2018.07.05

「生理中の性行為」は危険なのか。妊娠する可能性やリスクを知ろう

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生理中に性行為をしたくなるのは変なのだろうかと思っている方、安心してください。生理中に性行為をしたくなる女性は案外多くいます。ですが、生理中に性行為をするのは危険なのではないかと疑問に思うこともあるでしょう。そんな疑問にお答えします。

生理中に性行為はしても大丈夫か

生理中にもかかわらず、性行為をしたいと思われる女性の方もいらっしゃるでしょう。そんな気持ちになっても、生理中に性行為をしてもよいのか悩んでいる方も多いでしょう。また、パートナーの方もどんなリスクがあるのかよくわからず、不安に思っているかもしれません。生理中に性行為をすることで伴うリスクについて一緒に考えてみましょう。

生理中の女性の性欲について

彼女が生理中だと、求めてもよいのか迷いますよね。そんなパートナーの方も気になる生理中の女性の性欲についてみていきます。ここで生理中の女性がどのような気持ちでいるのか知っていきましょう。また、生理中なのにこんな気持ちになってしまってどうしようとお悩みの方も、ここですっきりさせましょう。

女性も生理中にも性行為したくなる

女性なら生理中なのに性行為をしたくなり、どうしたらよいのか戸惑う方もいるでしょう。生理中に性行為をしたくなるかどうかというアンケートによると、女性の約60%が生理中に性行為をしたくなると回答しています。数字からみられるように、生理中に性行為をしたくなってしまうという方は意外と多くいるのです。実は、生理中に性行為をしたくなる原因があります。

女性が性行為をしたくなる原因

女性は、エストロゲンとプロゲステロンという二種類の女性ホルモンとテストストロンという男性ホルモンが分泌されています。生理になると、この二つの女性ホルモンの分泌量が減ってしまいます。

その一方で、男性ホルモンの働きが強くなるのです。実は、女性には男性ホルモンが女性ホルモンのなんと10倍もあるのです。この男性ホルモンの働きの影響を受けて、生理中に性欲が増すといわれています。女性が生理中に性行為をしたくなる原因は、ホルモンが関係していたのです。

生理中の性行為は生理痛を和らげる効果がある

生理になると、女性の多くが生理痛に悩んでいるのではないでしょうか。そんな不快な生理痛ですが、実は性行為をすることで痛みが緩和できるといわれています。

その原因には、体内から分泌される二つのホルモンが関係しているのです。それは、エンドルフィンやオキシトシンというホルモンです。これらのホルモンは性行為中のオーガズムによって分泌されます。実は、この二つのホルモンには、鎮痛効果があります。これらのホルモンが影響して、生理痛が緩和されるといわれています。

生理中の性行為でリスクが高くなる感染症

生理中に性行為をすることで、生理痛が緩和されるといったメリットもあります。しかし、生理中に性行為がしたくなるとはいっても、注意しなければならないこともあります。それは、感染症です。とくに、生理中は膣も敏感で傷つきやすく、免疫力も低下しているため感染症にかかる可能性が高くなります。お互いが嫌な思いをしないためにも、起こりうる感染症をしっかり理解しておきましょう。

性器クラミジア感染症について

性行為により感染する性器クラミジア感染症は、世界で一番感染率の高い感染症です。クラミジアは主に性器に感染し、女性の場合子宮頸管炎、さらに骨盤内まで炎症が進むと骨盤内炎症疾患を引き起こします。

しかし、クラミジアに感染していても、軽い痒みや痛みであったり、まったく症状がでなかったりするため、80%の方に自覚症状がないといわれています。また、男性側も感染してしまっていても50%の方に自覚症状がないともいわれています。感染が進行してしまうと、卵管炎から不妊症になる可能性もあります。

淋菌感染症について

淋菌による感染症で、クラミジアと同じくらい性行為によって感染する可能性が高いです。淋菌は、オーラルセックスからも感染するといわれています。淋菌感染症は、女性は子宮頸管炎、男性は尿道炎を発症するケースが多いです。

1度の性行為による感染伝播率は約30%。感染による免疫力も得られず、また、淋菌の抗菌薬耐性化も最近では問題になっています。抗菌薬では効かず、治療が難しくなるかもしれません。

大腸菌などの雑菌による感染について

もともと経血に大腸菌などの雑菌が含まれています。ふつう膣内では、細菌の繁殖を防げるのですが、生理中はホルモンの変化により免疫力が低下しています。そのため、大腸菌などの雑菌が増殖しやすくなってしまいます。また、膣内も傷つきやすくなっているため、性行為の刺激により、炎症がひどくなってしまうこともあります。

生理中にどうしても性行為したいひとへ

感染症など、リスクがあるとわかっていても、どうしても性行為がしたいと思ってしまうこともありますよね。そのようなときにはどうしたらよいのでしょうか。ここは、パートナーの方の協力が不可欠です。相手が傷つかないよう、そしてお互いが素敵な時間を過ごせるよう、考えてみましょう。

挿入なしで終わらせる

月経血の中には雑菌が多く含まれています。通常、月経血と一緒に体外にでるはずですが、性行為の挿入によって体内に戻ってしまうことがあります。そのことが原因で、感染症を引き起こす可能性があるのです。

そのため、生理中は挿入なしの性行為をおすすめします。オーラルセックスやローションを使ったりして、いつもとは違う愛情表現をしてみてはいかがでしょうか。

コンドームを使用する

生理中の女性の膣内は傷つきやすくなっています。そのため、コンドームの使用は不可欠です。また、感染症だけでなく、生理中の性行為も妊娠する可能性があります。

パートナーの方にも協力してもらい、コンドームを使用しましょう。コンドームをつけたからといって安心してはいけません。激しい性行為は避け、出血が多い場合も避けましょう。

感染症以外のリスクについて

生理中の性行為のリスクで一番に思い浮かべるのは、やはり感染症だと思います。しかし、実は感染症以外にも生理中に性行為を行うリスクがあるのです。女性の方は、パートナーに生理中であることを伝えましょう。とくに下腹部の痛みがある場合や出血の量が多いときは、パートナーから求められても無理は禁物です。パートナーの方も女性の体をいたわり、理解を深めて下さい。

膣内を傷つけてしまう可能性がある

生理中の膣内は、子宮の内膜が剥がれ落ちて出血があるため、いつもより免疫力が低下しています。また、膣内の分泌液も血液と一緒に流れてしまっています。そのため、傷つきやすくなっているのです。先程述べたように、この膣内にできた傷から感染症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

月経血が逆流することで起こり得ること

通常、月経血は体外に出されるはずですが、性行為中の挿入などにより月経血が体内に押し戻され、逆流してしまうことがあります。月経血が逆流してしまうと、どのようなことが起こってしまうのでしょうか。ここでは、月経血が逆流することで起こり得る病気をみていきましょう。

卵管炎の発症の可能性

月経血の逆流により卵管が炎症を起こす可能性があります。卵管は外と繋がっているため、とてもデリケートで細菌やウィルスに弱いのです。卵管炎の発症の原因となるのは、性感染症の原因菌によることが多いです。

卵管炎になってしまうと、すぐに炎症が広がってしまい、他の病気を引き起こしてしまうこともあります。重症化すると、子宮全摘出ということもあるので注意が必要です。卵管炎の症状は、ひどい場合は高熱や下腹部の痛みを伴い、おりものの量が増えます。軽いと高熱や下腹部の痛みを伴わない場合もあるので、おりものの量がいつもより多くなったなと感じたら婦人科を受診したほうがよいです。

子宮内膜症の発症の可能性

子宮内膜とは子宮の内側の覆う粘膜ですが、この粘膜に似たものが子宮以外の場所にできてしまう病気を子宮内膜症といいます。?生理中に経血により体外に出されるのでが、逆流してしまうことで、卵巣などに入り込んでしまい、子宮内膜症になる可能性があるのです。

子宮の内側以外にできた内膜は、生理の時と同様、剥がれおちて出血しますが、体外へ排出されないため、お腹に留まってしまい、痛みの原因となります。下腹部の痛みや排便痛、また性交痛などの症状がある場合、我慢をせずに婦人科を受診しましょう。

更に卵管炎と子宮内膜症が不妊や子宮外妊娠の原因となる

卵管炎のほとんどが性感染症の原因菌によるものです。卵管が炎症を起こすと卵管に癒着がおき、卵子をうまく運べなくなるため、不妊や子宮外妊娠につながることがあります。下腹部の痛みや発熱などの症状がでたらすぐに受診しましょう。

また、子宮内膜症は、子宮内膜の組織と臓器が癒着してしまい、卵巣と卵管の働きが悪くなります。癒着により、卵巣から子宮への通り道がふさがれてしまうのです。そのため、受精と着床の妨げとなり不妊つながる可能性があります。

子宮筋腫がある人は出血する場合がある

子宮筋腫は良性の腫瘍です。女性ホルモンにより、大きくなります。また、筋腫のできる位置によって症状が異なります。子宮の外側にできた場合、筋腫が大きくなっても症状が出ないことがあります。一方、子宮内膜付近にできた場合は大量出血することがあります。これが原因で妊娠しにくくなったり、流産しやすくなったりします。また、治療の際に子宮全摘出や薬により閉経状態にすることもあります。

生理中は妊娠しないとは限らない理由

生理中なのだから、そのときに性行為しても妊娠しないだろうと思っている方も多くいらっしゃるかもしれません。確かに生理中は排卵日と比べ、妊娠しにくいといえます。しかし、絶対に妊娠しないというわけではありません。生理中でも妊娠する可能性がありますので、このことはパートナーの方にもしっかりわかっていてほしいことです。

排卵日はいつも全く同じ日ではない

一般的な生理周期は、次の生理が始まる二週間前に排卵がおこります。しかし、この周期は毎回同じにおこるわけではなく、体調やストレスによって変わります。そのため、性行為のタイミングにより、妊娠する可能性があるのです。

特に、生理周期が短い人は注意が必要です。生理の後半に、排卵と重なる場合があり、妊娠する可能性が高いです。体調の変化でも排卵がずれる可能性もあるので、妊娠する可能性があります。

精子の寿命は最長1週間と長い

生理の後半が妊娠する可能性が高くなるので、生理の初日くらいに性行為をすれば妊娠しないのではないかと思っていませんか。性行為をした日に受精しなくても、精子は最長1週間生息することができるのです。そのため、性行為の数日後に受精することもあります。この日がちょうど排卵日と重なると、妊娠する可能性があります。

出血が必ずしも生理とは限らない

出血しているからといって、必ずしも生理の血であるとは限りません。仮に排卵日になんらかの影響で不正出血があった場合、「今日は生理だから大丈夫」と思って性行為をすれば、妊娠する可能性があります。

男性側のリスクについて

これまで女性側のリスクを述べてきましたが、リスクがあるのは女性だけではないのです。男性側にもリスクはあります。それは、女性が肝炎や性病に感染している場合です。生理中の血液や体液により、男性側にも感染する恐れがあるのです。

生理中の性行為はできるだけ避けよう

生理中、性行為をしたいと思うことは悪いことではありません。しかし、生理中の性行為は、さまざまなリスクが伴います。そのため、生理中は性行為を避けた方がよいといえるでしょう。生理中は挿入は避けるなど、パートナーの方の協力も必要です。リスクがあることををお互い認識した上で、よりよい関係を築いていきましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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