不妊治療において、排卵誘発剤の使用を医師からすすめられることもあります。排卵誘発剤とは、排卵障害のある方が排卵を促進させるために使用するもの。妊娠率は高まりますが、リスクも伴います。効果とリスクをしっかりと理解しておきましょう。
できれば自然に妊娠したいと望んでいても、なかなか思い通りにはいかないこともありますね。そんな場合、医師から排卵誘発剤の使用をすすめられることもあります。
しかし、副作用などのリスクはないのか気になるところでしょう。また、世間では排卵誘発剤を使用することに、どのような見解を持たれているのかも知っておきたいですね。
そこでこの記事では、排卵誘発剤とはどういうものなのか、そして費用についてや、どのように用いられるのかなどについて解説していきます。正しい知識を得て、不安を取り除いたうえで、妊活時のひとつの選択肢としていただけたらと思います。
不妊治療を始めて、妊娠の確率を上げる第一歩ともいえる方法がタイミング法。月に1回の大事な排卵日を予測・把握し、妊娠確率を上げる方法といえます。基礎体温を計測したり、排卵日検査薬を使用したりなどして自己流で行うえますが、病院で医師の指導のもとでも行えます。
病院でタイミング法を行う場合、自然に排卵される時期を待つ方法もありますが、検査の結果などによっては、排卵誘発剤を使用する可能性もあります。排卵の確実性が上がるため、妊娠成功率が上がるメリットがあります。しっかりと医師と相談して、進めていきましょう。
排卵日を知りたいと思ったら、まずは基礎体温を測る習慣をつけることから始めましょう。自分の身体のリズムを知ることは、とても大切です。
妊活を始めるにあたって、まず最初にするべきことは、基礎体温を計測することから始めましょう。基礎体温を計測することによって、1カ月のリズムをつかむことが可能になります。基礎体温は、0.01単位まで測れる専用の体温計を使用して計測し、排卵日前後を境に、低温期と高温期に分かれることが理想。
低温期や高温期が分かれずに長期間続いたり、短期間で低温期と高温期を繰り返すようであれば、ホルモンバランスの乱れが疑われます。その場合には、産婦人科で受診して治療を行うことをおすすめします。
妊娠を成功させるためには、卵子が排出される時期と生存時間、精子の生存時間を考慮して、性行為のタイミングを取る必要があります。妊娠確率の高いタイミングとは、排卵日の3日前が狙い目とされています。また、なるべく多くの性行為の回数を重ねるようにすることも大切です。
基礎体温では、低温期が続いたあとに、さらにがくっと体温が下がる日が排卵日と予測されます。その日を境に、体温は上昇を続けて妊娠しやすい状態が続きます。高温期の状態が続けば、妊娠している可能性がありますが、低温期に戻るようであれば、生理が始まるサインです。
まずは、自分の基礎体温を計測し、生理周期や排卵日のタイミングなどを予想して、排卵日前から性行為のタイミングがとれるように計画しましょう。
排卵誘発剤と一言でいっても、さまざまな種類があり、それぞれに効果なども異なります。効果とリスクをしっかりと把握して、治療を進めるようにしましょう。
不妊治療を始める際には、さまざまな検査を受ける必要があります。月経中、排卵直前、排卵後のホルモン検査、子宮卵管造影、頸管粘液検査、フーナーテスト、超音波検査、子宮鏡検査、抗精子抗体などが挙げられます。検査といってもいろいろな項目があることに驚きですが、治療内容を判断するうえで重要なことなので、きちんと受けることが大切です。
これらの検査で異常が見受けられないけれど、自然排卵ではなかなか妊娠につながらない場合、排卵誘発剤の使用を検討していきます。治療内容は、妊娠の確率を高めるために、順次ステップアップしていくと捉えておきましょう。
排卵誘発剤には、服薬タイプと注射タイプの2種類があります。服薬タイプを使用したタイミング法、服薬タイプと注射タイプを両方使用したタイミング法、注射タイプのみを使用したタイミング法と、ステップアップしていきます。
排卵誘発剤は、卵子や体への副作用が心配されますが、卵子を刺激するものではないので、赤ちゃんへの影響はありません。体への副作用などは、そのときの体調にも左右されるので、しっかりと睡眠をとるなど、できる限りのケアをし、使用前には必ず医師への確認を行うようにすることが大切。また、薬の使用中に体の異変を感じたら、自分で判断せずに、すぐに医師へ相談するようにしましょう。
排卵誘発剤は、保険適用となるものがほとんどです。しかし、使用する回数によっては、自己負担になる部分も。使用する前に、しっかりと医師に確認するようにしましょう。
排卵誘発剤の費用は、使用する薬の種類や目的によって異なります。基本的には、保険適用されるものが多いですが、場合によっては自己負担となることもあるので、覚えておくとよいでしょう。
服薬タイプは、保険適用となるものがほとんどです。注射タイプの場合、「注射をしないと排卵にいたらない」ケースでは、保険適用となります。身体的な不調によるものなのか、それともタイミング法でも成果があがらないのかによっても変わると、認識しておきましょう。
また、注射タイプは保険適用で使用できる回数が決まっているので、上限回数を超えて使用する場合は、自己負担となります。治療前に費用の目安を医師に確認をし、不妊治療にかける予算などを検討しておくことをおすすめします。
排卵誘発剤は、服薬タイプと注射タイプで、効果も費用も異なります。ほとんどは保険適用されるものが多いですが、使用を開始する前にしっかりと医師に確認をして、不安を取り除いてから治療を始めましょう。
また、排卵誘発剤には市販されているものもあります。しかし、排卵誘発剤は一定期間、連続して決まった時間に飲み続けることが大切です。飲み忘れたときの対処などは、個人によって異なるので、医師に相談して対処するようにしましょう。
排卵誘発剤を使用したからといって、確実に妊娠できるというわけではありません。排卵誘発剤を使用する目的、薬剤による効果とリスクを理解したうえで、検討するようにしましょう。
排卵誘発剤を使用する最大のメリットは、妊娠確率をアップできるという点。排卵の働きや、生理そのものにトラブルを抱えている方は、使用を検討することをおすすめします。
デメリットは、副作用が考えられる点。卵巣に対して、常に働きかけをする排卵誘発剤なので、卵巣が腫れて機能が低下する恐れも考えられます。また、子宮内膜が薄くなり、おりものの量を抑えてしまう働きもあるなど、排卵誘発剤を使用するリスクも、しっかりと頭に入れておく必要があります。
また、排卵誘発剤は、確実に妊娠できる薬ではないので、排卵誘発剤を使用しても、妊娠できないこともあることを覚えておくとよいでしょう。
「卵子の老化」という言葉を、耳にしたことがある方も多いことでしょう。女性の年齢と卵子の関係は深く、卵子の年齢は女性の年齢と同じで、年齢を重ねるごとに卵子の数が減少していくことも分かっています。
女性は産まれた時点で、卵巣内に全ての卵子の元が備わっています。約200万個ともいわれていますが、そのうち、生理が始まる思春期頃までには、約180万個が自然消滅してしまいます。生理が始まってからは、排卵される卵子は1個ですが、1回の周期で約1000個消滅するといわれています。
つまり、年齢を重ねるごとに卵子は減少していくだけでなく、卵子の質も低下していくので、妊娠が難しくなっていくというわけです。
排卵誘発剤を使用したからといって、確実に妊娠できるわけではありません。特に注射タイプの排卵誘発剤は、卵子の数が減ると効果が出にくい傾向にあります。
卵子の数に余裕がある状態でないと、効果を十分に得られません。そのため、妊活を始める年齢によっては、排卵誘発剤を使用しても、妊娠にいたらない可能性もあります。
一般的には、排卵していない方に使われる排卵誘発剤ですが、排卵している方が使用した場合、妊娠率が6%上がるといわれています。また、排卵障害のある方が使用した場合は、6カ月の累計妊娠率が65%~70%に達するという報告もあります。
排卵誘発剤の多くは、アメリカで開発されています。そして、長年使用され、安全性が確立されているものが多いです。海外での排卵誘発剤は、投薬タイプで卵胞の成長を促進し、注射タイプで排卵させるという使い方をすることがほとんどです。
排卵誘発剤には、役割の異なるさまざまな種類があります。医師に排卵誘発剤を提案された場合には、どんな役割のある排卵誘発剤を使用するのか、しっかりと説明を聞いて理解するようにしましょう。
不妊治療で排卵誘発剤を使用することは、珍しいことではありません。妊娠成功率を上げるために、使用する排卵誘発剤ですが、使用に伴うリスクも、しっかりと確認をしておくことが大切です。確実に妊娠できるわけではないということも理解したうえで、排卵誘発剤も含めた妊活を進めていきましょう。