵が起きていない、月経不順などの排卵障害を引き起こすことに。女性ホルモンは、脳内にある「視床下部」「下垂体」と「卵巣」などが連携していることから、これらのどこかに異常をきたすとホルモンバランスは崩れてしまいます。

規則正しい生活を心がけて、心身ともに負担がかからない生活を心がけましょう。

排卵障害のよくある症状

排卵障害の主な症状は月経不順や、無月経や無排卵などが挙げられます。先ほども見てきた通り排卵障害には、視床下部の異常の原因に急激なダイエットや肥満、ストレスなどの心因性のものといわれています。

そのほかにも不規則な生活や機能性出血などの症状があらわれることもあります。いつもと違うと感じた場合、できるだけ早く専門医を受診することが大切です。

体重の大きな減少で月経不順に

体重と排卵の関係性はとても強いもの。肥満の場合は、余分な内臓脂肪がついてしまうと、ホルモンに影響が出やすいといわれます。

さらに、短期間に大幅なダイエットなどをおこなうと、排卵が止まってしまうことも。また女性ホルモンのエストロゲンが卵巣から分泌されなくなることもあり、無月経の状態になる場合もあります。

急激な体重な変化は体に無理が生じます。適度な運動とバランスの良い食生活を心がけることや、専門医に相談しながら進めることも大切です。

無排卵月経による機能性出血

炎症や腫瘍など、特別な疾患もなく、月経の時期でもなく出血することは「機能性出血」です。ホルモンバランスの乱れから子宮内膜がはがれて出血がおきますが、無排卵の出血がほとんど。

主な原因として「ホルモンバランスの乱れ」「ホルモンの分泌量の減少」「下垂体の働きの低下」「卵巣の機能の低下」などです。

出血がなかなか止まらない場合や、出血量が多い場合は早めに婦人科で受診しましょう。

排卵障害と病気の可能性

排卵障害が原因であったり、また病気の症状のひとつが排卵障害であったりと関係性があるものが多いです。中でも「多嚢胞性卵巣症候群」「高プロラクチン血症」「甲状腺ホルモン異常」などが挙げられます。異常に早く気づくためにも、「基礎体温」をつけることが大切。また早期に治療を始めるための参考になりますので、自分の体を知るためにもとても欠かせないことです。

排卵障害に多い多嚢胞性卵巣症候群

卵巣の内側に小さな卵胞が連なって詰まっている状態で、大きく育った卵子が卵巣内から飛びだすことができないような症状の排卵障害が、約9割といわれています。

症状は、無月経や月経不順、不妊、不正出血、男性ホルモンの過剰などがあります。

若い女性によく見られる高プロラクチン血症

妊娠していないにもかかわらず、下垂体から、プロラクチンというホルモンの過剰分泌により排卵や月経を抑制してしまい、排卵障害を引き起こすこと。

プロラクチンは出産後に多く分泌されるホルモンで、母乳の分泌を促したり、産後の母体を回復するための効果作用があるものです。妊娠していないのに、母乳が出たり月経不順や無月経、不正出血などが続く場合はできるだけ早目に受診をしましょう。

ホルモンバランスが崩れる甲状腺ホルモン異常

甲状腺ホルモンは、女性ホルモンのバランスを保つ役割をします。卵胞を育てたり、排卵を促す作用も。また、甲状腺ホルモンが不足すると卵胞が育たなくなり、無排卵や排卵障害の原因にもなります。

また、甲状腺ホルモンの分泌量の異常により、甲状腺疾患を引き起こすことも。甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる「甲状腺機能亢進症」、甲状腺ホルモンが分泌不足にある「甲状腺機能低下症」があります。

甲状腺のホルモンバランスの乱れはそのまま女性ホルモンの分泌異常につながるため、排卵障害や不妊の原因にもなるので早めに専門医(内分泌科系の内科医)での検査、受診が必要です。

排卵障害と不妊症の関係性

排卵障害は不妊症の原因のひとつ。排卵がない状態では、受精はできず、妊娠はしません。妊娠を希望する場合は、排卵障害の原因を知り、治療するための検査を早目に受けることが大切です。

不妊症は排卵障害が原因の場合もある

不妊症の原因のひとつでもある排卵障害ですが、排卵障害が原因の不妊症は、全体の約30%といわれています。排卵障害がおこっていると、自然妊娠ではとても難しくなります。排卵がなければ受精しないためです。排卵の有無を知るためには日ごろから、基礎体温をつけることを習慣にしましょう。

また、排卵障害が原因の可能性があるときの検査は、問診以後「血液検査」と「超音波検査」は必ずおこないます。血液検査では、採血した血中に含まれるホルモンの値を測定。これにより排卵の妨げになっているものの有無を調べることができます。

超音波検査は、卵巣の状況を確認するために受ける検査のこと。特に「卵胞」の様子が確認できますので、卵巣のなかの疾患などが発見できます。

両検査とも測定のタイミングにより数値などの変動があるため、何回か測定して状況を把握することになりますが、排卵傷害の疑いがある方は頭に入れておきましょう。

妊娠を希望する場合はすぐに病院を受診する

妊娠を早い時期に希望する場合は、できるだけ早めに受診をしましょう。状況に合わせて、排卵障害が原因の不妊の場合の検査や治療方法が、変わっていくことがあります。

排卵障害の原因が、視床下部や、下垂体の場合は排卵を促す薬物治療などを積極的に使用することも。排卵誘発剤を使用して卵胞の成長具合などをみていく方法や、最近ではAMH(抗ミュラー管ホルモン)で卵巣の予備能をみる指標として注目されています。

排卵が改善されて、排卵が起こるようになれば、妊娠する確率は上がりますが確実ではありません。医師と相談しながらステップを進めていくことが大切です。

排卵障害の改善方法

排卵障害の改善方法には正しい生活習慣、栄養バランスの整った食生活などもとても大切な方法のひとつです。生活習慣を見直し、ストレスのない生活を心がけていくことで排卵障害の改善や、予防につながります。

カフェインやアルコール摂取を控える

アルコールがよくないといわれている原因は主に2つあります。体内にアルコールが入ると分解するために、活性酸素が発生。活性酸素そのものは体内で良い働きをする物質ですが、過度に発生してしまうと、排卵を妨げてしまう可能性があるため。

またアルコールは、分解する際に血流が悪くなり、ホルモンの分泌に影響を与えてしまうことがあります。それにより女性ホルモンの乱れから排卵障害などを引き起こすことがあるので、できるだけひかえることが必要です。

カフェインの場合も飲む量やタイミングによって、女性ホルモンの分泌妨げにより月経周期が不安定になってしまうことや、体を冷やす作用があるカフェインは不妊の原因にもなる冷え性を起因、悪化させてしまうことがあるので、できるだけ体を温める成分のものを摂取したほうがよいでしょう。

正しい食生活を心掛ける

日頃から正しい食生活を心がけることで改善予防につながります。「1日3食食べること」「適量摂取」「栄養のバランスを考えて、種類を多くとること」です。

また食材の中からでも女性ホルモンを増やすことができます。エストロゲンを補うためにも「大豆イソフラボン」「ビタミンE」「ビタミンB6」などの栄養素を積極的に取り入れていくこと。また取りきれないものをサプリメントで補うことも良い方法です。

正しい食生活やストレスをためない生活習慣をこころがけて排卵障害が原因の不妊を改善、予防していくことができます。

正しい食生活や生活習慣を心がけ排卵障害を改善しよう

生活習慣や食生活を見直してストレスをためない日常生活を送ることや、体の状況を把握することや、専門医に受診する際の大切なデーターになる「基礎体温」をつける習慣をつけましょう。排卵障害は、原因により治療法もさまざまです。異常や不安を感じたら、先延ばしはせずに専門医に相談しましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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